【日本たばこ産業(2914)】配当C(59点) — 2026年12月期 中間期

保有中(筆者が当該銘柄を保有)📁 食料品

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結論: 増配と上方修正、配当性向75%目安は継続

📊 スコア: C 59点
💰 配当: 234→272円(+38円)、年間予想を242→272円へ増額修正
良い点: 為替一定ベース+19.4%、DOE10.6%、通期予想を上方修正
⚠️ 注意点: 配当性向75.2%、ネットデット8,489億円、2021年に減配


1. 業績ハイライト

  • 売上収益1兆9,861億円(+17.7%)・営業利益6,449億円(+29.0%)
  • 親会社帰属中間利益4,318億円(+35.0%)・EPS243.24円
  • 調整後営業利益は為替一定ベースで+19.4%、フルベースは+26.2%
  • 通期予想を上方修正し、営業利益1兆80億円(+16.3%)へ
  • 年間配当予想を242.00→272.00円へ+30.00円増額修正

サマリー

  • 増収を作っているのは自社たばこ製品: 自社たばこ製品売上収益は1兆8,284億円で前年同期比+19.1%。連結売上収益+17.7%の伸びはたばこ事業が作っており、加工食品事業の収益は793億円(+3.2%)にとどまる。
  • 為替を除いた実力も伸びている: 調整後営業利益はフルベース+26.2%に対し、為替一定ベースでは+19.4%。差の約7ポイントが為替影響で、会社が全社利益目標に置く年平均high single digit成長は上回っている。
  • 通期予想は5項目とも引き上げ: 売上収益、調整後営業利益、営業利益、親会社帰属当期利益、為替一定ベース調整後営業利益のすべてを上方修正。親会社帰属当期利益は5,700億円から6,440億円へ+740億円となった。

2. 配当判断サマリー

  • 年間配当予想を242.00→272.00円へ+30.00円増額修正。前期実績234.00円からは+38.00円+16.2%で、中間配当136.00円は実施済み
  • 配当性向は75.2%(カナダ訴訟の和解金支払い等の影響を調整した当期利益6,420億円が母数・短信注記)。会社は「配当性向75%を目安(±5%程度の範囲内で判断)」と定めており、累進配当やDOEの目標値は示していない
  • 親会社所有者帰属持分配当率(DOE)は2025年12月期で10.6%、当期予想ベースでも約11.0%で、本ブログの採点帯の最上位にあたる
  • 同じ食料品の日清製粉グループ本社(2002)も特殊要因を除いた調整後利益ベースで配当性向の目安を掲げているが、水準は50%目安で、当社の75%目安とは25ポイントの開きがある

3. スコア内訳

配当持続性ランク: C(59/100点) ★★★☆☆

カテゴリ 配点 得点 主な内容
配当 50 25 性向0・DOE10・利回り7・方針6・耐性2
財務 25 12 自己資本7・ネットキャッシュ0・営業CF安定性5
収益 25 22 営業利益率15・ROE7
合計 100 59

中間期カルテのため、配当・収益カテゴリは「中間期実績+2026年12月期通期予想」、財務カテゴリは中間期末の要約中間連結財政状態計算書を基準に採点。過去系列(営業CF・配当履歴)は直近5期の通期実績を使用。食料品は配当性向・自己資本比率ネットキャッシュのいずれについても業種補正の対象業種ではないため、本則の判定基準をそのまま適用している(補正なし)。

3-1. 主な加点(配点比70%以上)

  • 営業利益率 15/15: 中間期32.5%(営業利益644,940百万円÷売上収益1,986,070百万円)、通期予想でも25.9%(1,008,000百万円÷3,885,000百万円)。いずれも15%以上の最上位帯
  • DOE 10/10: 10.6%(2025年12月期決算短信「2.配当の状況」の親会社所有者帰属持分配当率(連結))。当期予想ベースでも約11.0%(予想配当総額約4,829億円÷中間期末の親会社所有者帰属持分4兆3,940億円)で、5%以上の満点帯を大きく上回る
  • 営業CF安定性 5/5: 直近5期(2021〜2025年12月期)の営業CFは5,989億円、4,838億円、5,663億円、6,300億円、5,141億円で5期連続黒字。平均5,586億円に対する振れは△13.4%+12.8%と±20%以内に収まる
  • 配当利回り 7/10: 3.81%(予想DPS272.00円÷株価¥7,135)で3.5〜4.5%の帯。分子は当期の会社予想DPSで、この予想に記念配当特別配当は含まない
  • 自己資本比率 7/10: 親会社所有者帰属持分比率50.7%で40〜60%の帯。前年度末48.5%から+2.2ptで、在外営業活動体の換算差額と利益剰余金の増加が効いている
  • ROE 7/10: 14.7%(通期予想の親会社帰属当期利益6,440億円÷中間期末の親会社所有者帰属持分4兆3,940億円)で10〜15%の帯。本ブログは四半期カルテのROEを「通期予想の当期利益÷直近四半期末の自己資本」で揃えており、分母を前年度末の4兆869億円に置く数え方なら15.8%になる。会社が2025年12月期決算短信で開示した実績値13.0%も10〜15%の帯にあるため、帯の判定は直近四半期末基準を採用した

