【日本精線(5659)】配当C(62点) — 2027年3月期Q1

観察中(筆者は当該銘柄を未保有)📁 鉄鋼

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結論: Q1経常+81.7%、当期は+4円増配の46円予想。

📊 スコア: C 62点
💰 配当: 42.00→46.00円(+4.00円)、中間18.00+期末28.00の当期予想
良い点: 自己資本比率72.8%、実質無借金、半導体向け +58.7%
⚠️ 注意点: 前期に減配履歴、利回り3.17%、増益の7割が市況要因


1. 業績ハイライト

  • 売上 12,109百万円(+7.4%)・営業益 804百万円(+72.9%)
  • 経常 878百万円(+81.7%)・純利益 635百万円(+101.1%)
  • 営業利益率 6.6%(+2.5pt)・EPS 20.69円(+100.9%)
  • 半導体向け超精密ガスフィルター 1,831百万円(+58.7%)
  • 自己資本比率 72.8%(前期末75.4%・△2.6pt)・通期予想は据え置き

サマリー

  • 増益の主因は市況要因: 会社の経常利益変化要因分解では、ニッケル価格上昇に伴う棚卸資産評価益 +284百万円 が最大で、増益幅 +395百万円 の7割強を占める。
  • 半導体向けが金属繊維を牽引: 超精密ガスフィルターは1,831百万円(+58.7%)。ナスロン®フィルターの △29.9% を吸収し、金属繊維部門は +19.2% の増収となった。
  • 通期予想は据え置き: 2026年4月30日公表の通期予想(売上 +6.6%・経常 +20.3%)は不変。Q1進捗は売上24.4%・経常22.5%で、四半期均等をやや下回る水準。

2. 配当判断サマリー

  • 当期予想46.00円(中間18.00+期末28.00)で前期42.00円から +4.00円(+9.5%)増配、2026年3月期の △14.00円 減配から増配へ転じる見込み。
  • 会社方針は「連結配当性向50%程度を目途」で、当期予想の配当性向50.5%はほぼ方針どおりの水準(前期は減益局面で60.0%まで引き上げて減配幅を抑えた)。
  • 現金及び預金181.54億円に対し有利子負債は5.88億円で、Q1末時点でも配当を支える手元流動性は厚い。
  • 半導体製造装置向けの需要を取り込む点ではPILLAR(6490)(配当持続性ランクC)と近く、素材・部品側で同じ需要サイクルを共有する。

3. スコア内訳

配当持続性ランク: C(62/100点) ★★★☆☆

カテゴリ 配点 得点 主な内容
配当 50 26 性向7・DOE7・利回り4・方針6・耐性2
財務 25 24 自己資本10・ネットキャッシュ10・営業CF安定性4
収益 25 12 営業利益率8・ROE4
合計 100 62

3-1. 主な加点(高得点項目)

  • 自己資本比率 10/10: 72.8%(前期末75.4%・△2.6pt)、60%以上で満点
  • ネットキャッシュ 10/10: +175.66億円(現金及び預金181.54億円 − 有利子負債5.88億円)、時価総額約453.97億円の38.7%で「30%以上」帯
  • 営業CF安定性 4/5: 直近5期(2022〜2026年3月期)は44.73→18.61→46.82→47.19→36.17億円で5期連続黒字。2023年3月期の落ち込みを単発の外れ値として除けば残り4年が平均±20%以内
  • DOE 7/10: 3.3%見込み(予想配当総額約14.13億円 ÷ 自己資本425.70億円)、「3〜5%」帯
  • 配当性向 7/10: 通期予想50.5%(46.00円 ÷ 予想EPS91.17円)、採点基準の中央値35%との乖離 +15.5pt で「+10〜+20pt」帯

3-2. 主な減点(低得点項目)

  • 増配減配耐性 2/10: 2026年3月期に56.00→42.00円(△25.0%)の減配があり、判定対象の直近5年に減配履歴を含むため。当期予想は46.00円(+4.00円)で増配へ転じる見込み
  • 配当利回り 4/10: 3.17%(予想DPS46.00円 ÷ 株価¥1,452)、「2.5〜3.5%」帯
  • ROE 4/10: 通期予想ベース6.6%見込み(予想純利益28.00億円 ÷ 自己資本425.70億円)、「5〜10%」帯

3-3. スコアの動き(定点観測)

