配当性向・DOE・ROEがわかる高配当株用語集|50語以上を図解で解説

本ページは「高配当株カルテ」で頻出する財務・配当用語をやさしく解説します。スコアガイド・各銘柄カルテと併せてご活用ください。 ※「★」マーク付きの用語には計算式の図解を添えています。


  1. 目次
  2. 1. 配当関連
    1. 配当性向(はいとうせいこう) ★
    2. DOE(株主資本配当率) ★
    3. 配当利回り(はいとうりまわり) ★
    4. 増配(ぞうはい)・減配(げんぱい)
    5. 累進配当(るいしんはいとう)
    6. 配当方針(はいとうほうしん)
    7. 特別配当・記念配当
    8. 配当持続性スコア(本サイト独自)
    9. EPS(イー・ピー・エス)
    10. 配当総額
  3. 2. 財務関連
    1. 自己資本比率(じこしほんひりつ) ★
    2. ネットキャッシュ
    3. 営業CF(営業キャッシュフロー)
    4. 有利子負債(ゆうりしふさい)
    5. 純資産(じゅんしさん)
    6. BPS(ビー・ピー・エス)
    7. 装置産業(そうちさんぎょう)
    8. 業種別補正(本サイト独自)
  4. 3. 収益関連
    1. ROE(自己資本利益率) ★
    2. 営業利益(えいぎょうりえき)
    3. 経常利益(けいじょうりえき)
    4. 純利益(じゅんりえき)
    5. 営業利益率(えいぎょうりえきりつ)
    6. 一過性要因(いっかせいよういん)
    7. 増収増益(ぞうしゅうぞうえき)・減収減益(げんしゅうげんえき)
  5. 4. 評価・その他
    1. スコアランク A〜E(本サイト独自)
    2. 業績の質(本サイト独自)
    3. JPX区分(プライム・スタンダード・グロース)
    4. YMYL(ワイ・エム・ワイ・エル)
    5. 連結決算(れんけつけっさん)
  6. 5. 株価指標
    1. PER(株価収益率)
    2. PBR(株価純資産倍率)
    3. 時価総額(じかそうがく)
    4. TOPIX分類(Core30 / Large70 / Mid400 / Small)
  7. 6. 株主還元(配当以外)
    1. 自社株買い(じしゃかぶがい)
    2. 自己株消却(じこかぶしょうきゃく)
    3. 総還元性向(そうかんげんせいこう)
    4. 株式分割・株式併合
  8. 7. 開示・適時情報
    1. 決算短信(けっさんたんしん)
    2. 有価証券報告書(有報)(ゆうかしょうけんほうこくしょ)
    3. TDnet(適時開示)
    4. EDINET
  9. 8. 経営計画・業績指標
    1. 中期経営計画(中計)(ちゅうきけいえいけいかく)
    2. 受注残高(じゅちゅうざんだか)
    3. 進捗率(しんちょくりつ)
    4. EBITDA(イービットディーエー)
  10. 9. 配当受取の実務
    1. 権利付き最終日(けんりつきさいしゅうび)
    2. 権利落ち日(けんりおちび)
    3. 配当支払日(はいとうしはらいび)
    4. NISA(成長投資枠・つみたて投資枠)
  11. 関連リンク

目次


1. 配当関連

配当性向(はいとうせいこう) ★

配当性向 = 配当 ÷ 純利益 35% 配当(緑) 例: EPS 200円 × 35% = 配当 70円

意味: 会社が稼いだ純利益のうち、何%を株主に配当として還元しているかを示す指標。

計算式: 配当性向 = 1株あたり配当 ÷ EPS(1株あたり純利益)× 100

計算例: 配当 70円 ÷ EPS 200円 × 100 = 配当性向 35%

業界ごとの標準:

  • 商社・銀行・保険: 50%まで標準
  • 通信・電力・ガス: 60%まで標準
  • メーカー・小売: 30〜40%が標準
  • 成長IT・SIer: 20〜30%が標準
  • 医薬品: 40〜50%が標準
  • 不動産事業会社: 35〜45%が標準

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの「配当性向(10点)」で評価。業種中央値以下=配当原資余裕あり=10点満点。中央値+10pt以内=9点、+10〜+20pt=7点と段階的に減点。


DOE(株主資本配当率) ★

DOE = 配当総額 ÷ 自己資本 自己資本 100% 配当 3% 例: 自己資本 1,000億円 × 3% = 配当 30億円

意味: 自己資本(株主資本)に対して、年間どれだけの割合を配当として還元したかを示す指標。実績の配当で計算する場合と、まだ支払われていない予想配当で計算する場合があります。分母が自己資本なので、利益が大きくぶれても数値が振れにくく、利益変動に左右されにくい配当水準の目安として使えます。ただし DOE は「実績または予想で何%になるか」を測った数値であり、この数値自体が配当の下限を約束するものではありません。また、会社が「DOE ○%を目標とする」と公表することと、「DOE ○%を下限とする」と明示することは別です。目標の公表は下限の約束を意味しません(後述の「配当方針」を参照)。

計算式: DOE = 配当総額 ÷ 自己資本 × 100

計算例: 配当総額 30億円 ÷ 自己資本 1,000億円 × 100 = DOE 3.0%

本サイトでの算定: 会社が決算短信「配当の状況」等で純資産配当率(DOE)を開示していれば、その開示値をそのまま使います。開示がない場合のみ本サイトで計算し、その式は「予想1株あたり配当 × 期末株式数(自己株式を除く)÷ 自己資本(期首と直近開示時点の平均)× 100」です。ROE と計算の基礎をそろえています。会社の開示値がなく、計算に必要な数値も揃わずに DOE を確定できない場合は、その項目を 0 点として合計に算入しません(詳しくはスコアガイドの「DOE(10点)」を参照)。

目安:

  • 5%以上: 高水準(銀行・保険・成熟事業)
  • 3〜5%: 標準的な水準
  • 1〜3%: 多めの企業
  • 1%未満: 低水準

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの「DOE(10点)」は、上記のDOE の数値そのものを評価する項目です。これとは別に、会社が「DOE ○%を目標とする」と配当方針として公表している場合は、「配当方針の強度(10点)」でも累進配当に次ぐ8点として評価します。8点の条件は目標を明示していることであり、「下限とする」と約束していることまでは求めていません。DOE の数値が高いことと、DOE 目標を方針として公表していることは別で、数値が高いだけでは方針スコアには反映しません。また方針を公表していても、将来の配当額や減配しないことが約束されるわけではありません。


