結論: 医療DXのストック収益とDOE下限が配当を支える
📊 スコア: B 84点
💰 配当: 22→27円(+5円)、2027年12月期予想は未公表
✅ 良い点: DOE8.5%下限、自己資本81.7%、営業利益率29.5%
⚠️ 注意点: 中間営業利益△7.0%、評価損107百万円、利回り3.0%
1. 業績ハイライト
- 中間売上高 3,145百万円(+0.6%)・通期進捗50.7%
- 中間営業利益 888百万円(△7.0%)・通期進捗48.6%
- 中間純利益 560百万円(△18.2%)・評価損107百万円
- 医療ビジネス 売上+1.8%・利益+1.0%
- 通期業績予想・配当予想ともに修正なしで据え置き
サマリー
- 本業堅調: 主力の医療ビジネスは売上2,908百万円(+1.8%)・利益945百万円(+1.0%)。保守やサービス利用料などのストック型収益が売上の30%を超えたと会社が説明している
- 減益の中身: 会社は戦略的な増員を減益要因に挙げるが、セグメント利益では公共ビジネスの△97百万円が最大の押し下げ。中間純利益△18.2%はこれに投資有価証券評価損107百万円が上乗せされた形
- 進捗は計画線: 通期予想に対する進捗は売上50.7%・営業利益48.6%で半期としてほぼ計画線。純利益の進捗43.1%だけが低いのは同じ評価損の影響
2. 配当判断サマリー
- 当期予想27円(中間13円は実施済+期末14円)で前期22円から+5円増配・6期目の見込み
- 「成長戦略・株主還元方針2026-2030」で配当の下限をDOE8.5%に設定・配当性向目標も30%から50%へ引き上げ
- 配当性向は予想50.6%で、情報・通信業の中央値35%を15.6pt上回る水準まで進んでいる
- 同じ情報・通信業でDOE目標を掲げるSRAホールディングス(3817)と、還元方針の型が近い
3. スコア内訳
配当持続性ランク: B(84/100点) ★★★★☆
| カテゴリ | 配点 | 得点 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 配当 | 50 | 39 | 性向7・DOE10・利回り4・方針8・耐性10 |
| 財務 | 25 | 20 | 自己資本10・ネットキャッシュ7・営業CF安定性3 |
| 収益 | 25 | 25 | 営業利益率15・ROE10 |
| 合計 | 100 | 84 | — |
3-1. 主な加点(高得点項目)
- 営業利益率 15/15: 通期予想29.5%(1,829百万円÷6,209百万円)で15%以上の帯。四半期の振れを避けるため当期通期の会社予想を採点根拠とした
- ROE 10/10: 通期予想23.5%(1,302百万円÷平均自己資本5,546百万円)で15%以上の帯
- 自己資本比率 10/10: 中間期末81.7%(+1.8pt)で60%以上。借入金の計上がない財務構造
- DOE 10/10: 前期実績9.9%(配当総額537百万円÷前期末自己資本5,440百万円)で5%以上の帯
- 増配減配耐性 10/10: 5期連続増配+直近5年で減配なし+当期+5円増配予想で最上位の判定
- 配当方針 8/10: 配当の下限をDOE8.5%に設定(DOE目標明示型)。配当性向目標50%も併記されるがDOE目標相当で評価
- 配当性向 7/10: 予想50.6%は情報・通信業の中央値35%比+15.6ptで「やや高い」帯
- ネットキャッシュ 7/10: +2,471百万円で時価総額比10.4%と「プラス・10〜30%」帯
3-2. 主な減点(低得点項目)
- 配当利回り 4/10: 予想DPS27円÷株価¥895で3.02%。2.5〜3.5%帯で4点にとどまる
3-3. スコアの動き(定点観測)
- スコア変動: 前期81点 → 今期84点(+3点)
- 変動の内訳: 財務が17→20点。中間期末の現金及び預金が1,409→2,471百万円へ積み上がり、ネットキャッシュの時価総額比が10%台に乗って4→7点へ動いた
- 満点項目は維持: DOE10点・増配減配耐性10点・自己資本比率10点と収益カテゴリ25点満点は前期カルテから変わらず、配当カテゴリ39点の内訳も同じ
- 現在の位置づけ: 84点はB帯(70〜84)の上限。満点に届いていないのは配当利回り4点・配当性向7点・ネットキャッシュ7点・配当方針8点・営業CF安定性3点で、なかでも配当利回りの6点分が最大の差
※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。
4. 事業の強み・構造リスク
4-1. ✅ 事業の強み
- 解約ゼロで積み上がる公共向けストック: 公共ビジネスのSaaS「DocuMaker Office」はサービス開始以来、自治体向け累計66件・医療機関向け14件が稼働し解約数は0件。単年の案件計上に左右されない利用料収入の土台が広がっている
- 医療データの二次利用という新しい出口: 次世代医療基盤法に基づく医療データ利活用施設の賃貸契約を5月に締結し、当年度中の利用開始へ準備中。電子カルテの導入基盤を持つことがデータ供給側の立場に直結する
4-2. ⚠️ 構造リスク
- 受注高の減少が先行指標として残る: 中間の受注高は合計1,924百万円で前年同期比82.3%、医療ビジネス単体でも81.3%。受注残高は106.8%と積み上がっているが、受注の細りが続けば来期以降の売上原資に効く
- 医療ビジネスへの一本足構造: 中間売上の92.5%が医療ビジネスで、セグメント利益は同事業単体(945百万円)が全社営業利益(888百万円)を上回る。診療報酬改定など医療制度の変化が配当原資に直結する
保有状況: 筆者は本銘柄を 保有していません(観察対象として継続フォロー予定)。