3-2. 主な減点(配点比40%以下)

  • 配当性向 0/10: 75.2%(会社が調整後の当期利益6,420億円を母数に算定した値)。表面ベースでも75.0%(272.00円÷予想EPS362.74円)で、食料品が属するメーカー・小売の中央値35%からの乖離は+40pt。「+30pt超」帯にあたり、食料品は配当性向の業種補正の対象外のため救済もない
  • ネットキャッシュ 0/10: 現金及び現金同等物8,279億円 − 社債及び借入金1兆6,768億円 = △8,489億円のネットデット。時価総額約14兆2,700億円(¥7,135×発行済株式総数20億株・自己株式を含む)に対して△5.95%で、「マイナス(有利子負債超過)」の帯。IFRSのリース負債を加えるとマイナス幅はさらに広がる
  • 増配減配耐性 2/10: 直近5期(2021〜2025年12月期)のうち、2021年12月期に154.00→140.00円(△9.1%)の減配がある。2022年以降は188.00→194.00→194.00→234.00円で、2023→2024年12月期が据え置きのため、増配が続いているのは2025年12月期からの1期のみ。「3年以上連続増配」「直近5年で減配なし」の各区分に該当せず、直近5年内に単年減配がある区分の2点となる。なお採点の対象期間は記事作成時点の前5期という移動枠のため、2021年12月期の減配が対象に含まれるのは本カルテまでとなる

3-3. スコアの動き(定点観測)

  • スコア変動: 前回59点 → 今回59点(変動なし)。カテゴリ別でも配当25→25、財務12→12、収益22→22
  • 判定帯の状況: 10項目すべてで前回と同じ帯に収まった。ROEは通期予想の親会社帰属当期利益6,440億円÷中間期末の親会社所有者帰属持分4兆3,940億円で14.7%となり、2025年12月期決算短信が開示する親会社所有者帰属持分当期利益率13.0%と同じ10〜15%の帯にある
  • 満点項目は維持: 営業利益率15点、DOE10点、営業CF安定性5点の3項目は前回から不変
  • 現在の位置づけ: C帯の中ほど。収益22/25に対して配当25/50が低く、配当性向0点、ネットキャッシュ0点、増配減配耐性2点の3項目で計28点分を落としている。B帯(70点以上)との差11点の大半は、稼ぐ力ではなく「還元の余裕」を測る項目に集まっている

※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。


4. 事業の強み・構造リスク

※本章はスコア(§3)に反映されていない事業上の強み・構造リスクを扱います。

4-1. ✅ 事業の強み

  • たばこ事業の利益が3地域に分散している: 中間期の調整後営業利益はEMA3,267億円、Western Europe1,885億円、Asia1,678億円で、最大のEMAでも全体の48%。単一市場の規制強化や数量減が配当原資を一度に削りにくい。
  • 発行済株式の11.2%を自己株式が占める: 期末の発行済株式数20億株に対し自己株式は2億2,456万株。配当は自己株を除いた約17億7,544万株に支払われるため、同じ1株当たり配当でも必要な配当総額はその分小さくて済む。

4-2. ⚠️ 構造リスク

  • カナダ訴訟の和解金は分割払いが続く: 当中間期はカナダ調整として8,189百万円を調整後営業利益から除外し、配当も同じ調整を加えた当期利益6,420億円を母数に算定している。会計上は切り離しても、現金の支払いは残る。
  • ロシア事業の扱いが未確定: 会社はロシア市場のたばこ事業をグループ経営から切り離す選択肢も含めて検討を続けており、業績への影響は現時点で見積れないとしている。ロシアを含むEMAはたばこ事業の調整後営業利益の48%を占める。
  • のれんが総資産の34%: 中間期末ののれんは2兆9,867億円で総資産8兆6,700億円の34.4%を占め、前年度末の2兆9,231億円から増えている。買収で積み上げた資産が大きい分、減損が出れば自己資本と配当原資の双方に効く。