配当利回り(はいとうりまわり) ★

配当利回り = 1株配当 ÷ 株価 株価 2,000円 (分母) 配当 70円 → 配当利回り 3.50% 70円 ÷ 2,000円 × 100

意味: 現在の株価に対して、年間配当が何%にあたるかを示す指標。読者が記事を読むタイミングで株価が変動するため、本サイトでは 記事公開日時点の株価で計算 し、出典として明記している。

計算式: 配当利回り = 1株あたり年間配当 ÷ 株価 × 100

計算例: 70円 ÷ 2,000円 × 100 = 配当利回り 3.50%

目安:

  • 4.5%以上: 高利回り
  • 3.5〜4.5%: 標準的な高配当株
  • 2.5〜3.5%: やや低め
  • 2.5%未満: 低利回り

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの「配当利回り(10点)」で評価。記事内には 株価の終値日付 + データソース(ユーザー直接確認) を必ず明記し、再現性を担保。


増配(ぞうはい)・減配(げんぱい)

意味:

  • 増配: 1株あたり配当を前期より増やすこと
  • 減配: 1株あたり配当を前期より減らすこと
  • 据え置き: 配当を維持すること(増配でも減配でもない)

例:

  • 2024:60円 → 2025:65円 = +5円増配
  • 2025:65円 → 2026:60円 = -5円減配

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの「増配・減配耐性(10点)」で評価。直近5年(記事の公開時点からさかのぼる5期。時間の経過とともに対象期間もずれていきます)の減配の有無と、その後の戻し方によって 10〜0点に分かれます。

  • 10点: 3年以上連続増配 + 直近5年に減配なし + 来期も増配予想
  • 8点: 3年以上連続増配で直近5年に減配なし、または直近5年に減配なしで来期も維持以上
  • 5点: 直近5年の減配がコロナ期(2020・2021年)のものだけで、直近2年は減配なし。3年以上連続増配に戻っていて、来期も維持以上
  • 2点: 直近5年に減配があり、上の5点・下の0点のどちらの条件にも当たらない(単年の減配から回復している等)
  • 0点: 直近2年内の2期連続減配、直近期が減配で来期予想もさらに減配、無配転落(直近期の配当が0円)のいずれか

※ 配当履歴がまったく取得できない場合(履歴が空・取得不可)は0点として扱います。2015年以降のIPO等で配当履歴が少なく、判定材料が足りない場合は、暫定的に7点(中立)とします。

減配が1回あれば即0点ではなく、単年で戻したか、減配が続いているかで点差がつく設計です。なおリーマンショック(2008-2009年)は直近5年の枠から外れたため、現在の判定対象はコロナ期以降の減配のみです。判定順序の詳細は配当持続性スコア採点ガイドの「増配・減配耐性(10点)」を参照してください。

連続増配年数の数え方: 「N期連続増配」の N は、1株あたり年間配当(実質普通配当ベース)が 前期より増えた期の数 です(終了年 − 開始年 + 1 の年数ではありません)。無配(0円)からの初配・復配は増配に数えず、その翌期を連続増配の起点 とします。据え置きの期があると連続はいったん途切れます。

注意点: 表面DPSのみで判定すると、特別配当・記念配当を含む期は誤って「減配」と判定されることがある。本サイトでは決算短信「配当の状況」で内訳を確認し、実質普通配当ベース で再評価している(6866日置電機・6436アマノ・9687KSK・9682DTSが該当)。


累進配当(るいしんはいとう)

意味: 「減配しない・前期と同額以上の配当を続ける」と公約する配当方針のこと。最も強い配当コミットメント。

例:

  • 三菱商事「累進配当の方針を継続」
  • アイカ工業「累進配当方針を継続」(あわせて「17期連続増配」という実績も公表)

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの「配当方針の強度(10点)」で最高評価の10点。次に強いのが「DOE目標(8点)」、その次が「配当性向目標(6点)」、「安定配当を定性的に明記(3点)」、「言及なし(0点)」。


配当方針(はいとうほうしん)

意味: 企業がIR資料・決算説明会で公表する、配当の決め方の指針。強度には階層がある。

強度の階層(本サイト独自の整理):

強度 配当方針 スコア
最強 累進配当(減配しない宣言) 10点
強 DOE目標(会社が下限・目標として公表) 8点
中 配当性向目標(利益に連動) 6点
弱 「安定配当」を定性的に明記(総還元性向のみの数値目標を含む) 3点
なし 配当方針への言及がない 0点

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの「配当方針の強度(10点)」。決算短信「配当の状況」「対処すべき課題」「経営方針」セクションを確認して判定。

注意: 上の表は「会社が何を公表しているか」の強度を整理したものです。配当方針はあくまで会社の方針表明であり、将来の配当額や、減配しないことを保証するものではありません(業績・財務状況によって方針そのものが見直されることもあります)。また、DOE や配当性向の実績値が高いことは、目標や下限を方針として公表していることを意味しません。


特別配当・記念配当

意味:

  • 特別配当: 一過性の利益(資産売却益・特殊要因)を原資とした、その期限りの配当
  • 記念配当: 「○周年記念」など節目に支給される一時的な配当

例:

  • 6866 日置電機: 2021年に 上場30周年記念配当30円(普通配当135円 + 記念配当30円 = 表面165円)
  • 6436 アマノ: 2019・2020年に 期末特別配当20円
  • 9687 KSK: 2024年3月期に 創立50周年記念配当138円(普通配当88円 + 記念配当138円 = 表面226円)

本サイトでの位置づけ: 外部データベース(EDINET DB)から取得した表面DPSのみで採点すると、これらの期は翌期に「減配」と誤判定される。本サイトでは決算短信「配当の状況」で内訳を確認し、実質普通配当ベース で再構築してスコアリング。


配当持続性スコア(本サイト独自)

