【上組(9364)】配当B(73点)・14期連続増配 — 2026年3月期

観察中(筆者は当該銘柄を未保有)📁 倉庫・運輸関連業

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📌本記事は旧期(過去四半期)の決算分析です。 同銘柄の最新カルテをご覧ください。→ 最新版を見る

結論: 大幅増配で還元強化、来期は減益でも205円維持。

📊 スコア: B 73点
💰 配当: 130→205円(+75円)、来期205円予想(±0円)
良い点: 大幅増配、DOE 5.3%、自己株取得130億円
⚠️ 注意点: 来期減益見通し、配当性向74%上昇、累進・DOE目標は未公表


1. 業績ハイライト

  • 営業収益: 2,947.58億円(+5.6%)、物流事業の取扱量増が牽引。
  • 営業利益: 365.44億円(+10.4%)、本業ベースの増益。
  • 純利益: 312.62億円(+16.1%)、賃貸不動産・政策保有株売却益を含む。
  • 大幅増配: 130→205円(+75円・+57.7%)、自己株取得130億円も併走。
  • 来期予想: 営業利益 △6.1%・純利益 △12.5%、コスト常態化を保守的に織り込み。

2. 配当判断サマリー

  • 当期130→205円の大幅増配でDOE3.5%→5.3%へジャンプ、還元強化フェーズに入った姿勢が明確。
  • 来期は減益予想下でも205円据置で配当性向74%まで上昇、減益局面の下値支え。
  • 中期経営計画2030で配当性向70%程度目安を明示+自己株取得130億円併走で総還元意欲は強い(累進・DOE目標は未公表)。

3. スコア内訳

配当持続性ランク: B(73/100点) ★★★★☆

カテゴリ 配点 得点 主な内容
配当 50 38 配当性向7、DOE 10、利回り7、配当方針6、増配耐性8
財務 25 19 自己資本比率10、ネットキャッシュ4、営業CF安定性5
収益 25 16 営業利益率12、ROE 4
合計 100 73

3-1. 主な加点

  • DOE 10/10: 5.3%(前期3.5%から+1.8pt)、ガイドの「5%以上」帯到達
  • 自己資本比率 10/10: 73.5%、倉庫・運輸関連業の業種補正を待つまでもなく、本則の「60%以上」帯で満点
  • 営業CF安定性 5/5: 過去5年営業CF黒字継続、当期357.17億円(前期404.09億円から△11.6%・20%以内の変動)
  • 営業利益率 12/15: 12.40%(前期11.86%から+0.5pt)、ガイドの「10〜15%」帯
  • 増配・減配耐性 8/10: 14期連続増配(2013年3月期〜2026年3月期・株式併合調整後ベース・コロナ期も増配)+来期205円維持予想
  • 配当性向 7/10: 65.9%、倉庫・運輸関連業の業種補正(中央値50%)対比+15.9pt(中央値+10〜20pt帯)
  • 配当利回り 7/10: 4.10%、ガイドの「3.5〜4.5%」帯

3-2. 主な減点

  • ネットキャッシュ 4/10: 現金及び預金76,279百万円 + 短期有価証券17,095百万円 − 有利子負債70,591百万円 = +22,783百万円時価総額対比4.3%でガイドの「10%未満」帯
  • ROE 4/10: 8.0%(前期7.0%から+1.0pt)、ガイドの「5〜10%」帯

3-3. 全体所感

  • スコアの中心要素: DOE 10+自己資本比率10+営業CF安定性5+営業利益率12+増配耐性8 — 高水準DOE・厚い財務・安定本業CFが還元規律を支える
  • 主な減点要因: ROE・ネットキャッシュの中位水準が財務・収益カテゴリで加点を抑制、B帯中位に着地
  • ランク境界の判断: 累進配当宣言/DOE目標の明示で配当方針8〜10へ+2〜4点、ROE10%帯回復で+3点とBランク上位への伸びしろあり

※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。


4. Pros & Cons

4-1. ✅ Pros

  • 大幅増配+自己株取得130億円の総還元 — DPSは130→205円(+57.7%)、自己株取得は前期170億円→当期130億円と継続実施で総還元意欲が強い
  • 自己資本比率73.5%・M&A取り込み後も超優良財務 — SAURASHTRA FREIGHT(インド)・日本ポート産業の連結子会社化で△4.5pt低下も依然73%超を確保
  • インタレストカバレッジ94.9倍 — 長期借入300億円調達後も金利負担吸収余力は大きい
  • 中計2030の財務目標(営業収益3,500億円・営業利益380億円・ROE8.0%)に当期実績で先行進捗 — 当期ROEは目標値8.0%に既に到達

