【東京海上ホールディングス(8766)】配当B(75点)・利回り3.07%・6期連続増配 — 2026年3月期

観察中(筆者は当該銘柄を未保有)📁 保険業

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結論: 海外保険が牽引し増収・大幅増配で還元姿勢が明確

📊 スコア: B 75点
💰 配当: 172→218円(+46円)、来期245円予想(+27円)
良い点: 大幅増配、配当性向50%目標、ROE18.7%、海外伸長
⚠️ 注意点: 当期減益、保険業の財務構造減点、IFRS移行で来期EPS変動


1. 業績ハイライト

  • 経常収益8兆8,722億円(+5.1%)・海外保険の伸長が寄与
  • 経常利益1兆3,486億円(△7.6%)・前期の高水準からの反動減
  • 親会社株主帰属純利益9,804億円(△7.1%)で減益
  • EPS515.55円(△4.9%)・ROE18.7%(△1.9pt)
  • 海外保険事業の経常利益5,590億円(+14.4%)が国内減益を緩和

サマリー

  • 海外保険が成長を主導: 海外保険事業の経常利益が4,884→5,590億円(+706億円)と伸長し、国内損保の自然災害負担(△1,488億円)を吸収。北米を中心としたポートフォリオ多様化が全体減益の歯止めとなった
  • 減益は前期反動が主因: 前期(2025/3期)が経常利益+73.3%・純利益+51.7%という異例の高水準だった反動で当期は減益。ROE18.7%は依然高水準で、本業の収益力が損なわれた減益ではない
  • 政策株売却を継続: 有価証券売却益7,132億円(前期8,422億円)を計上する一方、相場環境で売却損も4,718億円へ増加。政策保有株式の縮減を進めつつ資産運用損益の振れが利益に反映された

2. 配当判断サマリー

  • 当期DPS218円(+46円)・来期245円予想(+27円)で増配トレンドが継続
  • 普通配当は修正純利益(5年平均)に配当性向50%を乗じた金額を基礎とし、利益成長に応じて高める方針
  • 配当性向42.3%は保険業の標準(50%まで)に対し低めで配当原資に余裕・DOE7.9%も高水準
  • 同じ保険大手で累進配当を掲げるMS&AD(8725)と並び、金融大手の安定還元として位置づけられる

3. スコア内訳

配当持続性ランク: B(75/100点) ★★★★☆

カテゴリ 配点 得点 主な内容
配当 50 40 性向10・DOE10・利回り4・方針6・耐性10
財務 25 10 自己資本6・ネットキャッシュ0(保険業の構造的特性で低く出る)・営業CF安定性4
収益 25 25 営業利益率15・ROE10
合計 100 75

3-1. 主な加点(高得点項目)

  • 営業利益率 15/15: 経常利益率15.2%(経常利益÷経常収益・保険は営業利益区分なし)で15%以上・満点
  • 配当性向 10/10: 表面42.3%(法定EPSベース・保険業の標準50%以下)で満点。会社方針は修正純利益ベースの配当性向50%で、表面値とは基準が異なる点に留意
  • DOE 10/10: 7.9%(5%以上)で満点。保険大手3社でも最高水準の純資産還元率
  • 増配減配耐性 10/10: 直近5年で減配なし+来期増配予想で満点
  • ROE 10/10: 18.7%(15%以上)で満点。保険大手でも高水準
  • 営業CF安定性 4/5: 過去6年営業CFは黒字継続・単発外れ値1件を除けば残り4年は変動±20%以内で安定(保険のCFは保険金支払・運用で年度によりブレやすい)

3-2. 主な減点(低得点項目)

3-3. 全体所感

  • スコアの中心要素: 収益25点(経常利益率・ROEともに満点)と配当40点(性向余裕・DOE7.9%・増配継続)が75点の中核
  • 主な減点要因: 保険業の構造的特性で財務カテゴリが10点・配当方針は累進明示でなく配当性向目標の6点に留まる
  • ランク境界の判断: B(70〜84点)中位。財務0点中心の構造減点を考慮すれば配当持続性の実態は本スコア以上に高いが、A(85+)に届かないのは保険業の財務カテゴリ構造減点が主因。配当方針が累進明示なら方針10点でBの上位帯となりうる

※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。保険業は責任準備金・運用資産が事業構造の性質で財務指標が構造的に低くなるため、本スコアの財務カテゴリは参考度が低い点にご留意ください。