意味: 決算短信の数値から機械的に算出する独自指標。3カテゴリ × 計100点で評価。

カテゴリ 配点 評価項目
配当 50 配当性向・DOE・配当利回り・配当方針・増配減配耐性
財務 25 自己資本比率・ネットキャッシュ・営業CF安定性
収益 25 営業利益率・ROE

ランク:

  • A(85〜100): 配当持続性が極めて高い ★★★★★
  • B(70〜84): 配当持続性が高い ★★★★☆
  • C(55〜69): 標準的、注視必要 ★★★☆☆
  • D(40〜54): 配当持続性に懸念 ★★☆☆☆
  • E(0〜39): 警戒水準 ★☆☆☆☆

注意点: 本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性や投資収益を予測するものではありません。詳細はスコアガイドを参照してください。


EPS(イー・ピー・エス)

意味: Earnings Per Share の略。1株あたり純利益。会社全体の利益を発行済株式数で割った値。

計算式: EPS = 当期純利益 ÷ 発行済株式数

計算例: 純利益 200億円 ÷ 発行済株式数 1億株 = EPS 200円

本サイトでの位置づけ: 各記事の「業績サマリー」表と「配当評価」表で使用。配当性向の計算分母にもなる(配当 ÷ EPS = 配当性向)。


配当総額

意味: 企業が1期に支払う配当金の総額。「1株あたり配当 × 発行済株式数」で算出される。

計算例: 1株配当 70円 × 発行済株式数 1億株 = 配当総額 70億円

本サイトでの位置づけ: DOE(配当総額 ÷ 自己資本)・配当性向(配当総額 ÷ 純利益)の計算に使われる。


2. 財務関連

自己資本比率(じこしほんひりつ) ★

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 総資産 100% 自己資本 60% 負債 40% 財務の健全性を示す指標。高いほど借金依存度が低い。

意味: 会社の総資産のうち、返済義務のない自己資本(株主資本)が何%を占めるかを示す指標。借金依存度の裏返し。

計算式: 自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100

計算例: 自己資本 600億円 ÷ 総資産 1,000億円 × 100 = 自己資本比率 60%

目安(汎用):

  • 60%以上: 高水準(財務余裕あり)= 10点
  • 40〜60%: 標準 = 7点
  • 20〜40%: やや低め = 4点
  • 20%未満: 低水準 = 0点

業種別補正(本サイト):

  • 銀行・保険: 構造的に低いので、10%以上で6点 / 20%以上で10点
  • 商社・卸売: トレーディング資産・在庫の借入で構造的に低いため、25%以上で7点 / 40%以上で10点
  • 医薬品: 大型M&A・買収のれんで構造的に低いため、25%以上で7点 / 40%以上で10点
  • 通信・電力・ガス: 大規模設備投資・装置産業で構造的に低いため、25%以上で7点 / 40%以上で10点
  • 不動産事業会社: 物件取得借入で構造的に低いため、25%以上で7点 / 40%以上で10点
  • 陸運業(鉄道・運輸): 線路・車両・基地・新幹線などの大規模設備投資で構造的に低いため、25%以上で7点 / 40%以上で10点
  • 建設業(ハウスメーカー・ゼネコン): 販売用不動産取得・受注工事の運転資金借入で構造的に低いため、25%以上で7点 / 40%以上で10点
  • 海運業(外航・内航): 大型船舶取得・建造・改修で構造的に低いため、25%以上で7点 / 40%以上で10点

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの「自己資本比率(10点)」で評価。


ネットキャッシュ

意味: 「現金等」から「有利子負債」を差し引いた金額。企業が 実質的に持っている純粋な現金 の指標。プラスなら無借金経営、マイナスなら借入超過。

計算式: ネットキャッシュ = 現金及び預金 + 短期有価証券 − 有利子負債

計算例: 現金 200億 + 短期有価証券 50億 − 有利子負債 100億 = ネットキャッシュ +150億円

目安:

  • プラス、時価総額の30%以上: 10点
  • プラス、時価総額の10〜30%: 7点
  • プラス、時価総額の10%未満: 4点
  • ほぼゼロ(マイナス側0〜-5%): 2点
  • マイナス(-5%未満): 0点

業種別補正: 医薬品・通信・電力・ガス・陸運業・建設業・海運業・その他金融業・倉庫運輸関連業・卸売業 は構造的にマイナスになりやすいため、マイナスでも「ほぼゼロ」相当の2点を付与。銀行業・保険業はこの最低2点救済の対象外で、本則どおり評価します(プラスは時価総額比10%未満=4点/10〜30%=7点/30%以上=10点・マイナス側0〜-5%は2点・-5%未満は0点)。何を有利子負債に含めるかは「利息を払う負債かどうか」で判断するため、銀行業は預金を含めて大幅マイナスになりやすい一方、保険業は保険契約負債(責任準備金等)を含めず社債・借入金等のみで算定するので、プラスになる例もあります。

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの「ネットキャッシュ(10点)」で評価。ネットキャッシュが大きい = 配当原資が枯渇しにくい という意味で重視。


営業CF(営業キャッシュフロー)

意味: 本業で1年間に稼いだ現金の額。「営業キャッシュフロー」「Operating Cash Flow」「営業CF」とも。会計上の利益とは別もの で、現金の動きそのもの。

営業利益 vs 営業CFの違い:

  • 営業利益: 売上 − 売上原価 − 販管費(=会計上の概念)
  • 営業CF: 実際に入ってきた現金 − 実際に出ていった現金(=現金の動き)

計算例: 営業利益が黒字でも、売掛金が増えて現金が入ってこなければ営業CFは小さい。逆に大型減価償却がある期は、営業利益より営業CFが大きくなる。

目安(本サイト): 直近5期の営業CFを見て、まず赤字の期が何回あるかを確認し、赤字が無ければ金額のブレ幅で評価します。ブレ幅は前年比ではなく、平均からどれだけ離れているか(平均との差 ÷ 平均)で測ります。上から順に当てはめ、最初に当てはまったものが得点です。

  • 直近5期に営業CF赤字が2回以上: 0点
  • 直近5期に営業CF赤字が1回: 1点
  • 赤字は無いが、5期すべてがゼロで平均もゼロ以下: 0点
  • 赤字が無く、各期が5期の平均から±20%以内: 5点
  • 赤字が無く、5期の平均から最も離れた1期を除いた残り4期がすべてプラスで、その4期の平均から±20%以内: 4点
  • 赤字は無いが、上のどちらにも当てはまらない: 3点

