こんにちは、高配当株カルテです。
この記事の結論(先に2点)
- 今回調べた高配当株は、日経平均ほど下げませんでした。 10月8日は日経平均が1.42%安の安値引けでしたが、日経高配当株50のETF(1489)の下げは0.69%と日経平均の半分ほどでした。筆者が定点観測する2つの銘柄群(計133銘柄)も平均の下げは0.5〜0.8%にとどまり、約3〜4割(27%と38%)の銘柄は上昇か変わらずでした
- 差が目立ったのは業種で、財務の強さとのはっきりした関係は見られませんでした。 機械や銀行は大きく下げ、情報・通信業は小幅な動きにとどまりました。下げた側と上げた側で、自己資本比率・ネットキャッシュ・配当持続性スコアはほぼ同じ水準でした
はじめに:10月8日、日経平均は993円安の安値引け
2026年10月8日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比993円60銭(1.42%)安の6万9042円11銭で取引を終え、終値で7万円を割り込みました。その日の最も安い水準で取引を終える「安値引け」です。TOPIX(東証株価指数)もTradingViewのデータで前日比1.51%安の4,091.46でした。東証プライム市場では値下がりした銘柄が1,100を超え、全体の7割を超えました。
報道によると、きっかけは前日の米国市場でのハイテク株安です。米国の10年国債利回りは7日に一時5.36%と2002年4月以来の高い水準をつけ、世界的な金利上昇への警戒から半導体関連株などが売られました。トランプ米大統領がイランとの最終合意に消極的だと伝わり、中東情勢が長引くことへの警戒も広がったとされます。
こうした「全面安」の日に、高配当株はどう動いたのでしょうか。筆者が毎日の値動きを記録している2つの高配当株の銘柄群を使って整理します。
市場全体の動き:高配当株ETFの下げは日経平均の半分ほど
この日は、高配当株のETFの下げが日経平均の半分ほどにとどまる一方、銀行のETFは3%下げました。日経平均は10月6日に7万円台で取引を終えた後、7日・8日と2日続けて下がっています。8日の日経平均・TOPIXと、業種別などのETF(上場投資信託)の値動きは次のとおりです。
| 日経平均・TOPIX・ETF | 10月7日終値 | 10月8日終値 | 前日比 |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 70,035.71 | 69,042.11 | −1.42% |
| TOPIX | 4,154.11 | 4,091.46 | −1.51% |
| TOPIX連動ETF(1306) | 437 | 429.5 | −1.72% |
| 日経高配当株50ETF(1489) | 3,473 | 3,449 | −0.69% |
| 銀行ETF(1615) | 778.4 | 754.5 | −3.07% |
| 電力・ガスETF(1627) | 12,065 | 11,870 | −1.62% |
| J-REIT ETF(1343) | 1,800 | 1,793 | −0.39% |
| 不動産ETF(1633) | 46,740 | 46,690 | −0.11% |
出所:日経平均は日本経済新聞の報道(10月7日の値は終値と下げ幅から算出)、ほかはTradingView(日足)を基に筆者作成。ETFは価格の騰落率で、分配金は含みません。
日経高配当株50のETFは−0.69%で、TOPIXの半分ほどの下げにとどまりました。一方、銀行のETFは−3.07%と、表の中で最も大きく下げています。報道でも、この日に値下がりが目立った業種として機械や銀行が挙げられていました。J-REIT(国内の不動産投資信託)と不動産のETFは小幅な下げにとどまりました。
筆者が定点観測する2つの銘柄群はどう動いたか
筆者が定点観測する2つの銘柄群は、どちらも平均の下げがTOPIXより小さく、中小型株中心のリストのほうが下げは小さめでした。筆者は、配当の水準や方針に注目している高配当株を2つのリストに分けて、毎日の値動きを記録しています。
- リストA(73銘柄):大型株を多く含むリストです。時価総額(株価×発行済株式数で、市場が付けている会社の値段)の中央値は約1,500億円で、1兆円以上の銘柄がメガバンクや総合商社など16銘柄あります
- リストB(60銘柄):中小型株中心のリストです。時価総額の中央値は約500億円で、1兆円以上は1銘柄です
時価総額は10月8日終値時点のTradingViewの値で、リストBは値を取得できた59銘柄で集計しました。8日の終値を7日の終値と比べた騰落率の分布は次のとおりです。
| 項目 | リストA(73銘柄) | リストB(60銘柄) |
|---|---|---|
| 平均 | −0.81% | −0.51% |
| 中央値 | −0.77% | −0.31% |
| 最も下げた銘柄 | −4.40% | −2.96% |
| 最も上げた銘柄 | +2.03% | +1.13% |
| 上昇 | 16 | 17 |
| 変わらず | 4 | 6 |
| 下落率1%未満 | 26 | 21 |
| 下落率1%以上2%未満 | 16 | 10 |
| 下落率2%以上3%未満 | 7 | 6 |
| 下落率3%以上 | 4 | 0 |
| 下落した銘柄の合計 | 53(73%) | 37(62%) |
出所:TradingView(10月7日・8日の終値)を基に筆者作成。中央値は、騰落率を順に並べたときに真ん中に来る値で、一部の大きな値動きに左右されにくい目安です。平均は各銘柄を同じ重みで扱う単純平均です。
どちらのリストも、平均はTOPIX(−1.51%)より小さい下げでした。ただし2つのリストは筆者が記録している銘柄群で高配当株全体の代表ではなく、1日の結果だけで下落局面全般の値動きは判断できません。リストBは中央値が−0.31%で、3%以上下げた銘柄はありません。上昇と変わらずを合わせると、リストAで20銘柄(27%)、リストBで23銘柄(38%)でした。