  • スコア変動: 前期(2026年3月期 通期)59点 → 今期62点(+3点)。前期カルテは公開後に営業CF安定性を3→4へ是正して合計58→59点へ訂正しており、本項は訂正後の59点を起点としている
  • 変動の内訳: 動いたのは配当カテゴリ23→26のみ。配当性向は進行期(当期通期予想)ベースの50.5%で採点基準の中央値35%との乖離が +25.0pt から +15.5pt へ縮み4→7となった
  • 満点項目の維持: 自己資本比率10点(72.8%)とネットキャッシュ10点(時価総額比38.7%)は前期から満点のまま、営業CF安定性4点と合わせ財務は24点で据え置き。収益カテゴリも営業利益率8点・ROE4点で12点と変わらず、点数の柱は動いていない
  • 現在の位置づけ: C帯の中位。財務24/25に対し配当26/50・収益12/25と偏りがあり、上値を抑えているのは2026年3月期の減配が判定対象の直近5年に残る増配減配耐性2点と、配当利回り4点・ROE4点の組み合わせ

※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。


4. Pros & Cons

4-1. ✅ Pros

  • 製品ミックスの高付加価値シフト: 高機能・独自製品の構成比が66.1%→67.0%へ上昇。市況に左右されにくい製品の比重が上がり、配当原資の振れ幅を抑える方向に働く。
  • 需要先の複線化: 収益の柱が住宅・太陽光向けの鋼線と半導体向けフィルターの二系統に分かれ、一方の低迷を他方が補える構成。単一市場への依存が薄い分、配当原資の底が割れにくい。

4-2. ⚠️ Cons

  • 中期経営計画の目標との開き: 中期経営計画NSG26の最終年度(2027年3月期)目標は売上550億円・経常52億円だが、会社の当期予想は497億円・39億円。最終年度に入っても計画線に届かない見通しで、還元原資の中期的な上振れ余地は限られる。
  • 汎用ステンレス鋼線の数量回復の鈍さ: 業界出荷数量(ステンレス協会)は2023年度の月4,356トンを底に4,711トンまで戻したが、2022年度の5,098トンには未達。太陽光発電パネル向け極細線も低調が続き、数量面の回復は緩やかにとどまる。

保有状況: 筆者は本銘柄を 保有していません(観察対象として継続フォロー予定)


5. 筆者メモ

配当性向50%程度を目途とする方針は業績連動型で、昨年の56→42円減配も今年の46円増配予想も同じ式の帰結。配当の安定はEPS次第なので、業績のブレ幅に注目したい。

次回(2027年3月期 中間決算・2026年10月下旬予定)見るポイント:

  • 中間配当18.00円が予定どおり実施され、通期46.00円の増配予想が維持されるか
  • 超精密ガスフィルターの月商610百万円という水準が中間期でも続くか(ナスロン®フィルターの △29.9% を吸収し続けられるか)
  • ニッケル価格が反落した場合に、棚卸資産評価益 +284百万円 の剥落を原価低減・価格改定でどこまで補えるか

6. 配当の見方

6-1. 配当の中身

項目
2026年3月期実績 42.00円(中間16.00+期末26.00・前期56.00円から △14.00円)
2027年3月期Q1実績 (第1四半期末配当の設定は行っていません)
2027年3月期予想 46.00円(中間18.00+期末28.00・+4.00円増配予想)
配当性向(連結・通期予想ベース) 50.5%(46.00円 ÷ 予想EPS91.17円・決算短信記載値)
DOE(連結・純資産配当率) 3.3%見込み(予想配当総額約14.13億円 ÷ 自己資本425.70億円で自己計算・第1四半期短信では記載を省略。前期実績は3.1%〔2026年3月期決算短信「純資産配当率(連結)」〕)
配当利回り 3.17%(予想DPS46.00円 ÷ 株価¥1,452・2026-07-24終値・J-Quants API)
配当方針 「連結業績や財政状態などを総合的に勘案し、連結配当性向50%程度を目途に配当を行うことを基本」(第96期有価証券報告書「3 配当政策」)。中期経営計画NSG26の策定にあたり2024年度(2025年3月期)から株主還元の考え方を同水準へ引き上げ、中間・期末の年2回が基本方針
連続増配年数 0期(2026年3月期に △14.00円 減配)+ 当期予想46.00円で 増配へ転換 見込み