5. 筆者メモ
中間の受注高は前年同期の82.3%と細った一方、受注残高は106.8%と増えている。売上より先に動く数字なので、下期にどちらへ振れるかを追いたい。
次回(2026年12月期 第3四半期)見るポイント:
- ヘルステックの営業損失の縮小ペースと、医療データ事業の売上寄与
- 投資有価証券評価損107百万円の追加発生の有無(投資その他の資産2,642百万円)
- 期末配当14円の据え置き見通しと、2027年12月期の配当予想の出方
6. 配当の見方
6-1. 配当の中身
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 2025年12月期実績 | 中間8円 + 期末14円 = 年22円 |
| 2026年12月期予想 | 中間13円(実施済) + 期末14円 = 年27円(+5円) |
| 2027年12月期予想 | 未公表(会社予想は次の通期決算で開示予定) |
| 配当性向(連結・表面・予想) | 50.6%(27円 ÷ 予想EPS53.34円・情報・通信業中央値35%比+15.6pt) |
| DOE(連結・純資産配当率) | 約9.9%(前期実績配当総額537百万円 ÷ 前期末自己資本5,440百万円・本ブログ算出) |
| 配当利回り | 3.02%(予想DPS27円 ÷ 株価¥895・2026-08-13終値・J-Quants API) |
| 配当方針 | 「成長戦略・株主還元方針2026-2030」(2026年2月公表)でDOE8.5%を下限に設定(配当の下限を株主資本配当率で規定)し、配当性向目標を30%から50%へ引き上げ。2030年12月期の1株配当48円までの段階的な増配計画も併記 |
| 連続増配年数 | 5期連続増配 + 当期予想で 6期目 継続見込み |
6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)
2022年以前の履歴を表示
| 年度 | DPS(円) | EPS(円) | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2016/12 | 7 | 19.35 | 36.2% |
| 2017/12 | 7 | 14.21 | 49.3% |
| 2018/12 | 7.5 | 15.43 | 48.6% |
| 2019/12 | 8 | 19.50 | 41.0% |
| 2020/12 | 8 | 16.81 | 47.6% |
| 2021/12 | 8.5 | 24.84 | 34.2% |
| 2022/12 | 9.5 | 28.21 | 33.7% |
| 年度 | DPS(円) | EPS(円) | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2023/12 | 13 | 41.31 | 31.5% |
| 2024/12 | 15 | 45.30 | 33.1% |
| 2025/12(実績) | 22 | 50.07 | 43.9% |
| 2026/12(予想) | 27 | 53.34 | 50.6% |
(注)
- データ基準: EDINET DB引用、直近期(2025/12)は決算短信記載と一致確認済。2026/12 は会社予想値
- 配当政策の傾向: 2017年と2020年は据え置きがあったものの減配はなく、2021年以降は毎期増配。配当性向は30%台前半から50%台へ段階的に引き上げられている
- 記念配当・特別配当: 会社IRの配当実績・決算短信「配当の状況」いずれにも内訳の記載はなく、上表は全期間が普通配当ベース
6-3. 配当の評価ポイント(3点)
- 増配構造: 2021年8.5円→2026年予想27円と5年で約3.2倍。同じ期間にEPSも24.84→53.34円へ伸びており、増配の原資が利益成長で裏付けられている
- 方針シグナル: 還元方針2026-2030で配当の下限をDOE8.5%に据えたことで、単年の利益変動に左右されにくい下限が明文化された。配当性向目標も30%→50%へ引き上げ
- 耐性実績: EDINET DB で確認できる2016年以降に減配はなく、コロナ期(2020年)は8円据え置きで踏みとどまった。2021年から5期連続増配が続く
7. 詳細データ
7-1. 業績サマリー(2026年12月期 中間期累計)
| 指標 | 当中間期 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,145百万円 | 3,125百万円 | +0.6% |
| 営業利益 | 888百万円 | 955百万円 | △7.0% |
| 経常利益 | 922百万円 | 985百万円 | △6.4% |
| 親会社株主帰属中間純利益 | 560百万円 | 685百万円 | △18.2% |
| EPS | 22.96円 | 26.88円 | △3.92円 |
| 営業利益率(中間累計) | 28.2% | 30.6% | △2.3pt |
セグメント別(対前年同期比)
| 区分 | 売上 | 前期比 |
|---|---|---|
| 医療ビジネス | 2,908百万円 | +1.8% |
| 公共ビジネス | 172百万円 | △29.1% |
| ヘルステックビジネス | 64百万円 | +150.2% |
セグメント利益は医療ビジネス945百万円(+1.0%)・公共ビジネス27百万円(△77.6%)・ヘルステックビジネス△85百万円(前年同期△105百万円)。
業績増減要因の「業績の質」診断
| 観点 | 評価 | 解釈 |
|---|---|---|
| 一過性要因 | 🟡 | 公共ビジネスの△29.1%減収は前年の大型案件の反動で、会社も想定内と説明 |