4-2. ⚠️ Cons

  • 来期配当性向74%まで上昇予想 — 減益見通し下で205円維持により性向は当期65.9%→来期74.0%、安全圏(50%)を大きく超過
  • 累進配当・DOE目標は未公表 — 中計2030で配当性向70%程度目安は開示も、累進配当やDOE目標の明示はなく減益局面の制度的保証は限定的
  • 来期純利益 △12.5% — 中計2年目で投資先行・コスト上昇常態化を織り込み、米通商政策・中東情勢のリスクも要警戒
  • 当期純利益に一過性益(賃貸不動産・政策保有株売却益)の上乗せ — 営業利益 +10.4%に対し純利益 +16.1%の差分の一部が一過性

保有状況: 筆者は本銘柄を 保有していません(観察対象として継続フォロー予定)


5. 筆者メモ

来期は営業利益△6.1%・純利益△12.5%とコスト常態化を保守的に織り込むが配当205円は据え置き、保守的業績と還元維持の両立の実装が見どころ。

次回(2027/3期Q1・2026年8月発表予定)見るポイント:

  • 国際運送セグメントの貢献度: SAURASHTRA FREIGHT連結化(+28.9%)の通期フル寄与と利益率
  • 配当方針の深化: 配当性向70%程度目安に加えDOE目標・累進配当の明示へ進むか
  • 減益局面での205円維持: 上期実績で来期予想の保守性が確認できるか・上方修正余地

6. 配当の見方

6-1. 配当の中身

項目
2025/3期実績 中間50.0円+期末80.0円=130円
2026/3期実績 中間90.0円+期末115.0円=205円(+75円・+57.7%)
2027/3期予想 中間100.0円+期末105.0円=205円(±0円・配当性向74.0%)
配当性向(連結・表面) 65.9%(205円 ÷ EPS311.26円・短信記載値)→ 来期予想 74.0%
DOE 5.3%(前期3.5%から+1.8pt、短信記載値)
配当利回り 4.10%(205円 ÷ ¥5,000、2026-05-15終値、J-Quants API)
配当方針 中期経営計画2030で「連結配当性向70%程度を目安に利益配当を実施」を明示(2025年5月12日「利益還元に関する基本方針の変更および剰余金の配当(増配)に関するお知らせ」)。累進配当・DOE目標は未公表
連続増配年数 14期連続増配(2013年3月期〜2026年3月期・株式併合調整後ベース・当期205円で14期目)+来期2027/3期予想は 205円で同額維持 (増額なし・連続増配は途切れる)

6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)

2020〜2021年の履歴を表示
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2020 46.00 155.06 29.7%
2021 50.00 152.97 32.7%
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2022 73.00 180.14 40.5%
2023 90.00 220.69 40.8%
2024 100.00 232.97 42.9%
2025 130.00 257.88 50.4%
2026 205.00 311.26 65.9%
2027(予) 205.00 276.94 74.0%

(注)