6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)

2022年以前の履歴を表示
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2017 13.00 57.75 22.5%
2018 16.00 91.75 17.4%
2019 26.00 85.93 30.3%
2020 16.00 45.50 35.2%
2021 22.00 59.53 37.0%
2022 42.00 103.62 40.5%
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2023 42.00 100.65 41.7%
2024 42.00 84.52 49.7%
2025 56.00 105.97 52.8%
2026 42.00 69.94 60.0%
2027(予想) 46.00 91.17 50.5%

(注)

  • データ基準: EDINET DB引用。2022〜2026年度は第96期有価証券報告書「主要な経営指標等の推移(連結)」および決算短信の記載と一致確認済
  • 株式分割: 2024年4月1日付で普通株式1株につき5株の分割を実施。有価証券報告書は2022年3月期の期首に分割が行われたものとして1株当たり指標を算定しており、本表も全期を分割後ベースに統一
  • 2024年度EPSの補正: 公的データベースの分割調整済EPS(16.90円)は、すでに分割後基準で開示されている84.52円にさらに1/5を掛けた二重調整値。本表は有価証券報告書記載の84.52円を採用し、会社開示の連結配当性向49.7%と一致することを確認した
  • 異常値の説明: 2026年3月期は太陽光発電パネル向け極細線の販減と中国子会社解散に伴う特別損失でEPSが △34.0% となり、DPSを △14.00円 減配しつつ配当性向を60.0%まで引き上げて減配幅を抑えた
  • 特別配当記念配当: 2022年3月期以降の決算短信・有価証券報告書・会社IR「株式配当金」ページに記念配当・特別配当の記載はなく、表面DPS=普通配当ベース
  • 配当政策の傾向: 中期経営計画NSG26の初年度(2025年3月期)から「連結配当性向50%程度を目途」へ引き上げ。2026年3月期は減益で42.00円へ減配したが性向は60.0%まで許容し、当期予想46.00円は性向50.5%で方針水準に戻る

6-3. 配当の評価ポイント(3点)

  • 増配構造: 当期予想46.00円は前期比 +4.00円(+9.5%)。中間18.00円(前期16.00円)・期末28.00円(同26.00円)と中間・期末の両方を積み増す形で、減配前の56.00円水準へは届かないが増配方向へ戻す設計になっている。
  • 方針シグナル: 「連結配当性向50%程度を目途」を有価証券報告書「3 配当政策」に明記。当期予想の性向50.5%は方針水準とほぼ一致し、減益だった前期に60.0%まで引き上げた運用と合わせて、性向を軸に据える姿勢が一貫している。
  • 耐性実績: 2026年3月期の56.00→42.00円(△25.0%)が判定対象の直近5年に含まれるため耐性は2点。当期予想は増配だが、業績連動色が強い方針のもとで増配が続くかは通期実績の確認待ちとなる。

7. 詳細データ

7-1. 業績サマリー(2027年3月期 第1四半期累計)

指標 当期Q1 前期Q1 前期比
売上高 12,109百万円 11,275百万円 +7.4%
営業利益 804百万円 464百万円 +72.9%
経常利益 878百万円 483百万円 +81.7%
親会社株主帰属四半期純利益 635百万円 315百万円 +101.1%
EPS(Q1累計) 20.69円 10.30円 +100.9%
売上総利益率 14.6% 12.2% +2.4pt
営業利益率(Q1累計) 6.6% 4.1% +2.5pt
自己資本比率 72.8% 75.4%(前期末) △2.6pt

製品別売上(対前年同期比)

区分 売上 前期比
ステンレス鋼線 96.29億円 +4.7%
金属繊維(ナスロン®) 24.80億円 +19.2%
うち超精密ガスフィルター(NASclean®) 18.31億円 +58.7%
うちナスロン®フィルター 6.48億円 △29.9%

業績増減要因の「業績の質」診断

観点 評価 解釈
一過性要因 🟡 注意 会社の経常利益変化要因分解では、ニッケル価格上昇に伴う棚卸資産評価益 +284百万円 が増益幅 +395百万円 の最大要素。市況が反落すれば逆方向に効く
営業外損益 🟡 注意 経常878百万円 vs 営業804百万円の差74百万円のうち、為替差益19百万円・環境対策引当金戻入額29百万円は当四半期のみの計上
純利益押し下げ/押し上げ要因 🟢 良好 特別損益の計上なし。税金等調整前878百万円→純利益635百万円、法人税等252百万円(実効税率28.7%)で説明可能
開示の誠実性 🟢 高 決算説明資料で経常利益の変化要因をNi市況・数量変化・原価低減/価格改定・内容差・固定費等・営業外損益の6項目に金額分解。中期経営計画NSG26の2027年3月期目標(売上550億円・経常52億円)と当期予想の差も同一資料に併記