4. Pros & Cons

4-1. ✅ Pros

  • 海外保険事業の経常利益+706億円でポートフォリオ多様化が全体減益を緩和
  • 普通配当は修正純利益(5年平均)×配当性向50%を基礎とする明確な還元方針
  • Berkshire Hathaway子会社からの戦略的出資受入と再保険・M&A協働で長期信認を強化
  • 第三者割当と同時に2,000億円(上限130百万株)の自己株式取得を決議し希薄化を中和

4-2. ⚠️ Cons

  • 国内損害保険事業の経常利益△1,488億円・国内生保△66.3%と国内が減益
  • 有価証券売却損が2,951→4,718億円(+59.8%)へ増加し資産運用損益が振れやすい
  • 2027年3月期からIFRS任意適用でEPSが515.55→441.83円へ会計基準差により変動
  • 来期は国内1,050億円・海外950億円の自然災害発生損害を前提に置き達成リスクを内包

保有状況: 筆者は本銘柄を 保有していません(観察対象として継続フォロー予定)


5. 筆者メモ

保険業は財務カテゴリが構造的に低く出るため、本スコアB75は配当方針・収益性・増配耐性で構成されている。実態の配当持続性はスコア以上と評価している。

次回(2027年3月期 第1四半期)見るポイント:

  • IFRSベース来期予想8,300億円に対する第1四半期進捗率
  • 国内損保の自然災害損失と海外保険の利益伸長バランス
  • Berkshire Hathaway提携(再保険・M&A協働)の具体的な進展

6. 配当の見方

6-1. 配当の中身

項目
2025年3月期実績 172円(中間81+期末91)
2026年3月期実績 218円(中間105.5+期末112.5・+46円)
2027年3月期予想 245円(中間122.5+期末122.5・+27円)
配当性向(連結・表面) 42.3%(218円 ÷ EPS515.55円・決算短信記載値)
DOE(連結・純資産配当率) 7.9%(決算短信記載値)
配当利回り 3.07%(直近実績DPS218円 ÷ 株価¥7,111・2026-05-29終値・J-Quants API)
配当方針 普通配当は修正純利益の5年平均に配当性向50%を乗じた金額を基礎とし、利益成長に応じて持続的に高める方針。資本水準の調整はESR(経済価値ベースのソルベンシー比率)やROEターゲット等を勘案して機動的に実施
連続増配年数 6期連続増配(普通配当ベース・直近強含み基準) + 来期予想で 7期目 継続見込み

6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)

2022年以前の履歴を表示
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2020/3 76.4 369.74 20.7%
2021/3 79.8 232.13 34.4%
2022/3 86.6 613.46 14.1%
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2023/3 100.9 187.33 53.9%
2024/3 123.0 351.59 35.0%
2025/3 172.0 542.16 31.7%
2026/3(実績) 218.0 515.55 42.3%
2027/3(予想) 245.0 441.83 55.5%

(注)

  • データ基準: EDINET DB引用(2024/3期以前は2024年9月30日実施の1:3株式分割を反映した分割後相当値)、直近期(2026/3)は決算短信記載と一致確認済
  • 特別配当の内訳: 過去には資本水準調整のための特別配当(2018〜2020年度の中間期に支給)が普通配当に上乗せされた年度があり、特別配当を含む表面ベースでは一時的な減少が見られる年度がある。本ブログのルールでは特別配当は普通配当扱いだが、普通配当ベースでは増配が継続しており、会社も普通配当ベースで連続増配と説明している
  • 異常値の説明: 2023/3期の配当性向53.9%・2027/3期予想55.5%はEPSが一時的に低下/会計基準変更で変動する局面でも配当を積み増した結果。EPSは年度により大きく振れるため配当性向も変動する
  • 配当政策の傾向: 分割後相当ベースで76→80→87→101→123→172→218円と増配基調。直近5年(2021〜2026)は減配なくコロナ期も普通配当を維持

6-3. 配当の評価ポイント(3点)

  • 増配構造: 直近強含み基準で6期連続増配・分割後相当で123→172→218円(2024→2026)と利益成長に連動した増配。来期も245円予想で増配方向
  • 方針シグナル: 普通配当は修正純利益(5年平均)×配当性向50%を基礎とする数値ルールを明示。累進配当の文言はないが利益成長に応じて高める方針を継続
  • 耐性実績: 直近5年(2021〜2026)減配なし・コロナ期も普通配当を維持・DOE7.9%の高水準を確保