赤字の回数を先に見て、赤字があればブレ幅は見ません。詳しい判定基準は配当持続性スコアの採点ガイドをご覧ください。

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの「営業CF安定性(5点)」で評価。配当の原資は最終的に現金 なので、営業CFが安定しているかは配当の持続性と直結する。


有利子負債(ゆうりしふさい)

意味: 利息(金利)を支払う必要がある借入金や社債の合計。短期借入金・長期借入金・社債・コマーシャルペーパー等。

有利子負債に含まれるもの:

  • 短期借入金(1年以内に返済)
  • 長期借入金(1年超)
  • 社債
  • コマーシャルペーパー(CP)
  • リース債務(一部)

含まれないもの:

  • 買掛金・支払手形(無利息の取引信用)
  • 未払金・前受金

本サイトでの位置づけ: ネットキャッシュ計算の差し引き要素。「有利子負債が多い = 配当に回せる現金が制約される」 という関係。電力・通信・不動産事業会社は構造的に大きいため、業種別補正の対象。


純資産(じゅんしさん)

意味: 会社の総資産から負債を差し引いた額。株主に帰属する財産の合計。「自己資本」「株主資本」とも近い概念(厳密には自己資本 = 純資産 − 新株予約権・非支配株主持分)。

計算式: 純資産 = 総資産 − 負債

計算例: 総資産 1,000億円 − 負債 400億円 = 純資産 600億円

本サイトでの位置づけ: BPS・ROE・自己資本比率の計算分母として登場。


BPS(ビー・ピー・エス)

意味: Book Value Per Share の略。1株あたり純資産。会社解散時に1株あたりいくら戻ってくるかを示す指標。

計算式: BPS = 純資産 ÷ 発行済株式数

計算例: 純資産 600億円 ÷ 発行済株式数 1億株 = BPS 600円

本サイトでの位置づけ: 株価が「PBR(株価純資産倍率)= 株価 ÷ BPS」で評価される基準値として登場。本サイトでは直接スコアの構成要素ではないが、財務体力の参考指標として記載することがある。


装置産業(そうちさんぎょう)

意味: 大規模な設備投資が必要な産業。初期投資が巨大で、減価償却負担が重く、有利子負債が大きくなりやすい構造。

代表的な装置産業:

  • 電力・ガス(発電所・パイプライン・送電網)
  • 通信(基地局・光ファイバー網)
  • 鉄道・陸運(線路・車両・基地・新幹線)
  • 海運(大型船舶・タンカー・コンテナ船)
  • 建設・不動産(販売用不動産取得・物件取得借入)
  • 製鉄・化学(高炉・プラント)
  • 半導体(製造ライン)

本サイトでの位置づけ: 装置産業は 自己資本比率が構造的に低く、ネット有利子負債が大きい ため、汎用スコアでは厳しめに評価される。本サイトは業種別補正で「通信・電力・ガス」「不動産事業会社」「医薬品(大型M&A)」「陸運業」「建設業」「海運業」を実装済み。


業種別補正(本サイト独自)

意味: 配当持続性スコアの算出時に、業種特性を考慮して評価基準を補正する仕組み。汎用基準だけだと、構造的に低い指標を持つ業種(銀行・電力等)が不当に低く評価されてしまうため。

現在実装している業種別補正:

業種 補正対象 内容 適用記事例
銀行・保険 自己資本比率・配当性向・営業利益率 自己資本比率10%以上で6点/20%以上で10点・配当性向50%まで標準・営業利益率5%以上で12点(ネットキャッシュは最低2点救済の対象外で本則評価) 8306 三菱UFJ・8725 MS&AD・8766 東京海上・8630 SOMPO
商社・卸売 自己資本比率・ネットキャッシュ 自己資本比率25%以上で7点/40%以上で10点・ネットキャッシュはマイナスでも2点 8058 三菱商事
医薬品 配当性向中央値45%・自己資本比率・ネットキャッシュ 装置・M&Aの構造特性を反映 4503 アステラス製薬
通信・電力・ガス 自己資本比率・ネットキャッシュ 装置産業の構造特性を反映 9502 中部電力・9432 NTT
不動産事業会社 配当性向中央値40%・自己資本比率 物件取得借入の構造特性を反映 3003 ヒューリック・3482 ロードスターキャピタル
陸運業(鉄道・運輸) 自己資本比率・ネットキャッシュ 線路・車両・基地・新幹線の大規模設備投資の構造特性を反映 9020 JR東日本・9072 ニッコンHD
建設業(ハウスメーカー・ゼネコン) 自己資本比率・ネットキャッシュ 販売用不動産取得・受注工事運転資金の構造特性を反映 1976 明星工業
海運業(外航・内航) 自己資本比率・ネットキャッシュ 大型船舶取得・建造・改修の構造特性を反映 9119 飯野海運

本サイトでの位置づけ: スコアガイドに業種別補正のルールを明示し、各記事のスコア算出時に該当業種なら補正後の数値で点数化。詳細はスコアガイドを参照。


3. 収益関連

ROE(自己資本利益率) ★

ROE = 純利益 ÷ 自己資本 自己資本 1,000億円 純利益 100億円(10%) → ROE 10%(自己資本に対する収益効率) 100億円 ÷ 1,000億円 × 100

意味: Return On Equity の略。自己資本に対する純利益の割合。「株主のお金を使って、どれだけ効率的に利益を生んでいるか」を示す指標。

計算式: ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

計算例: 純利益 100億円 ÷ 自己資本 1,000億円 × 100 = ROE 10%

目安:

  • 15%以上: 高水準 = 10点
  • 10〜15%: 良好 = 7点
  • 5〜10%: 標準 = 4点
  • 0〜5%: 低い = 1点
  • マイナス: 0点

配当との関連: ROEが高い企業は 少ない自己資本で大きな利益を生む ため、配当原資の効率も高い。逆にROEが低い企業は、自己資本が積み上がっているのに利益が出ておらず、配当余裕度が見た目ほどない。

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの「ROE(10点)」で評価。


営業利益(えいぎょうりえき)