業績の質: 中品質(超精密ガスフィルターの粗利増 +163百万円 という実質改善はあるが、増益幅の最大要素はニッケル市況による棚卸資産評価益)

7-2. 財務・CFサマリー

指標 前期末(2026年3月末) 当Q1末(2026年6月末)
現金及び預金(百万円) 16,768 18,154(+1,386)
棚卸資産(百万円) 10,544 10,853(+309)
建設仮勘定(百万円) 2,816 3,622(+806)
純資産(百万円) 43,480 43,263(△217)
自己資本比率(%) 75.4 72.8(△2.6pt)
  • 有利子負債: 短期借入金88百万円 + 1年内返済予定の長期借入金162百万円 + 長期借入金338百万円 = 588百万円。総資産584.70億円に対し1%に満たず、実質無借金
  • ネットキャッシュ: 現金及び預金181.54億円 − 有利子負債5.88億円 = +175.66億円(時価総額約453.97億円の38.7%・「30%以上」帯=10点)。流動資産に有価証券の計上はなく、投資その他の資産15.56億円は換金性を厳格にみる本ブログの基準では算入対象外
  • 自己資本比率の低下: 支払手形及び買掛金が64.46億→77.38億円へ増えて負債合計が +19.40億円 拡大した一方、期末配当の支払いで純資産が △2.17億円 減り、比率は75.4%→72.8%へ
  • 四半期連結キャッシュ・フロー計算書: 第1四半期は作成されていないため、営業CF安定性は直近通期(2026年3月期)までの実績推移で評価(5期連続黒字・単発の外れ値1件を除けば残り4年が平均±20%以内=4点)

7-3. 通期業績予想(2027年3月期・据え置き)

項目 予想 前期比
売上高 49,700百万円 +6.6%
営業利益 3,900百万円 +26.7%
経常利益 3,900百万円 +20.3%
親会社株主帰属当期純利益 2,800百万円 +30.4%
EPS 91.17円 +30.4%
  • 据え置きの背景: 「業績は概ね2026年4月30日公表の予想どおりに推移しており、業績予想に変更はございません」と短信「(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」で明記。
  • 進捗評価: Q1で売上進捗24.4%・営業益進捗20.6%・経常進捗22.5%・純利益進捗22.7%。四半期均等(25%)をやや下回るが、会社は中間期累計で経常1,550百万円(+24.8%)を見込んでおり、下期偏重の計画になっている。

7-4. データ出典の透明性

項目 出典 信頼度
Q1売上・営業利益・経常利益・純利益・EPS・自己資本比率 2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(2026-07-24開示) 🟢 一次情報
通期業績予想・据え置きの説明・製品別売上 2027年3月期 第1四半期決算短信「1.経営成績等の概況」「(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」 🟢 一次情報
配当実績(2026/3期42.00円)・当期配当予想(46.00円)・配当性向 2027年3月期 第1四半期決算短信「2.配当の状況」・2026年3月期 決算短信「2.配当の状況」 🟢 一次情報
配当方針(連結配当性向50%程度を目途)・株式分割(2024年4月1日付1:5)・過去5期の連結EPS/営業CF 第96期 有価証券報告書(2026-06-22提出)「3 配当政策」「1 主要な経営指標等の推移」 🟢 一次情報
現金及び預金・棚卸資産・建設仮勘定・有利子負債・純資産 2027年3月期 第1四半期決算短信「四半期連結貸借対照表」 🟢 一次情報
経常利益の変化要因分解・高機能/独自製品比率・製品別月商・業界出荷数量・NSG26目標 2027年3月期 第1四半期決算説明資料(2026-07-24) 🟢 一次情報
過去配当履歴・EPS推移(2017年3月期〜2024年3月期) EDINET DB 🟢 一次情報
株価¥1,452(2026-07-24終値) J-Quants API(JPX 公式) 🟢 一次情報

【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。