【日本新薬(4516)】配当B(74点) — 2027年3月期Q1

保有中(筆者が当該銘柄を保有)📁 医薬品

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結論: アーリーダ寄与で2割増収増益、配当は124円据え置き

📊 スコア: B 74点
💰 配当: 124→124円予想(±0円)
良い点: 増収+24.1%、営業利益率19%予想、性向27.6%、実質無借金
⚠️ 注意点: 4期連続同額見込み、利回り3.42%、方針定性的、承認・訴訟の不確実性


1. 業績ハイライト

  • 売上収益490.66億円(+24.1%)・アーリーダ計上開始が寄与
  • 営業利益123.11億円(+22.1%)・研究開発費+48.6%を吸収
  • 親会社帰属四半期利益101.09億円(+22.5%)・EPS149.98円
  • 通期予想は修正無・営業利益の進捗率32.4%
  • 親会社所有者帰属持分比率85.6%(+1.4pt)と厚い資本

サマリー

  • 本業堅調: 「フィンテプラ」+66.9%・「ジャイパーカ」+138.1%等の主力品伸長に、契約改定で2025年10月から製品売上として計上する前立腺癌治療剤「アーリーダ」36.10億円が加わり、医薬品事業は+26.6%の増収
  • 業績の質に留意: 営業増益+22.30億円には、その他の収益13.64億円(前年同期1.69億円・固定資産売却益4.73億円含む)とその他の費用の減少が寄与。アーリーダ分を除く増収率は約+14.9%(本ブログ試算)
  • 投資先行局面: 研究開発費91.97億円(+48.6%)と増えたが通期計画405億円に対する消化率は22.7%で、費用は第2四半期以降に厚く残る計画。通期営業予想380億円(+7.1%)は据え置き

2. 配当判断サマリー

  • 当期予想124円(中間62+期末62・修正無)。124円は2024年3月期から4期連続の同額見込みで、増配は足踏みが続く
  • 配当性向27.6%(通期予想ベース・予想DPS124円÷予想EPS449.55円)は医薬品中央値45%を大きく下回り、配当原資には引き続き余裕
  • DOE3.1%(2026年3月期実績)は3〜5%帯・EDINET DB確認範囲の過去10年(2017〜2026年3月期)で減配なし
  • 同業では増配を続けるアステラス製薬(4503)やDOE5%目標を明示するツムラ(4540)と異なり、当社の還元方針は定性的な安定配当にとどまる

3. スコア内訳

配当持続性ランク: B(74/100点) ★★★★☆

カテゴリ 配点 得点 主な内容
配当 50 32 性向10・DOE7・利回り4・方針3・耐性8
財務 25 20 自己資本10・ネットキャッシュ7・営業CF安定性3
収益 25 22 営業利益率15・ROE7
合計 100 74

3-1. 主な加点(高得点項目)

  • 営業利益率 15/15: 通期予想19.0%(営業利益380億円÷売上収益2,000億円・本ブログ算出)で15%以上帯の満点
  • 配当性向 10/10: 27.6%(通期予想ベース)で医薬品中央値45%以下・配当原資に余裕があり満点
  • 自己資本比率 10/10: 親会社所有者帰属持分比率85.6%(60%以上)で満点。借入に依存しない資本構成
  • 増配減配耐性 8/10: 直近5年(2022〜2026年3月期)減配なし+当期維持予想で8点。連続増配は途切れており10点帯には未達
  • DOE 7/10: 3.1%(2026年3月期実績・親会社所有者帰属持分配当率)で3〜5%帯
  • ネットキャッシュ 7/10: +725.66億円(時価総額の28.5%)でプラス・10〜30%帯。実質無借金
  • ROE 7/10: 通期予想10.3%(予想純利益303億円÷平均自己資本・本ブログ算出)で10〜15%帯

3-2. 主な減点(低得点項目)

  • 配当方針 3/10: 「DOE(株主資本配当率)を勘案しながら、安定した配当を維持する方針」(2026年3月期 決算短信)と定性的な記述にとどまり、DOE目標値・配当性向目標・累進配当等の数値コミットは短信・IR株式基本情報ページとも明示なし(2026-08-20確認)
  • 配当利回り 4/10: 3.42%(予想DPS124円 ÷ 株価¥3,626・2026-08-19終値)で2.5〜3.5%帯