意味: 売上から「売上原価」と「販売費及び一般管理費(販管費)」を差し引いた利益。本業の儲け を示す。

計算式: 営業利益 = 売上 − 売上原価 − 販管費

例:

  • 売上 1,000億円 − 売上原価 700億円 − 販管費 200億円 = 営業利益 100億円

経常利益・純利益との違い:

  • 営業利益: 本業の利益のみ
  • 経常利益: 営業利益 + 営業外損益(受取利息・支払利息等)
  • 純利益: 経常利益 + 特別損益 − 法人税等

本サイトでの位置づけ: 各記事の「業績サマリー」「Pros/Cons」で頻出。営業利益率の分子として使う。


経常利益(けいじょうりえき)

意味: 営業利益に「営業外損益」(本業以外の継続的な損益)を加減算した利益。通常の事業活動全体の利益。

営業外損益の例:

  • プラス: 受取利息・受取配当金・為替差益
  • マイナス: 支払利息・為替差損・持分法投資損失

計算式: 経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用

本サイトでの位置づけ: 各記事の「業績サマリー」表で記載。経常利益と営業利益の差から「金融収支」「為替の影響」が読み取れる。


純利益(じゅんりえき)

意味: 法人税等を差し引いた最終的な利益。「当期純利益」「親会社株主に帰属する当期純利益」とも。配当の原資となる。

計算式: 純利益 = 経常利益 + 特別損益 − 法人税等

特別損益の例:

  • プラス: 固定資産売却益・投資有価証券売却益
  • マイナス: 減損損失・災害損失・リストラ費用

本サイトでの位置づけ: 配当性向(配当 ÷ 純利益)の分母。EPS(純利益 ÷ 発行済株式数)の分子。特別損益の振れで純利益が大きく変動する ため、本サイトでは「業績の質」も併せて評価する。


営業利益率(えいぎょうりえきりつ)

意味: 売上に対する営業利益の割合。本業の収益効率 を示す指標。

計算式: 営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上 × 100

計算例: 営業利益 100億円 ÷ 売上 1,000億円 × 100 = 営業利益率 10%

目安:

  • 15%以上: 高水準 = 15点
  • 10〜15%: 良好 = 12点
  • 5〜10%: 標準 = 8点
  • 0〜5%: 低い = 3点
  • 赤字: 0点

業種別補正: 卸売業(商社含む)・金融3業種(銀行業/保険業/その他金融業)は構造的に低くなるため、5%以上で12点とする。

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの「営業利益率(15点)」で評価。配点が高いのは 本業の収益力が配当原資の根本 だから。


一過性要因(いっかせいよういん)

意味: その期限りで二度と発生しない収益・費用。継続的な業績ではない ため、本業の実力評価から除いて見るべき要素。

一過性プラス要因の例:

  • 不動産売却益・投資有価証券売却益
  • 政策保有株の売却益
  • 補助金・助成金収入
  • 保険金収入

一過性マイナス要因の例:

  • 減損損失・災害損失
  • リストラ費用・退職金加算額
  • 不適切事案による特別費用

本サイトでの位置づけ: 各記事の「業績の質診断(増減要因のクリーン度)」で評価。一過性要因が多い期は、表面の純利益が大きく見えても 本業の実力ではない ため、減点要素となる。


増収増益(ぞうしゅうぞうえき)・減収減益(げんしゅうげんえき)

意味:

  • 増収増益: 売上(増収)も利益(増益)も前期より増えた = 最も健全な決算
  • 減収減益: 売上も利益も減った = 最も厳しい決算
  • 増収減益: 売上は増えたが利益が減った = コスト圧迫
  • 減収増益: 売上が減ったが利益は増えた = 構造改革・原価改善

本サイトでの位置づけ: 各記事の冒頭リード(案A形式)で頻出。「📈 売上 +5.2%・営業利益 +12.5%」のように、緑色(増)・赤色(減)で視覚化している。


4. 評価・その他

スコアランク A〜E(本サイト独自)

意味: 配当持続性スコア(100点満点)を5段階のランクに分類。

ランク 点数 配当持続性 ★
A 85〜100 極めて高い ★★★★★
B 70〜84 高い ★★★★☆
C 55〜69 標準的、注視必要 ★★★☆☆
D 40〜54 配当持続性に懸念 ★★☆☆☆
E 0〜39 警戒水準 ★☆☆☆☆

注意点: ランクは 過去の決算数値の機械的整理結果 であり、将来の減配可能性や投資収益を予測するものではありません。同じ銘柄でも、四半期決算ごとに再採点されるため、時系列で変動します。

本サイトでの位置づけ: 各記事タイトル・記事冒頭・銘柄一覧・カテゴリページで表示。


業績の質(本サイト独自)

意味: 増減益の 質を評価する 本サイト独自の概念。同じ「営業利益+10%」でも、本業の構造改善によるものか、一過性の要因(資産売却益等)によるものかで意味が違うため、3段階で診断。

判定軸: 1. クリーン: 増減益の主因が本業の構造改善・継続的要因(原価改善・市場拡大・新製品立ち上げ等) 2. 混在: 一過性要因と本業要因が混じる(政策保有株売却益あり等) 3. 不透明: 増益の主因が一過性(特別利益・補助金・為替差益等)で本業の実態が見えにくい

本サイトでの位置づけ: 各記事の §7-1「業績増減要因の『業績の質』診断」で評価。スコアには直接含まれない が、Pros/Cons の判断材料として活用。


JPX区分(プライム・スタンダード・グロース)

意味: 東京証券取引所(JPX)の3つの市場区分。2022年4月の市場再編で導入。

区分 特徴 主な対象
プライム グローバル投資家との対話を重視。最も厳しい上場基準 大型株(時価総額・流動性大)
スタンダード 国内事業中心の中堅企業向け。基本的な上場基準 中型株
グロース 高成長企業向け。事業計画の合理性が重視される 新興・グロース株

本サイトでの位置づけ: 各記事のメタ情報として記載することがある(例:「TOPIX Mid400 / プライム」)。スコアには直接含まれないが、JPX区分は流動性・情報開示水準の参考 になる。


YMYL(ワイ・エム・ワイ・エル)