保有状況: 筆者は本銘柄を 保有しています(株数は非開示・2026年8月時点)


5. 筆者メモ

2021年の減配と同時に、配当は配当性向75%目安で決まる仕組みに変わりました。140円から272円まで戻ったのは利益が伸びた結果です。裏を返せば、利益が落ちれば配当も下がります。

次回(2026年12月期 通期)見るポイント:

  • 上方修正後の通期予想(売上収益3兆8,850億円・営業利益1兆80億円・親会社帰属当期利益6,440億円)に対する下期の着地
  • 年間配当272.00円(期末136.00円)が予定どおり実施され、通期短信で示される次期の配当予想がどうなるか
  • 配当算定の母数となる調整後の当期利益(当期は6,420億円)の定義が次期も維持されるか、通期短信の親会社所有者帰属持分配当率(2025年12月期10.6%)がどう動くか
  • 為替一定ベースの調整後営業利益(通期予想9,880億円・+11.6%)が会社目標のhigh single digit成長を上回り続けるか
  • ロシア市場のたばこ事業について、分離を含む検討に進展があるか
  • 社債及び借入金1兆6,768億円と現金及び現金同等物8,279億円の差が、下期の社債償還と期末配当の支払いを経てどう変わるか

6. 配当の見方

6-1. 配当の中身

項目
2025年12月期実績 中間104.00円+期末130.00円=234.00円(配当金総額415,537百万円)
2026年12月期(当期)予想 中間136.00円(実施済)+期末136.00円=272.00円(+38.00円+16.2%)。2026年12月期中間期決算短信(2026-07-30開示)「2.配当の状況」記載値で、直近の配当予想242.00円から+30.00円の増額修正
配当性向(連結) 75.2%(カナダ訴訟の和解金支払い等の影響に係る調整を実施した後の当期利益6,420億円を母数に会社が算定した値・短信注記)。表面ベースでも75.0%(272.00円÷予想EPS362.74円)。前期実績は81.4%
DOE(連結・親会社所有者帰属持分配当率) 10.6%(2025年12月期決算短信「2.配当の状況」記載値)。中間期決算短信には当該欄がないため、当期予想ベースは約11.0%の算出値(予想配当総額約4,829億円÷中間期末の親会社所有者帰属持分4兆3,940億円)
配当利回り 3.81%(予想DPS272.00円 ÷ 株価¥7,135・2026-07-31終値・J-Quants API)。分子は当期の会社予想DPSで、この予想に記念配当・特別配当は含まない
配当方針 「資本市場における競争力のある水準として『配当性向75%』を目安とする」(注記で「±5%程度の範囲内で判断」)。強固な財務基盤の維持と中長期の利益成長を前提に置き、自己株式の取得は年度ごとに実施の是非を判断する書き方で、累進配当やDOEの目標値は示していない。出典は2025年12月期決算短信「1.(4)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当」で、2026年8月2日時点の会社IR(株主還元・配当のページ)も同じ内容
連続増配年数 1期連続増配(2025年12月期に194.00→234.00円)。2023→2024年12月期は194.00円で据え置き、2021年12月期には154.00→140.00円の減配がある

6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)

2020年12月期以前の履歴を表示(2021年の減配は下表に掲載)
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2016 130.00 235.47 55.2%
2017 140.00 219.10 63.9%
2018 150.00 215.31 69.7%
2019 154.00 195.97 78.6%
2020 154.00 174.88 88.1%
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2021 140.00 190.76 73.4%
2022 188.00 249.45 75.4%
2023 194.00 271.69 71.4%
2024 194.00 100.95 192.2%
2025(実績) 234.00 287.36 81.4%
2026(予想) 272.00 362.74 75.0%

(注)