※収益カテゴリ(営業利益率15/15・ROE7/10)は当期通期の会社予想(営業利益率19.0%・ROE10.3%)を採点根拠としており、第1四半期の実績では採点していません。配当性向・配当利回りの分子も当期通期予想DPS124円です。

3-3. スコアの動き(定点観測)

  • スコア変動: 前期(2026年3月期 通期)74点 → 今期74点(±0点)
  • 変動の内訳: 配当32・財務20・収益22の全カテゴリで前期と同一。配当利回りの分子は当期通期予想DPS124円へ移行したが実績と同額のため得点は不変(3.42%・4/10)、営業利益率・ROEも通期予想ベースで前期と同じ帯にとどまる
  • 満点項目維持: 営業利益率15/15・配当性向10/10・自己資本比率10/10の3本柱は維持
  • 現在の位置づけ: B(70〜84点)下位。定性的な配当方針(3/10)と3%台前半の利回り(4/10)が引き続き点数の上値を抑えている

※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。


4. 事業の強み・構造リスク

4-1. ✅ 事業の強み

  • 費用を伴いにくいロイヤリティ収益の厚み: 第1四半期の工業所有権等収益は128.85億円(+11.9%)と売上収益の26%を占める(短信 補足情報)。「ウプトラビ」海外販売等に連動する契約収益で、製品販売と値動きの異なる収益源として配当原資の振れを和らげる
  • DMD領域に積み上がる多層パイプライン: 発売済みの「ビルテプソ」に加え、ブロギジルセン(第二相)・NS-050(第一/二相)・deramiocel(申請中)と、同一疾患領域で開発段階の異なる候補を並走させる(短信「製品開発状況」)。主力品の将来の競合リスクを後続で埋める設計

4-2. ⚠️ 構造リスク

  • 承認前売上を含む通期予想: 通期売上予想にはFDA審査中(審査終了目標日2026年8月22日)のDeramiocel 114億円を織り込む。提携先カプリコール社からは販売契約の解除等を求める訴訟も受けており(短信 偶発負債)、承認と契約の帰趨が売上下振れ要因になり得る
  • ビルテプソを巡る米国特許訴訟: サレプタ社との訴訟で2024年12月に同社損害額115.2百万ドルとする陪審評決を受けた(引当金は未計上・会社は控訴含め対応を検討)。賠償が確定すれば一時費用となり、主力品の米国販売環境にも関わる

保有状況: 筆者は本銘柄を 保有しています(株数は非開示・2026年8月時点)


5. 筆者メモ

通期予想にDeramiocel 114億円が入っている以上、FDA審査と提携先との訴訟の行方が今期の配当原資の振れ要因になる。保有者としてはまず8月22日の審査終了目標日の通過を見届けたい。


6. 配当の見方

6-1. 配当の中身

項目
2025年3月期実績 124円(中間62+期末62)
2026年3月期実績 124円(中間62+期末62・±0円)
2027年3月期予想 124円(中間62+期末62・±0円・修正無)
配当性向(連結・表面・通期予想ベース) 27.6%(予想DPS124円 ÷ 予想EPS449.55円・決算短信記載値と一致)
DOE(連結・親会社所有者帰属持分配当率) 3.1%(2026年3月期実績・2026年3月期 決算短信「2.配当の状況」記載値。第1四半期短信に当該欄なし。参考: 当期予想DPS124円×自己株式控除後期末株式数67,400,929株 ÷ 期首と当第1四半期末の平均自己資本293,481百万円で試算すると2.85%・本ブログ算出)
配当利回り 3.42%(予想DPS124円 ÷ 株価¥3,626・2026-08-19終値・J-Quants API)
配当方針 「DOE(株主資本配当率)を勘案しながら、安定した配当を維持する方針」(2026年3月期 決算短信「1.(5)利益配分に関する基本方針」)。DOE目標値・配当性向目標・累進配当等の数値コミットは短信・IR株式基本情報ページとも明示なし(2026-08-20確認)
連続増配年数 0期(2025年3月期から124円で据え置き・当期予想も124円。増配は2024年3月期が直近)

6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)

2022年以前の履歴を表示
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2017 48 174.42 27.5%
2018 52 192.31 27.0%
2019 70 242.04 28.9%
2020 86 250.42 34.3%
2021 99 290.12 34.1%
2022 110 370.97 29.7%
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2023 114 338.70 33.7%
2024 124 383.82 32.3%
2025 124 483.40 25.7%
2026 124 441.00 28.1%
2027(予) 124 449.55(予) 27.6%