| 営業外損益 | 🟢 | 受取利息23百万円・為替差益8百万円が中心。経常△6.4%は営業段階の減益をほぼそのまま反映 |
| 純利益押し下げ/押し上げ要因 | 🔴 | 投資有価証券評価損107百万円(特別損失)で中間純利益が△18.2%まで拡大。営業段階の△7.0%とは別要因 |
| 開示の誠実性 | 🟢 | セグメント別・販売種類別・受注状況まで開示し、通期予想を据え置いた理由も明示 |
→ 業績の質: 本業は計画線・純利益段階のみ一過性の評価損で押し下げ(中位)
7-2. 財務・CFサマリー
| 指標 | 2025年12月期 | 2026年12月期 中間期 |
|---|---|---|
| 営業CF(中間累計・百万円) | 1,389 | 1,303 |
| 投資CF(中間累計・百万円) | △156 | △168 |
| 財務CF(中間累計・百万円) | △584 | △343 |
| 現金及び預金(BS・百万円) | 1,678 | 2,471 |
| 短期有価証券(BS流動・百万円) | 0 | 0 |
| 現金及び現金同等物 期末残高(CF・百万円) | 1,558 | 2,351 |
| 自己資本比率(%) | 79.9 | 81.7 |
- 有利子負債: 中間連結貸借対照表に短期借入金・長期借入金・社債・リース債務の計上はなく 0百万円。固定負債は株式給付引当金313百万円とその他0百万円のみ
- ネットキャッシュ: 現金及び預金2,471百万円 + 短期有価証券0百万円 − 有利子負債0百万円 = +2,471百万円(時価総額23,815百万円〔株価¥895×期末発行済株式数26,608,800株・自己株式を含む〕比 10.4%・「プラス・10〜30%」帯=7/10点)。上表のCF行2,351百万円との差120百万円は預入期間3か月超の定期預金で、分子には貸借対照表の現金及び預金を用いている
- (注)営業CF・投資CF・財務CFは中間累計どうしの比較で、左欄は2025年12月期の中間累計。現金及び預金・短期有価証券・現金及び現金同等物・自己資本比率は残高どうしの比較で、左欄は2025年12月31日現在
7-3. 通期業績予想(2026年12月期)
| 項目 | 予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 6,209百万円 | +1.6% |
| 営業利益 | 1,829百万円 | +2.2% |
| 経常利益 | 1,889百万円 | +2.6% |
| 親会社株主帰属当期純利益 | 1,302百万円 | +3.6% |
| EPS | 53.34円 | +3.27円 |
| 営業利益率(通期予想) | 29.5%(1,829百万円÷6,209百万円・本ブログ算出) | +0.2pt |
| ROE(通期予想) | 23.5%(1,302百万円÷平均自己資本5,546百万円・本ブログ算出) | +0.7pt |
通期予想は2026年2月12日公表の内容から修正がなく、中間時点でも据え置かれている。ROEの分母は期首自己資本(前期末5,440百万円)と中間期末自己資本(5,652百万円)の平均。
7-4. データ出典の透明性
| 項目 | 出典 | 信頼度 |
|---|---|---|
| 中間期の売上・営業利益・経常利益・純利益・EPS・進捗率 | 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信(2026-08-13開示) | 🟢 一次情報 |
| 通期業績予想 | 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信「3.2026年12月期の連結業績予想」「1.(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」 | 🟢 一次情報 |
| 営業利益率(通期予想)・ROE(通期予想) | 本ブログ算出(会社予想値より計算・ROE分母は期首自己資本(前期末)と直近開示時点自己資本の平均) | 🟡 補助データ |
| 配当実績・当期配当予想 | 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信「2.配当の状況」 | 🟢 一次情報 |
| 配当方針(配当の下限DOE8.5%・配当性向50%目標) | 会社IR「成長戦略と株主還元方針 2026-2030」(2026年2月公表) | 🟢 一次情報 |
| 自己資本比率・純資産・現金及び預金・短期有価証券・有利子負債・発行済株式数 | 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信「中間連結貸借対照表」「(4)発行済株式数」 | 🟢 一次情報 |
| 営業CF・投資CF・財務CF・現金及び現金同等物 期末残高 | 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信「中間連結キャッシュ・フロー計算書」 | 🟢 一次情報 |
| セグメント別・受注状況 | 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信「セグメント情報等の注記」「3.補足情報(2)生産、受注及び販売の状況」 | 🟢 一次情報 |
| 過去配当履歴・EPS推移・過去5年の営業CF | EDINET DB | 🟢 一次情報 |
| 株価¥895(2026-08-13終値) | J-Quants API(JPX 公式) | 🟢 一次情報 |
【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。