  • データ基準: EDINET DB引用、直近期(2026)は短信記載と一致確認済
  • 連続増配年数の数え方: 起点は2013年3月期(2026年3月期で14期連続増配)。株式併合調整後の年間DPSは 2012年3月期18円 → 2013年3月期20円(起点)→ 2014年22円 → 2015年24円 → 2016年26円 → 2017年28円(実質普通配当ベース)→ 2018年35円 → 2019年45円 → 2020年46円 → 2021年50円 → 2022年73円 → 2023年90円 → 2024年100円 → 2025年130円 → 2026年205円 と各期増配し、据え置き・減配の期はない。系列は有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」(5期分)を年度をまたいで連鎖させて確認したもので、2011年3月期以前は入手できた会社開示の範囲外のため、実際の連続増配はさらに長い可能性があるが本記事では確認できる範囲にとどめている
  • 株式併合の換算基準: 2017年10月1日付で普通株式2株につき1株の割合による株式併合(株式分割ではない)を実施しており、上記の系列はこれを調整した後のベース(併合前実額の2016年3月期13円・2017年3月期15円を各2倍換算)。2018年3月期の35円も併合調整後の値である。第79期 有価証券報告書 提出会社の注記は「第79期の1株当たり配当額28円は、中間配当額7円と期末配当額21円の合計としております。なお、当該株式併合を踏まえて換算した場合、中間配当額は14円となるため、期末配当額21円を加えた年間配当額は1株当たり35円となります」としており、単純合算の28円は中間が併合前・期末が併合後という異基準の合算にあたるため採用せず、併合後基準に揃えた7円×2+21円=35円を年間配当としている。なお会社の統合報告書2025「10カ年財務データ」は2015年度・2016年度のDPSを併合前実額(13円・15円)のまま掲載しており、遡及換算は2017年度以降にしか及んでいない。本記事の26円・30円は同表の値をそのまま用いたものではなく、併合後基準へ換算した値である
  • 記念配当: 2017年3月期の年間配当(併合前実額15円=中間6円+期末9円)には創業150年記念配当1円が含まれる(第78期 有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」注記)。上組は慶応3年(1867年)創業で、株式併合後換算では年間30円のうち記念配当2円・実質普通配当28円にあたる。確認範囲(2012年3月期〜2026年3月期)で記念配当・特別配当の計上はこの1件のみであり、記念配当を除いても2016年3月期26円 → 2017年3月期28円 → 2018年3月期35円と各期増配しているため、表面DPSベースと実質普通配当ベースで連続増配年数は一致する
  • (注)2026-08-15 訂正: 本記事は当初、連続増配を「2017年3月期を起点とする10期連続」とし、それ以前は1株当たり配当額の会社開示が確認できないと記載していました。有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」を年度をまたいで連鎖させることで2012年3月期まで遡れることが判明したため、14期連続増配(2013年3月期〜2026年3月期)へ改め、「それ以前は確認できない」旨の記載を削除しました。あわせて「確認範囲では記念配当・特別配当の計上なし」としていた記載は誤りで、2017年3月期に創業150年記念配当1円(株式併合後換算2円)が含まれるため訂正しています。記念配当を除いても各期の増配は途切れないため、表面ベースと実質普通配当ベースで年数が一致するという結論は変わりません。このほか、自己資本比率10点の根拠を業種補正ではなく本則の「60%以上」帯である旨へ、配当方針の出典を2025年5月12日「利益還元に関する基本方針の変更および剰余金の配当(増配)に関するお知らせ」へ、§7-2 の「現金等」の表記を貸借対照表の「現金及び預金」と「短期有価証券」へそれぞれ改め、§7-3 に来期予想ベースの営業利益率・ROEを追記しました。いずれも各項目の得点に影響せず、配当持続性スコア73点・ランクBに変更はありません
  • 配当政策の傾向: 2020→2026で46→205円(約4.5倍)、配当性向は30%→66%へ段階的引き上げ、当期は中計2030初年度として還元水準を一段ジャンプ

6-3. 配当の評価ポイント(3点)

  • 増配構造: 2013年3月期以降14期連続増配、当期は+57.7%の大幅増配で水準が一段切り上がり、来期も維持
  • 方針シグナル: 中計2030で配当性向70%程度目安を明示+自己株取得130億円併走・配当性向65.9%へ引き上げで総還元へのコミットメントは強い
  • 耐性実績: コロナ期(2020→2021)も46→50円で増配継続、確認できる範囲(2012年3月期以降)で減配履歴なし、減益局面でも205円維持予想で耐性は高い

7. 詳細データ

7-1. 業績サマリー

指標 当期 前期 前期比
営業収益 2,947.58億円 2,791.82億円 +5.6%
営業利益 365.44億円 330.95億円 +10.4%
経常利益 406.85億円 366.55億円 +11.0%
当期純利益 312.62億円 269.35億円 +16.1%
EPS 311.26円 257.88円 +20.7%
ROE 8.0% 7.0% +1.0pt

セグメント別(対前年同期比)

セグメント 売上 前期比 セグメント利益 前期比
物流事業 2,610.97億円 +7.4% 315.36億円 +9.9%
その他事業 374.51億円 △4.5% 49.78億円 +13.6%