  • データ基準: 2016〜2025年12月期のDPS・EPSはEDINET DB(有価証券報告書由来)引用で、配当性向は配当÷EPSの再計算値。2019年78.6%、2020年88.1%、2024年192.2%、2025年81.4%は決算短信「2.配当の状況」の配当性向欄と一致している。2026年12月期(予想)のEPS362.74円は中間期決算短信の通期予想値
  • 減配の起点となる2021年12月期を本表に残した理由: 増配減配耐性の採点根拠が2021年12月期の減配にあるため、折りたたみに入れず本表に掲載している
  • 2021年12月期の減配: 154.00→140.00円(△9.1%)。2020年12月期決算短信(2021年2月9日開示)の時点では2021年12月期の配当予想を130.00円としており、同じ短信で株主還元方針を「1株当たり配当金の安定的・継続的な成長」から「配当性向75%を目安」へ変更している。実績は予想を10.00円上回る140.00円で着地した
  • 2024年12月期の配当性向192.2%: EPSが100.95円まで下がったのは、カナダのJTI-Macdonald Corp.を被告に含む喫煙と健康に関する訴訟の和解に伴う負債計上が主因。配当は194.00円で据え置かれている
  • 記念配当・特別配当: 2016年12月期以降の決算短信「2.配当の状況」に記念配当・特別配当の記載はなく、表面DPSと実質普通配当ベースは一致する。期末発行済株式数も20億株で一貫しており、株式分割・併合の影響もない
  • 配当政策の傾向: 配当性向は2016〜2018年12月期が55〜70%、2019〜2020年12月期が79〜88%と切り上がり、2021年の方針変更後は71〜81%(2024年12月期の異常値を除く)で推移している

6-3. 配当の評価ポイント(3点)

  • 増配構造: 234.00→272.00円(+38.00円+16.2%)で、内訳は中間104.00→136.00円(+32.00円)、期末130.00→136.00円(+6.00円)予想。減配後の2021年12月期140.00円からは5期で+94.3%となり、減配前の2020年12月期154.00円も上回っている
  • 方針シグナル: 配当性向75%目安は2021年12月期から運用されており、±5%程度の範囲内で判断すると注記されている。母数は会社が定義する調整後の当期利益で、当期はカナダ訴訟の和解金支払い等の影響を除いた6,420億円。累進配当やDOEの目標値は示していないため、配当額は母数となる利益の動きを受けやすい
  • 耐性実績: 減配は直近10期で2021年12月期の1回のみ。一方、利益が大きく落ちた2024年12月期(EPS100.95円・配当性向192.2%)では配当を194.00円で据え置いており、単年の利益急減を配当に反映させない運用も実際に取っている

7. 詳細データ

7-1. 業績サマリー

中間期実績(2026年1月1日〜2026年6月30日・IFRS)

指標 当中間期 前中間期 前年同期比
売上収益 1,986,070百万円 1,686,789百万円 +17.7%
営業利益 644,940百万円 500,129百万円 +29.0%
税引前中間利益 605,999百万円 457,755百万円 +32.4%
親会社帰属中間利益 431,829百万円 319,905百万円 +35.0%
EPS(基本) 243.24円 180.19円 +35.0%
調整後営業利益 661,721百万円 524,493百万円 +26.2%
為替一定ベース調整後営業利益 626,147百万円 +19.4%
営業利益率 32.5% 29.7% +2.8pt

売上収益から親会社帰属中間利益までの前年同期比は決算短信「1.(1)連結経営成績(累計)」の記載値。前中間期は医薬事業を非継続事業へ分類した後の継続事業ベースに組み替えられている。営業利益率は算出値(644,940÷1,986,070=32.47%、前中間期は500,129÷1,686,789=29.65%)。

通期計画 進捗率(2026年12月期・2026年7月30日に上方修正)

項目 中間期累計 通期予想 進捗率 前年同時点の進捗
売上収益 1,986,070百万円 3,885,000百万円 51.1% 48.6%
営業利益 644,940百万円 1,008,000百万円 64.0% 57.7%
調整後営業利益 661,721百万円 1,035,000百万円 63.9%
親会社帰属当期利益 431,829百万円 644,000百万円 67.1% 約67%

進捗率は算出値。「前年同時点の進捗」は前中間期の実績を2025年12月期の通期実績で割ったもの。親会社帰属当期利益については、前中間期の実績319,905百万円に非継続事業の損失が、2025年12月期の通期実績510,175百万円に医薬事業の譲渡損益が含まれるため、継続事業だけで揃えた前年同時点の進捗(継続事業EPS188.67円×期中平均株式数÷継続事業ベースの通期実績499,081百万円)を約67%として併記した。

セグメント別(中間期・対前年同期比)

区分 収益 前年同期比 調整後営業利益(前年同期比)
たばこ事業 1,905,593百万円 +18.4% 682,902百万円(+25.3%)
加工食品事業 79,255百万円 +3.2% 4,070百万円(+58.5%)
その他 2,727百万円 +6.2% △25,269百万円(前年同期△22,993百万円)