(注)

  • データ基準: EDINET DB引用(2022年3月期以降はIFRS・親会社所有者帰属ベース、2021年3月期以前は日本基準)。直近期(2026年3月期)のEPS441.00円は決算短信記載と一致確認済・2027年3月期(予)は第1四半期決算短信の通期予想
  • 配当政策の傾向: 2018〜2024年3月期は毎期増配で48→124円へ拡大。2025年3月期以降は124円で据え置き(当期予想を含め4期連続の同額見込み)。コロナ期(2020〜2021)も増配を継続し、EDINET DB確認範囲の過去10年で減配なし

6-3. 配当の評価ポイント(3点)

  • 増配構造: 2018〜2024年3月期に毎期の増配で48→124円へ拡大した後、124円で足踏み。当期予想EPS449.55円(+1.9%)に対し配当性向27.6%と引き上げ余地を残す一方、増配再開の方針表明はない
  • 方針シグナル: 「DOEを勘案した安定配当の維持」という定性方針のみで数値目標なし。開示実績はDOE3.1%(2026年3月期)で、事実上の水準感はここにある
  • 耐性実績: 過去10年(2017〜2026年3月期・EDINET DB確認範囲)減配なし・コロナ期も増配継続・配当性向27.6%と原資に余裕

7. 詳細データ

7-1. 業績サマリー(第1四半期累計)

指標 当第1四半期 前年同期 前年同期比
売上収益 490.66億円 395.46億円 +24.1%
営業利益 123.11億円 100.81億円 +22.1%
税引前四半期利益 129.59億円 105.04億円 +23.4%
親会社帰属四半期利益 101.09億円 82.55億円 +22.5%
EPS 149.98円 122.52円 +22.4%
ROE(四半期実績・本ブログ算出) 3.4% 3.3% +0.1pt

セグメント別(対前年同期比)

区分 売上 前期比
医薬品事業 432.56億円 +26.6%
機能食品事業 58.10億円 +8.0%

セグメント利益は医薬品112.80億円(+13.5%)・機能食品2.63億円(+57.5%)。通期予想に対する進捗率は売上収益24.5%・営業利益32.4%・親会社帰属利益33.4%(本ブログ算出)で、会社は「概ね当初の計画に沿って推移」として通期予想を据え置いた。研究開発費は通期計画405億円に対し第1四半期の消化率22.7%で、費用は第2四半期以降に厚く残る計画。

業績増減要因の「業績の質」診断

観点 評価 解釈
一過性要因 🟡 営業増益+22.30億円のうち、その他の収益の増加+11.95億円(固定資産売却益4.73億円・手元資金の為替差益等)とその他の費用の減少+6.75億円の寄与が大きく、増収による粗利増は研究開発費・販管費の増加でほぼ相殺
営業外損益 🟢 金融収益6.89億円・金融費用0.41億円で、税引前増益+23.4%は営業段階とほぼ同率
純利益押し下げ/押し上げ要因 🟢 法人所得税費用28.51億円(実効税率22.0%・前年同期21.4%)と税負担は安定し、親会社帰属増益+22.5%は税引前増益と整合
開示の誠実性 🟢 主力製品別売上と対予想進捗率・パイプラインの変更点(CRL・クリニカルホールド含む)・訴訟2件(偶発負債)を四半期でも詳細に開示

業績の質: 増収は実需とアーリーダ計上開始の複合・営業増益は売却益・為替などその他収支の改善への依存度が高い(中位)

7-2. 財務・CFサマリー

指標 2026年3月期(前期末・前年同期Q1累計) 2027年3月期Q1(当第1四半期)
営業CF(百万円) 6,798 1,834
投資CF(百万円) 908 △2,317
財務CF(百万円) △4,286 △4,373
現金及び預金(BS・百万円) 76,592 72,699
短期有価証券(BS流動・百万円) 2,414 2,425
現金及び現金同等物 期末残高(CF・百万円) 58,277 72,699
親会社所有者帰属持分比率(%) 84.2 85.6(+1.4pt)