7. 詳細データ

7-1. 業績サマリー

指標 当期 前期 前期比
経常収益 8兆8,722億円 8兆4,401億円 +5.1%
経常利益 1兆3,486億円 1兆4,600億円 △7.6%
親会社株主帰属純利益 9,804億円 1兆0,552億円 △7.1%
EPS 515.55円 542.16円 △4.9%
ROE 18.7% 20.6% △1.9pt
経常利益率 15.2% 17.3% △2.1pt

セグメント別経常利益(対前年同期比)

区分 経常利益 前期比
国内損害保険事業 7,444億円 △1,488億円
国内生命保険事業 236億円 △465億円
海外保険事業 5,590億円 +706億円
ソリューション・その他事業 214億円 +134億円

業績増減要因の「業績の質」診断

観点 評価 解釈
一過性要因 🟡 経常利益△7.6%は前期の異例高水準(経常利益+73.3%)からの反動が主因
営業外損益 🟡 有価証券売却益が縮小し売却損が拡大・資産運用損益の振れが利益に反映
純利益押し下げ/押し上げ要因 🟡 国内損保の自然災害負担・国内生保の市場金利上昇局面の評価が純利益を抑制
開示の誠実性 🟢 セグメント別経常利益・有価証券損益内訳・Berkshire提携や自己株式取得を後発事象まで開示

業績の質: 海外は堅調・国内減益と運用損益の振れで純利益段階に留意点(中位)

7-2. 財務・CFサマリー

指標 2025/3 2026/3
営業CF(百万円) 1,345,080 584,259
投資CF(百万円) 164,619 639,725
財務CF(百万円) △1,188,437 △624,251
現金等期末残高(百万円) 1,469,794 2,085,069
自己資本比率(%) 16.3 17.0
  • 自己資本比率: 17.0%は保険業補正(20%以上で10点・10〜20%で6点)に照らし6点。責任準備金を多く抱える保険業の構造上、自己資本比率は低めに出る
  • ネットキャッシュ: 保険業は責任準備金・運用資産が事業構造の性質で「現金−有利子負債」評価は構造的に非適用(救済対象外)のため0点
  • 資本健全性の補足: 保険業はESR(経済価値ベースのソルベンシー比率)が資本十分性の主指標。自己資本は前期5兆0,768億円から当期5兆4,203億円へ増加。当期の営業CFは前期比で大きく減少したが、保険金支払・責任準備金の変動で保険業のCFは年度によりブレやすい

7-3. 来期業績予想(2027年3月期・IFRSベース)

項目 予想 前期比
親会社所有者帰属当期利益 8,300億円 —(日本基準実績との単純比較不可)
基本的1株当たり当期利益 441.83円 —(同上)

(注)2026年3月期の有価証券報告書から国際財務報告基準(IFRS)を任意適用するため、来期(2027年3月期)予想はIFRSベースで作成。会社開示の増減率(+56.2%)はIFRSを適用した当期(2026年3月期・会計監査前)実績との比較で、日本基準の当期純利益9,804億円との単純比較はできない。前提として国内1,050億円・海外950億円の自然災害発生損害を見込む。

7-4. データ出典の透明性

項目 出典 信頼度
通期経常収益・経常利益・純利益・EPS・ROE・経常利益率 2026年3月期 決算短信(2026-05-20開示) 🟢 一次情報
来期業績予想(IFRSベース) 2026年3月期 決算短信「1.(3)翌連結会計年度の業績予想」「3.2027年3月期の連結業績予想」 🟢 一次情報
配当実績・来期予想・配当性向・DOE 2026年3月期 決算短信「2.配当の状況」 🟢 一次情報
配当方針(修正純利益5年平均×配当性向50%) 東京海上ホールディングス 中期経営計画・株主還元方針(IR 公開資料) 🟢 一次情報
自己資本比率・純資産・現金等・自己株式取得・後発事象 2026年3月期 決算短信「連結貸借対照表」「連結CF計算書」「重要な後発事象」 🟢 一次情報
セグメント別経常利益 2026年3月期 決算短信「セグメント情報」 🟢 一次情報
過去配当履歴・EPS推移(株式分割調整後) EDINET DB 🟢 一次情報
株価¥7,111(2026-05-29終値) J-Quants API(JPX 公式) 🟢 一次情報

【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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