収益はセグメント間の内部収益を含む金額。前年度に医薬事業を非継続事業へ分類し報告セグメントから除外しているため、報告セグメントはたばこ事業と加工食品事業の2つ。「その他」には不動産賃貸等と本社経費が含まれる。

たばこ事業のクラスター別(自社たばこ製品売上収益・調整後営業利益)

クラスター 自社たばこ製品売上収益 前年同期比 調整後営業利益(前年同期比)
Asia 457,531百万円 +9.6% 167,782百万円(+22.5%)
Western Europe 427,315百万円 +17.5% 188,464百万円(+17.7%)
EMA 943,559百万円 +25.2% 326,655百万円(+31.8%)
合計 1,828,405百万円 +19.1% 682,902百万円(+25.3%)

EMAはアフリカ、中近東、東欧、トルコ、南北アメリカ大陸と免税市場を指し、ロシアもここに含まれる。前年同期比は算出値。

業績増減要因の「業績の質」診断

観点 評価 解釈
一過性要因 🟡 減損損失は1,038百万円で前年同期25,183百万円から大きく減り、調整項目(収益)2,290百万円の主な中身は子会社株式の売却益。買収に伴い生じた無形資産の償却費も35,045→24,335百万円へ減っており、営業利益+29.0%にはこれらの費用減も乗っている
為替の寄与 🟡 調整後営業利益はフルベース+26.2%に対し為替一定ベース+19.4%。差の約7ポイントが為替影響で、円安が反転すれば剥落しうる部分
比較基準の断層 🟡 前中間期は医薬事業を非継続事業に分類しており、EPS(基本)の+35.0%には前年の非継続事業損失14,010百万円の剥落が含まれる。継続事業だけで揃えたEPSは188.67→243.24円で+28.9%
進捗率 🟡 営業利益の進捗は64.0%、親会社帰属当期利益は67.1%。ただし継続事業で揃えた前年同時点の親会社帰属利益の進捗も約67%で、上期に利益が偏る季節性を考えると突出した上振れとは言い切れない
開示の誠実性 🟢 当第1四半期に調整後営業利益の定義を見直した際、前年同期の比較値も同じ基準に組み替えて開示している。非GAAP指標の定義、カナダ訴訟の調整、ロシア事業の検討状況も本文に明記。中間期の要約中間連結財務諸表は公認会計士または監査法人のレビュー対象外で、継続企業の前提に関する注記は該当なし

業績の質: おおむね良好(為替一定ベース+19.4%が実力の伸びを示す一方、営業利益+29.0%には償却費・減損の減少と為替の追い風が、EPS+35.0%には非継続事業損失の剥落が重なっている)

7-2. 財務・CFサマリー

指標 前中間期 / 前年度末 当中間期 / 当中間期末
営業CF(百万円) 167,451 331,329(+97.9%)
投資CF(百万円) △131,965 △58,422
財務CF(百万円) △230,877 △278,240
現金及び現金同等物(百万円) 831,135 827,909(△0.4%)
親会社所有者帰属持分比率(%) 48.5 50.7(+2.2pt)
  • 有利子負債: 社債及び借入金1兆6,768億円(流動1,171億円+非流動1兆5,597億円)。前年度末1兆6,787億円からほぼ横ばいで、中間期は社債の償還675億円とリース負債の返済137億円を実施した。IFRSのリース負債は「その他の金融負債」(流動681億円+非流動2,101億円)に含まれており、中間期決算短信では区分開示がない
  • ネットキャッシュ: 現金及び現金同等物8,279億円 − 社債及び借入金1兆6,768億円 = △8,489億円。時価総額約14兆2,700億円(¥7,135×発行済株式総数20億株・自己株式を含む)に対して△5.95%で、「マイナス(有利子負債超過)」帯の0/10点。IFRS採用会社の有利子負債はリース負債を含めるのが本ブログの基準だが、当社は区分開示がないため上記は社債及び借入金のみを控除した保守的な下限値で、リース負債を加えるとマイナス幅はさらに広がる。食料品はネットキャッシュの業種補正の対象業種ではない
  • 現金の範囲と帯の判定について: 流動資産の「その他の金融資産」2,054億円には預入期間3か月超の定期預金等が含まれるとみられるが、中間期決算短信に内訳の記載がないため、上記のネットキャッシュには算入していない。上の比率は「ほぼゼロ」帯との境界に近い位置にあるが、内訳が開示されていない資産を現金に足さず、区分開示のないリース負債は有利子負債側に残るものとして扱う保守側の判断で「マイナス」帯とした。なお前回カルテ(第1四半期)は自己株式控除後の株数で時価総額を計算していたが、本ブログの基準は発行済株式総数ベースのため今回から揃えている
  • のれん: 中間期末2兆9,867億円で総資産8兆6,700億円の34.4%。前年度末2兆9,231億円から在外営業活動体の換算差額等で増えている
  • 直近5期の営業CF: 2021年12月期5,989億円→2022年12月期4,838億円→2023年12月期5,663億円→2024年12月期6,300億円→2025年12月期5,141億円。5期連続黒字で、平均5,586億円に対する振れは△13.4%+12.8%
  • 中間期の営業CFが+97.9%伸びた要因: 税引前中間利益の増加に加え、前中間期にあった未払たばこ税等の減少1,224億円が当中間期は388億円にとどまったことが大きい。法人所得税等の支払額は1,058億円から1,357億円へ増えている
  • 自己株式: 中間期の自己株式の取得は8.58億円(前年同期15.79億円)。期末自己株式数は224,560,241株で、発行済株式総数20億株の11.2%にあたる