取引時間中の動きにも違いがありました。筆者が午前10時ごろ(9時55分〜10時10分、15分以上遅れた表示値)に記録した時点では、値下がりしていたのはリストAが73銘柄中64銘柄、リストBが60銘柄中51銘柄でした。日経平均は午後に下げ幅を広げましたが、2つのリストで終値の時点で値下がりしていたのは、それぞれ53銘柄、37銘柄に減りました。
下げが大きかった顔ぶれ・小さかった顔ぶれ
下げの大きさは業種によって差が目立ち、機械や銀行は大きく、情報・通信業は小幅でした。2つのリストを合わせた133銘柄のうち、業種の分類を確認できなかった3銘柄を除く130銘柄を東証の業種別に見ると、2銘柄以上を含む業種で平均の下げが大きかったのは銀行業(2銘柄・−2.74%)、電気機器(3銘柄・−2.01%)、機械(10銘柄・−1.62%)です。反対に、情報・通信業(21銘柄・−0.06%)、食料品(6銘柄・−0.17%)、サービス業(22銘柄・−0.32%)は小幅な動きにとどまり、小売業(3銘柄)は平均+0.40%でした。リストBには情報・通信業やサービス業が多く含まれており、2つのリストを比べる際は業種構成の違いにも留意が必要です。
2つのリストを合わせた133銘柄のうち、値動きの大きかった10銘柄ずつの業種の内訳は次のとおりです。
| 項目 | 下げ幅の大きかった10銘柄 | 上げ幅の大きかった10銘柄 |
|---|---|---|
| 騰落率の範囲 | −4.40%〜−2.58% | +0.83%〜+2.03% |
| 業種の内訳 | 機械3、化学・銀行業・陸運業・石油・石炭製品・金属製品・その他製品・精密機器が各1 | 情報・通信業4、陸運業・食料品・小売業・化学・サービス業・金属製品が各1 |
出所:TradingView(10月7日・8日の終値)と本ブログの各カルテの業種分類を基に筆者作成。
下げの大きかった側では、工作機械や建設機械のメーカーなど機械の銘柄が目立ちました。機械は、企業の設備投資や海外の景気に業績が左右されやすい業種です。この日は報道でも、米国の建設機械株安が日本の建機株に広がったと伝えられています。上げた側は、国内企業向けのシステム開発などを手がける情報・通信業が中心でした。個々の銘柄の値動きには、それぞれの事情も含まれる点にご注意ください。
財務の強さと下げ幅には、はっきりした関係は見られませんでした。「財務が弱い銘柄ほど売られたのか」を確かめるため、133銘柄から業種の分類を確認できなかった3銘柄を除いた130銘柄を騰落率の順に並べ、下げが大きかった上位4分の1(32銘柄)と、上げた側の4分の1(32銘柄)を、各カルテの数字で比べました。
- 自己資本比率(総資産のうち返済のいらない自己資本の割合)の中央値:下げた側68.6%、上げた側71.9%
- ネットキャッシュ(現金及び預金と短期有価証券から、利息を払う借入金や社債である有利子負債を引いた額)がプラスの銘柄:下げた側は32銘柄中26銘柄、上げた側は32銘柄中28銘柄
- 配当持続性スコア(100点満点。株価を使う項目も一部含む)の中央値:下げた側74点、上げた側75.5点
どの指標もほぼ同じ水準で、この日は財務の強い銘柄が売られにくかった、とは言えません。業種の構成の違いのほうが、値動きの差としては目立ちました。なお、各カルテの数字は作成時点のもので、決算期や株価の基準日はそろっていません。また1日の比較なので、ここから値動きの原因までは判断できません。
まとめ:高配当株は日経平均ほど下げず、差が目立ったのは業種
冒頭の2点を、あらためて整理します。
- 今回調べた高配当株は、日経平均ほど下げませんでした。 日経平均が1.42%、TOPIXが1.51%下げた日に、日経高配当株50のETFは0.69%安、2つの銘柄群の平均は0.5〜0.8%安で、約3〜4割の銘柄は上昇か変わらずでした
- 差が目立ったのは業種でした。 機械や銀行は大きく下げ、情報・通信業は小幅でした。財務の強さや配当持続性スコアと下げ幅の間には、はっきりした関係は見られませんでした
本記事は情報の整理であり、売買をすすめるものではありません。投資の最終判断はご自身でお願いします。
出典
- 日本経済新聞 10月8日の日経平均終値と市場概況の記事(2026年10月8日)— https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB07BY3TX01C26A0000000/
- 財経新聞「米国株安を映して利益確定売りが続く【クロージング】」(2026年10月8日)— https://www.zaikei.co.jp/article/20261008/872864.html
- nippon.com(共同通信)「東証続落、終値7万円割れ 中東懸念で売り膨らむ」(2026年10月8日)— https://www.nippon.com/ja/news/kd1480817658855211058/
- TradingView 日足(TSE:TOPIX、東証上場ETF 1306・1489・1615・1627・1343・1633、2つのリストの各銘柄、2026年10月9日取得)
- TradingView 時価総額(2つのリストの各銘柄、2026年10月8日終値時点、2026年10月9日取得)
- 業種分類・自己資本比率・ネットキャッシュ・配当持続性スコア:本ブログの各銘柄の最新カルテ(決算期・株価の基準日は各カルテに記載)
関連ページ
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※本文で触れた業種には、筆者の保有銘柄があります(銘柄名・株数は非開示・2026年10月時点)。
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