業績増減要因の「業績の質」診断

観点 評価 解釈
一過性要因 🟡 純利益伸長(+16.1%)に賃貸不動産・政策保有株売却益が含まれる
営業外損益 🟢 持分法投資利益13.54→20.68億円と本業の力(物流・倉庫の取扱量増)が経常利益を押し上げ
純利益押し上げ要因 🟡 投資有価証券売却益+43.87億円・固定資産売却益+11.54億円・関係会社株式評価損△8.63億円等の差引で特別利益+6.10億円(前期+1.97億円)
開示の誠実性 🟢 セグメント区分明確、M&A(SAURASHTRA FREIGHT・日本ポート産業)の連結化を「収益基盤としてのグローバル事業の確立」「国内基盤事業のシェア拡大・強靭化」として注記

業績の質: 良好(本業ベースの増益+一過性益の上乗せ)

7-2. 財務・CFサマリー

指標 前期(2025/3期) 当期(2026/3期)
営業CF(百万円) 40,409 35,717
投資CF(百万円) △7,467 △60,608
財務CF(百万円) △17,894 △1,613
現金及び預金(BS・百万円) 75,096 76,279
短期有価証券(BS流動・百万円) 26,790 17,095
現金及び現金同等物 期末残高(CF・参考・百万円) 95,509 69,189
自己資本比率(%) 78.0% 73.5%
  • 有利子負債: 短期借入金の計上はなく、1年内返済予定の長期借入金20,169百万円+長期借入金50,422百万円=合計 70,591百万円(前期40,486百万円から+30,105百万円、M&A資金調達)。リース債務は流動・固定とも独立表示がなく「その他」に含まれるため算入していない
  • ネットキャッシュ: 現金及び預金76,279百万円 + 短期有価証券17,095百万円 − 有利子負債70,591百万円 = +22,783百万円。時価総額532,884百万円(株価¥5,000×期末発行済株式数106,576,837株・自己株式を含む)の4.3%で、プラスかつ時価総額10%未満の帯にあたる。長期保有の投資有価証券129,088百万円は分子に算入していない
  • (注)2026-08-04 訂正: 時価総額の算定株数を発行済株式総数(自己株式を含む)ベースへ統一し、時価総額・時価総額比の数値を修正しました(ネットキャッシュの得点に変更はありません)。

7-3. 来期業績予想(2027/3期)

項目 予想 前期比
営業収益 3,050.00億円 +3.5%
営業利益 343.00億円 △6.1%
経常利益 375.00億円 △7.8%
親会社株主帰属当期純利益 273.40億円 △12.5%
EPS 276.94円 △11.0%
営業利益率(来期予想) 11.2%(34,300百万円÷305,000百万円・本ブログ算出) △1.2pt(当期実績12.40%)
ROE(来期予想) 6.9%(予想純利益27,340百万円÷当期末自己資本395,523百万円・本ブログ算出) △1.1pt(当期実績8.0%)

7-4. データ出典の透明性

項目 出典 信頼度
通期営業収益・営業利益・経常利益・純利益・EPS・ROE・営業利益率 2026年3月期 決算短信(2026年5月14日開示) 🟢 一次情報
来期業績予想 2026年3月期 決算短信「1.(4)今後の見通し」 🟢 一次情報
配当方針(連結配当性向70%程度目安・中期経営計画2030) 上組「利益還元に関する基本方針の変更および剰余金の配当(増配)に関するお知らせ」(2025年5月12日) 🟢 一次情報
営業利益率(来期予想)・ROE(来期予想) 本ブログ算出(会社予想値より計算・ROE分母は当期末自己資本) 🟡 補助データ
配当実績・来期予想・配当性向・DOE 2026年3月期 決算短信「2.配当の状況」 🟢 一次情報
自己資本比率・純資産・現金及び預金・短期有価証券・有利子負債・期末発行済株式数・自己株式取得 2026年3月期 決算短信「連結貸借対照表」「連結CF計算書」「(3)発行済株式数」 🟢 一次情報
セグメント別 2026年3月期 決算短信「1.(1)当期の経営成績の概況」 🟢 一次情報
過去配当履歴・EPS推移 EDINET DB 🟢 一次情報
2012〜2025年3月期のDPS・株式併合(2017年10月1日付・2株→1株)・2018年3月期の配当基準の内訳・創業150年記念配当 上組 有価証券報告書(第73期〜第79期ほか)「主要な経営指標等の推移」注記・統合報告書2025「10カ年財務データ」 🟢 一次情報
株価¥5,000(2026-05-15終値) J-Quants API(JPX 公式) 🟢 一次情報

【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。