意味: Your Money or Your Life の略。Google検索の品質評価ガイドラインで定義される 「人の生命・健康・経済的安定に大きな影響を与える可能性のあるトピック」 のこと。

YMYLに含まれる主な分野:

  • 医療・健康
  • 法律
  • 金融・投資 ← 本サイト「高配当株カルテ」はここに該当
  • ニュース・時事
  • 公共・市民生活

Googleの評価基準: YMYLサイトは EEAT(経験・専門性・権威性・信頼性)が 特に厳しく 評価される。個人ブログでも「誰が」「どんな経験で」「どんな根拠で」書いているかの開示が重要。

本サイトでの対応:

  • 運営者情報(About)で投資経験・運営方針を開示
  • 各記事に データ出典の透明性 表(一次情報=決算短信・有価証券報告書などの開示資料や JPX の市場データに基づく数値、補助データ=本サイトの計算値や、株式分割の調整に不整合が残るなど留保付きの参考値 等を区別表示)
  • 記事は筆者が一次情報と内容を確認・編集したうえで公開し、下書き・集計・整形に補助ツールを使う範囲を各記事の免責文で明示
  • 全記事末尾に免責文を統一掲載

連結決算(れんけつけっさん)

意味: 親会社と子会社・関連会社をひとつの企業グループとしてまとめた決算。日本では2000年3月期から原則連結決算が主体になった。

個別決算との違い:

  • 個別決算: 親会社単体の財務状況のみ
  • 連結決算: 親会社+子会社+関連会社の合算(内部取引は相殺)

「のれん」: M&Aで子会社化した際の「買収プレミアム」が連結貸借対照表に「のれん」として計上される。減損テストの対象となり、会計年度で減損損失となるリスクあり(=純利益のマイナス要因)。

本サイトでの位置づけ: 各記事の数値はすべて 連結決算ベース。決算短信タイトルに「(連結)」と明記されている。本サイトが過去の財務時系列を取得している EDINET DB(後述)の数値もデフォルトで連結。


5. 株価指標

PER(株価収益率)

意味: Price Earnings Ratio の略。株価が1株あたり純利益(EPS)の何倍か を示す指標。「利益基準で見た株価の割安度」を測る最も一般的な物差し。

計算式: PER = 株価 ÷ EPS

計算例: 株価 2,000円 ÷ EPS 200円 = PER 10倍

目安:

  • 10倍未満: 割安(成熟・低成長企業に多い)
  • 10〜15倍: 標準
  • 15〜25倍: やや割高(成長期待込み)
  • 25倍超: 割高(高成長プレミアム)

注意点: 業種・成長性で適正水準が大きく異なる。同業他社や過去の自社水準と比較するのが原則。赤字企業はPER算出不能。

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの直接構成要素ではないが、各記事の参考情報として記載することがある。配当利回りと組み合わせて「PER低い+利回り高い=配当面で割安」という見方が可能。


PBR(株価純資産倍率)

意味: Price Book-value Ratio の略。株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍か を示す指標。「会社解散価値に対して市場が何倍評価しているか」を測る。

計算式: PBR = 株価 ÷ BPS

計算例: 株価 2,000円 ÷ BPS 1,000円 = PBR 2.0倍

目安:

  • 1倍割れ: 株価が解散価値を下回っている=市場が事業の将来性を悲観
  • 1〜1.5倍: 標準
  • 2倍超: 高成長・高ROE企業に多い

「PBR1倍割れ問題」: 2023年に東証が「PBR1倍割れ企業に資本コスト改善計画の開示を要請」したことで、PBR1倍割れ脱却を経営目標に掲げる企業が増加(本サイト記事でJR東海・日東富士製粉・三井住友FG等が該当)。

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの構成要素ではないが、「株主還元強化トレンド」の背景説明として記事内に記載することがある。


時価総額(じかそうがく)

意味: 株価 × 発行済株式数。企業の市場価値の総額。日本企業の時価総額ランキングは投資家の関心を集める。

計算式: 時価総額 = 株価 × 発行済株式数

計算例: 株価 2,000円 × 発行済 1億株 = 時価総額 2,000億円

目安(本サイトでの分類感覚):

  • 1兆円超: 超大型(プライム上位・TOPIX Core30)
  • 5,000億〜1兆円: 大型(TOPIX Large70)
  • 1,000億〜5,000億円: 中型(TOPIX Mid400)
  • 1,000億円未満: 小型(TOPIX Small)

本サイトでの位置づけ: ネットキャッシュスコアの分母として使用(時価総額対比でネットキャッシュが何%か)。各記事のメタ情報としても記載。


TOPIX分類(Core30 / Large70 / Mid400 / Small)

意味: TOPIXの構成銘柄を時価総額・流動性で4区分に分けたもの。投資信託の運用対象として参照されることが多い。

区分の概要:

区分 概要 時価総額の目安
TOPIX Core30 最も時価総額が大きく流動性の高い30銘柄 概ね5兆円超
TOPIX Large70 Core30に次ぐ70銘柄 概ね1〜5兆円
TOPIX Mid400 中型400銘柄 概ね1,000億〜1兆円
TOPIX Small 小型銘柄(以上を除いた残り) 概ね1,000億円未満

本サイトでの位置づけ: 各記事のメタ情報として「TOPIX Mid400」等を記載。流動性・情報開示水準の参考になる。


6. 株主還元(配当以外)

自社株買い(じしゃかぶがい)

意味: 企業が 自社の株式を市場から買い戻す 株主還元策。「自己株式取得」とも。配当と並ぶ二大還元策。

自社株買いの効果:

  • 発行済株式数が減る → 1株あたりの利益(EPS)が上がる
  • 株主の所有比率が相対的に高まる
  • 株価上昇要因となりやすい
  • 配当より柔軟(毎期義務付けでない)

配当との比較:

  • 配当: キャッシュとして直接受け取れる(=配当目的投資家にとって直接的な恩恵)
  • 自社株買い: EPS上昇・株価上昇による恩恵(=売却益や配当の押し上げで間接的)

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの直接構成要素ではないが、「総還元性向」として記事内で言及することが多い。9022 JR東海(2.8%消却)・8058 三菱商事(自己株1兆円)等が代表例。


自己株消却(じこかぶしょうきゃく)