7-3. 通期業績予想(2026年12月期)

項目 予想 前期比
売上収益 3,885,000百万円 +12.0%
調整後営業利益 1,035,000百万円 +16.9%
営業利益 1,008,000百万円 +16.3%
親会社帰属当期利益 644,000百万円 +26.2%
EPS 362.74円 +26.2%
為替一定ベース調整後営業利益 988,000百万円 +11.6%
  • 増減トーン: 2026年7月30日に上方修正。直近に公表していた予想との比較では、売上収益+1,880億円(+5.1%)、調整後営業利益+800億円(+8.4%)、営業利益+870億円(+9.4%)、親会社帰属当期利益+740億円(+13.0%)、為替一定ベース調整後営業利益+240億円(+2.5%)といずれも引き上げ
  • 前期比の読み方: 売上収益と営業利益の前期比は継続事業ベースの比較。親会社帰属当期利益の+26.2%は非継続事業を含む2025年12月期実績5,102億円との比較で、継続事業だけで揃えた2025年12月期の4,991億円と比べると+29.0%になると短信に注記されている
  • 全社利益目標: 為替一定ベースの調整後営業利益の成長率で中長期の年平均mid to high single digit成長を掲げ、経営計画2026の期間(2026年12月期〜2028年12月期)は年平均high single digit成長を想定している
  • 配当予想: 年間272.00円(中間136.00円+期末136.00円)で、直近予想の242.00円から+30.00円の増額修正

7-4. データ出典の透明性

項目 出典 信頼度
中間期の売上収益・営業利益・税引前中間利益・親会社帰属中間利益・EPS・調整後営業利益・為替一定ベース調整後営業利益・セグメント別収益と調整後営業利益・クラスター別の自社たばこ製品売上収益 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)(2026-07-30開示)「1.連結業績」「要約中間連結損益計算書」「セグメント情報」 🟢 一次情報
当期配当予想272.00円・配当性向75.2%・通期業績予想と上方修正の内訳・親会社所有者帰属持分比率・現金及び現金同等物・社債及び借入金・その他の金融負債・のれん・発行済株式数・自己株式数・営業CF/投資CF/財務CF・減損損失・レビューの有無 同上「2.配当の状況」「3.2026年12月期の連結業績予想」「要約中間連結財政状態計算書」「要約中間連結キャッシュ・フロー計算書」「注記事項」 🟢 一次情報
2025年12月期の実績(売上収益・営業利益・EPS・親会社所有者帰属持分当期利益率13.0%・売上収益営業利益率25.0%・自己資本比率)・配当性向81.4%・親会社所有者帰属持分配当率10.6%・配当金総額415,537百万円・営業CF・株主還元方針(配当性向75%目安・±5%程度の範囲内で判断) 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026-02-12開示)「1.(4)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当」「2.配当の状況」 🟢 一次情報
2021年12月期の配当予想130.00円・株主還元方針の変更(配当性向75%目安の導入)・2019年12月期と2020年12月期の配当性向および親会社所有者帰属持分配当率 2020年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2021-02-09開示)「1.(4)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当」「2.配当の状況」 🟢 一次情報
2016〜2025年12月期の配当履歴・EPS推移・営業CF推移・期末発行済株式数 EDINET DB(有価証券報告書由来) 🟢 一次情報
株価¥7,135(2026-07-31終値) J-Quants API(JPX 公式) 🟢 一次情報

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本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。