(注)営業CF・投資CF・財務CF・現金及び現金同等物 期末残高の左列は前年同期(2025年4月〜6月)の四半期累計・同期末残高、現金及び預金・短期有価証券・親会社所有者帰属持分比率の左列は前連結会計年度末(2026年3月31日)の値。

  • 有利子負債: リース負債(流動1,452百万円+非流動1,106百万円)=2,558百万円のみで、社債・銀行借入の計上はない(前期末はリース負債2,567百万円)。IFRS採用銘柄のため、オペレーティングリースを含むリース負債を有利子負債に算入している
  • ネットキャッシュ: 現金及び預金72,699百万円 + 短期有価証券2,425百万円 − 有利子負債2,558百万円 = +72,566百万円(時価総額約2,547.32億円〔株価¥3,626×期末発行済株式数70,251,484株・自己株式を含む〕の28.5%・「プラス・10〜30%」帯=7/10点)。IFRSの要約四半期連結財政状態計算書では科目名が「現金及び現金同等物」(72,699百万円)で、これを現金及び預金に相当する値として用いた。短期有価証券には流動資産の「その他の金融資産」2,425百万円(定期預金等)を充てている。長期運用の非流動「その他の金融資産」64,143百万円は分子に算入していない
  • 営業CF安定性の評価対象5期(2022〜2026年3月期・単位百万円): 21,316 → 26,170 → 16,289 → 36,126 → 27,221。5期とも黒字だが、5期平均25,424百万円に対し2024年3月期△35.9%・2025年3月期+42.1%と±20%超の乖離が2期あり(いずれか1期を外れ値として除いても残りが±20%以内に収まらない)、「ブレあり」で3/5点。当第1四半期の営業CF1,834百万円(前年同期6,798百万円・法人所得税の支払73.26億円と営業債権の増加が主因)は四半期の数値のため採点には用いていない

7-3. 通期業績予想(2027年3月期)

項目 予想 前期比
売上収益 2,000億円 +17.1%
営業利益 380億円 +7.1%
税引前利益 386億円 +5.9%
親会社所有者帰属当期利益 303億円 +1.9%
EPS 449.55円 +1.9%
営業利益率(通期予想) 19.0%(38,000百万円÷200,000百万円・本ブログ算出) △1.8pt
ROE(通期予想) 10.3%(予想純利益30,300百万円÷平均自己資本293,481百万円〔期首291,551百万円と当第1四半期末295,411百万円の平均〕・本ブログ算出) △0.7pt

通期予想は期初(2026年5月15日)公表値から修正無。売上収益+17.1%は「アーリーダ」の通年寄与に加え、米国発売を想定するDeramiocel 114億円と既存主力品・ロイヤリティ収入の伸長を見込む。営業利益+7.1%にとどまるのは研究開発費405億円(前期実績367億円)への積み増しが主因。

7-4. データ出典の透明性

項目 出典 信頼度
第1四半期の売上収益・営業利益・税引前利益・四半期利益・EPS・セグメント別・主力製品売上・進捗率 2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(2026-08-06開示) 🟢 一次情報
通期業績予想 同短信「3.2027年3月期の連結業績予想」(期初公表値から修正無) 🟢 一次情報
営業利益率(通期予想)・ROE(通期予想・四半期実績)・DOE試算・ネットキャッシュ・進捗率 本ブログ算出(会社開示値より計算・ROE分母は期首自己資本(前期末)と直近開示時点自己資本の平均) 🟡 補助データ
配当実績・当期配当予想・配当性向 2027年3月期 第1四半期決算短信「2.配当の状況」 🟢 一次情報
DOE(2026年3月期実績3.1%)・配当方針 2026年3月期 決算短信(2026-05-15開示)「2.配当の状況」「1.(5)利益配分に関する基本方針」 🟢 一次情報
現金及び現金同等物・その他の金融資産・リース負債・親会社所有者帰属持分比率・発行済株式数 2027年3月期 第1四半期決算短信「要約四半期連結財政状態計算書」「(3)発行済株式数」 🟢 一次情報
営業CF・投資CF・財務CF・現金及び現金同等物 期末残高 2027年3月期 第1四半期決算短信「要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書」 🟢 一次情報
過去配当履歴・EPS推移・営業CF安定性の過去系列(2022〜2026年3月期) EDINET DB 🟢 一次情報
株価¥3,626(2026-08-19終値) J-Quants API(JPX 公式) 🟢 一次情報

【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。