意味: 自社株買いで取得した自社株を 会計上消滅させる こと。発行済株式総数が永続的に減少。

自社株保有 vs 消却の違い:

  • 保有のまま: 将来再発行できる(M&A対価・ストックオプション付与等)
  • 消却: 永続的に消滅。EPS押し上げ効果が確定的

消却を実施する企業の特徴:

  • 「金庫株を抱えるより株主還元を優先」という方針
  • 資本効率改善・ROE向上意識が高い
  • 9022 JR東海(発行済2.8%消却)・8058 三菱商事等

本サイトでの位置づけ: 「総還元性向」「資本コスト経営」の文脈で記事内に記載。


総還元性向(そうかんげんせいこう)

意味: 配当総額と自社株買い総額の合計が、純利益の何%にあたるかを示す指標。「配当性向」より幅広い還元意欲を測る。

計算式: 総還元性向 = (配当総額 + 自社株買い総額)÷ 純利益 × 100

計算例:

  • 配当総額 30億円 + 自社株買い 50億円 = 80億円
  • 純利益 100億円
  • → 総還元性向 80.0%

配当性向との対比:

  • 配当性向 30%: 配当だけで見ると控えめ
  • 総還元性向 80%: 自社株買い込みでは積極的還元 → 配当性向だけ見ると見落とす

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの直接構成要素ではないが、JR東海(9022)・タカラスタンダード(7981)など総還元性向が高い銘柄では記事内で必ず言及。配当方針の強度(10点)では、総還元性向の数値目標だけを掲げる場合は配当そのものの決定基準ではないため3点として扱います(配当性向目標を併記していれば6点)。


株式分割・株式併合

意味:

  • 株式分割: 1株を複数株に分ける(例: 1:2分割で1株が2株になる)
  • 株式併合: 複数株を1株にまとめる(例: 5:1併合で5株が1株になる)

配当への影響:

  • 株式分割: 1株あたり配当も比例調整(分割後DPSは分割比率で減少)
  • 株式併合: 1株あたり配当は併合比率で増加

よくある実施目的:

  • 株式分割: 投資単位が大きくなりすぎた場合(1株2万円超など)・流動性向上・個人投資家層拡大
  • 株式併合: 上場維持基準の単元株式数調整・低位株化の回避

本サイトでの位置づけ: EDINET DB の adjusted_dividend_per_share は分割調整済みだが、分割実施年度のデータが不完全に表示されることがある(2026-05-04 確認の事例: 8316 三井住友FG 2024/10 1:3分割・2003 日東富士製粉 2021/10 1:2分割)。表面値で大幅減配判定が出た場合は分割影響を要確認。詳細はスコアガイドを参照。


7. 開示・適時情報

決算短信(けっさんたんしん)

意味: 上場企業が 四半期ごとに 45日以内 に発表する業績速報。投資家への最初の業績情報伝達手段。

特徴:

  • 公認会計士監査を経ない速報値(後の有価証券報告書で確定)
  • 四半期(Q1/Q2/Q3)+ 通期(Q4)で年4回開示
  • 「業績ハイライト」「セグメント情報」「配当の状況」「次期見通し」を含む

本サイトでの位置づけ: 各記事の 一次情報源。タイトルに「(連結)」明記の連結決算ベースの数値を採用。記念配当・特別配当の内訳確認は決算短信「配当の状況」セクションで行う。


有価証券報告書(有報)(ゆうかしょうけんほうこくしょ)

意味: 上場企業が 年1回(本決算後3ヶ月以内) にEDINETで公表する詳細財務報告。決算短信より詳細・正確だが公開が遅い。

決算短信との違い:

  • 監査済(公認会計士の監査済)・確定値
  • 開示時期は決算短信より2-3ヶ月遅い
  • セグメント情報・主要顧客・役員報酬・株主構成など詳細情報が含まれる
  • XBRL形式で機械可読

本サイトでの位置づけ: 有価証券報告書の原資料は金融庁の EDINET で公開される。本サイトが過去の配当履歴等を取得している EDINET DB(後述)は、その EDINET 提出書類の XBRL を基に第三者が構築した外部データベースで、元をたどれば有報ベースのデータになる。


TDnet(適時開示)

意味: Timely Disclosure network の略。東京証券取引所が運営する適時開示情報伝達システム。決算発表・配当方針変更・M&A等の重要情報を上場企業がリアルタイム公開。

特徴:

  • 開示時刻まで含めた即時公表
  • 決算短信は最初にここで公表される(各社IRサイトより早い)
  • 過去の開示履歴も検索可能

本サイトでの位置づけ: 本サイトでは、TDnetで最初に公表される決算短信を、各銘柄の決算分析の出発点として参照しています。


EDINET

意味: Electronic Disclosure for Investors' NETwork の略。金融庁が運営する電子開示システム。有価証券報告書・四半期報告書・大量保有報告書等の法定開示書類を公開。

特徴:

  • 法律上の開示義務に基づく書類のみ(決算短信は対象外・TDnet で公表)
  • XBRL形式で機械可読
  • 金融庁が提供するAPI経由でも取得可能(無料登録制)

EDINET と「EDINET DB」の違い:

  • EDINET(金融庁): 有価証券報告書などの原資料そのものが公開される場所
  • EDINET DB(edinetdb.jp): EDINET 提出書類の XBRL を基に、第三者が構築した外部データベース。本サイトが過去の配当履歴・財務時系列を取得している経路がこちらで、金融庁の運営ではありません

本サイトでの位置づけ: 過去の配当履歴・財務時系列は、EDINET DB を経由して取得した数値を 主要データソース として使っています。配当性向・ネットキャッシュ・配当持続性スコアなどは本サイトが計算した値です。DOE は会社の開示値を優先し、開示がない場合に本サイトが計算しています。直近期の確定値や配当の内訳(記念配当・特別配当の区分など)は決算短信を優先し、外部データベースの表面値と食い違う場合は決算短信・有価証券報告書といった原資料の側を採用します。


8. 経営計画・業績指標

中期経営計画(中計)(ちゅうきけいえいけいかく)

意味: 通常 3〜5年 先までの経営目標を示す計画。日本上場企業の多くが3年計画を採用。

典型的な記載項目:

  • 売上・利益目標(数値コミット)
  • ROE目標
  • 配当方針(累進配当宣言・DOE目標等)
  • 自己株買い計画
  • 重点投資領域

配当との関連:

  • 中計で配当方針を明確化する企業が増加
  • 例: 7949 小松ウオール工業「NEXT VISION 2028」で DOE 6%目標 を明示
  • 例: 4503 アステラス製薬「Strategic Plan 2030」

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの「配当方針の強度(10点)」を判定する重要材料。中計でDOE目標明示があれば8点(累進配当に次ぐ強度)。


受注残高(じゅちゅうざんだか)

意味: 既に契約済みで 未売上 の金額。受注産業(機械・建設・SIer等)で重要。

受注残高の見方:

  • 受注残が積み上がっている = 来期売上の基盤が確実
  • 受注残が減少傾向 = 受注ペース鈍化の兆し

受注高 vs 受注残高 vs 売上高の関係:

  • 期初受注残高 + 当期受注高 − 当期売上高 = 期末受注残高

本サイトでの位置づけ: 各記事の §1 業績サマリーで該当業種の場合に記載(7949 小松ウオール工業の受注残高+8.4%等)。来期業績予想の参考になる。


進捗率(しんちょくりつ)

意味: 通期計画に対する累計実績の達成度合い。四半期決算で重視 される指標。

計算式: 進捗率 = 累計実績 ÷ 通期予想 × 100

標準ペース:

  • Q1終了時点: 25%
  • Q2(中間期)終了時点: 50%
  • Q3終了時点: 75%
  • Q4(通期): 100%

評価のポイント:

  • 標準ペース対比で 進捗率が高い → 通期上方修正の可能性
  • 進捗率が 低い → 通期予想下方修正リスク
  • ただし業種特性で偏重があるケースあり(例: 第4四半期に偏重する業種)

本サイトでの位置づけ: 四半期決算記事(Q1〜Q3)の §1 業績サマリーに「通期計画 進捗率」サブセクションとして必須記載(2026-05-04 強化フォーマット)。


EBITDA(イービットディーエー)

意味: Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization の略。金利・税金・減価償却前の利益。設備投資の重い業種で本業の収益力を測る際に使われる。

計算式: EBITDA = 営業利益 + 減価償却費

営業利益との違い:

  • 営業利益: 減価償却費を引いた後の利益
  • EBITDA: 減価償却費を 引く前 の利益(=現金ベースに近い)

EBITDAが好まれる場面:

  • 通信・電力・ガス等の 装置産業(減価償却が大きい)
  • M&A評価(EV/EBITDA倍率)
  • 業績連動の経営報酬(KPI設計)

本サイトでの位置づけ: 配当持続性スコアの直接構成要素ではないが、IFRS適用企業のレポートで「コアベース(調整後EBITDA等)」が記載される場合は §1 で参考表示することがある。


9. 配当受取の実務

権利付き最終日(けんりつきさいしゅうび)

意味: 配当を受け取るために、株を保有しておくべき最終日。この日の取引終了時点で株主名簿に記載されていることが必要。

タイミング(日本株の場合):

  • 通常 決算期末日の2営業日前(例: 3月決算企業なら3/末日の2営業日前)
  • この日までに株を購入し、引け値まで保有していれば配当を受け取れる
  • 翌日以降に株を売っても配当は受け取れる

例(2026年3月決算企業):

  • 3月31日: 決算期末日(=権利確定日)
  • 3月27日(金): 権利付き最終日(=2営業日前)
  • 3月30日(月): 権利落ち日
  • 6月: 配当支払日(株主総会後)

本サイトでの位置づけ: 投資実務として重要だが、本ブログの「配当持続性スコア」では使用しない。読者の利便性向上のため掲載。


権利落ち日(けんりおちび)

意味: 配当を受ける権利が 無くなった日。権利付き最終日の翌営業日。

株価への影響:

  • 一般に 配当額分だけ株価が下落する 傾向(理論値ベース)
  • 例: 配当 70円の銘柄が権利付き最終日の引値 2,000円なら、権利落ち日の理論値は約 1,930円
  • 実際の株価は需給で多少ぶれる

注意点:

  • 配当を「もらった上で売る」=権利落ち日翌日以降の売却で配当+株式売却益を確保
  • ただし権利落ち分の株価下落で売却損が出る可能性も
  • 「配当狙い」の短期売買は税金・売買コストで負ける可能性が高い

本サイトでの位置づけ: 投資実務の参考情報。


配当支払日(はいとうしはらいび)

意味: 実際に配当が 株主の証券口座に振り込まれる日。権利確定日から通常2-3ヶ月後。

タイミング:

  • 3月決算企業: 6月の株主総会後(6月下旬〜7月上旬)
  • 12月決算企業: 3月の株主総会後(3月下旬〜4月上旬)
  • 中間配当: 期末日から2ヶ月後程度

配当の税務:

  • 上場株式の配当は通常 20.315%の源泉徴収(所得税15.315%+住民税5%)
  • NISA口座での受取なら非課税
  • 確定申告で「総合課税」or「申告分離課税」を選択可能(高所得者は総合課税不利)

本サイトでの位置づけ: 配当受取の実務情報として参考掲載。


NISA(成長投資枠・つみたて投資枠)

意味: Nippon Individual Savings Account の略。少額投資非課税制度。NISA口座で受け取る配当・売却益は非課税。

現行(新)NISA(2024年〜):

枠 年間投資上限 累計上限 対象
成長投資枠 240万円 1,800万円(つみたて投資枠と合算) 個別株・ETF・投資信託
つみたて投資枠 120万円 同上 長期積立投資信託(金融庁認定)

配当目的投資との相性:

  • 高配当株は 成長投資枠 で保有が王道
  • 配当が非課税(=実質的な利回り改善)
  • 配当再投資複利の効率が向上

注意点:

  • NISA口座で売却損が出ても他の口座と損益通算不可
  • 銘柄の最低投資額を意識(100株単位での購入が必要)

本サイトでの位置づけ: 投資実務情報として参考掲載。各記事のスコアと組み合わせて、NISAでの長期保有候補銘柄を検討する材料に。


関連リンク


※本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤字・誤情報にお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。