【因幡電機産業(9934)】配当B(74点)・利回り3.06% — 2026年3月期

観察中(筆者は当該銘柄を未保有)📁 卸売業

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📌本記事は旧期(過去四半期)の決算分析です。 同銘柄の最新カルテをご覧ください。→ 最新版を見る

※2026-09-06 訂正: 配当方針の採点区分の見直し(総還元性向のみの数値目標は3点)を前カルテへさかのぼって適用し、配当方針を6点から3点へ改め、合計を77点から74点へ訂正しました。あわせて営業利益率ROEの採点根拠を会社予想ベースへ揃えています。同一銘柄の2026年3月期・2027年3月期第1四半期の両カルテを同じ基準で訂正しています。あわせて同日、§6-2の2020年3月期の行を、2019年12月1日付の株式分割を跨いだ中間配当(分割前基準)と期末配当(分割後基準)の違いを反映し、DPS75.0円→50.0円・配当性向72.3%→48.2%へ訂正しました。これに伴い「2021年3月期は前年から減配」との注記を「据え置き(確認した範囲で減配となった年度はない)」へ改め、2022〜2024年3月期の特別配当の内訳を注記に追記しています。また有利子負債は、2026年3月期 有価証券報告書「借入金等明細表」が開示するリース債務・長期預り保証金を含む記載へ改めました。いずれも点数・ランクに変更はありません。

結論: 過去最高益で増配・還元は総還元性向60%方針に沿う

📊 スコア: B 74点
💰 配当: 70→85円(+15円)、来期85円予想(±0円)
良い点: 過去最高益、DOE5.2%、ネットキャッシュ厚い、総還元60%
⚠️ 注意点: 利回り3.1%、営業CFブレ、特別配当依存


1. 業績ハイライト

  • 売上高4,170.23億円(+8.6%)・電設資材が牽引
  • 営業利益297.11億円(+16.3%)・利益率7.1%へ改善
  • 経常利益317.56億円(+18.9%)・受取配当金も寄与
  • 純利益234.20億円(+24.7%)・過去最高益更新
  • EPS208.49円(+24.9%)・ROE12.7%(+1.5pt)

サマリー

  • 本業好調: 電設資材事業2,932億円(+8.2%)が中核、大都市圏再開発・データセンター・工場大型物件の納入と銅価格上昇が電線ケーブル類の売上を押し上げた
  • 全部門で増収: 産業機器事業433億円(+13.7%)は半導体在庫調整の縮小と省力化需要、自社製品事業803億円(+7.4%)はルームエアコン出荷の好調が寄与
  • 利益率改善: 売上総利益率17.4%(前期16.9%)・販管費を増収で吸収し、純利益の伸び(+24.7%)が売上の伸び(+8.6%)を大きく上回る

2. 配当判断サマリー

  • 当期DPS85円(総額・+15円、株式分割考慮後)で過去最高水準・来期予想は85円(±0円)
  • 配当性向40.8%は卸売業の標準域内、DOE5.2%は5%超の高水準で配当余力は厚い
  • 株主還元方針として「配当+自己株式取得の総還元性向60%程度」を2025年3月期から明示
  • 同業の電設資材卸 コンドーテック(7438) は6期連続増配・B(75点)で、本銘柄とは還元方針の型が異なる

3. スコア内訳

配当持続性ランク: B(74/100点) ★★★★☆

カテゴリ 配点 得点 主な内容
配当 50 35 性向10・DOE10・利回り4・方針3・耐性8
財務 25 20 自己資本10・ネットキャッシュ7・営業CF安定性3
収益 25 19 営業利益率12・ROE7
合計 100 74

3-1. 主な加点(高得点項目)

  • 配当性向 10/10: 40.8%(卸売業中央値50%以下)で配当原資に余裕があり満点
  • DOE 10/10: 5.2%(5%以上)で満点。純資産配当率の水準が高く、利益変動下でも配当を下支え
  • 自己資本比率 10/10: 62.9%(卸売業補正の40%以上=満点ライン)で満点。卸売業としては突出して厚い
  • 営業利益率 12/15: 2027年3月期の会社予想 7.55%(329.00億円÷4,360.00億円。卸売業補正で5%以上=12点)。卸売業の薄利構造のなか着実に改善
  • 増配減配耐性 8/10: 直近5年(2022〜2026)減配なし+来期維持以上で8点。普通配当ベースでも増配基調を維持
  • ネットキャッシュ 7/10: +860.55億円(時価総額3,159.7億円の27.2%)で10〜30%帯・7点
  • ROE 7/10: 2027年3月期の会社予想 12.0%(予想純利益237.00億円÷2026年3月期末自己資本1,969.69億円。10〜15%帯)で7点。卸売業の標準を上回る資本効率

3-2. 主な減点(低得点項目)

  • 配当方針 3/10: 明示されているのは配当と自己株式取得を合算した総還元性向60%程度の基本方針で、配当単独の配当性向目標・DOE目標・累進配当の宣言はない。総還元性向のみの数値目標は「安定配当を定性的に明記」と同じ3点区分にとどまる
  • 配当利回り 4/10: 85円÷2,780円=3.06%で2.5〜3.5%帯・4点

(注)以下の項目は配点比が中庸(40%超〜70%未満)のため §3-1/§3-2 のいずれにも掲載していません。

営業CF安定性 3/5 … 過去5年連続黒字だが2023年3月期に運転資本増で27.00億円まで落ち込み、変動幅±20%超。

3-3. 全体所感

  • スコアの中心要素: 高い自己資本比率、DOE5.2%、厚いネットキャッシュという財務の堅さが74点の中核
  • 主な減点要因: 配当利回りが3.1%とやや低めで、営業CFが年度間で大きくブレる点
  • ランク境界の判断: B(70〜84点)中位。配当性向目標・DOE目標・累進配当のいずれかが配当方針として明示されれば配当方針に加点余地があり、B上位への余地

※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。


4. Pros & Cons

4-1. ✅ Pros

  • 3事業すべてで増収・データセンター/再開発需要を電設資材事業が取り込み売上総利益率も改善
  • 自己株式取得36.63億円を実施し、配当と合わせた総還元で株主還元を厚くしている
  • 現金及び預金713.02億円+短期有価証券150.00億円に対し、有価証券報告書開示ベースの有利子負債等(短期借入金・リース債務・長期預り保証金)は60.50億円にとどまる
  • 投資有価証券の含み益拡大(その他有価証券評価差額金+107億円)が純資産を底上げ

4-2. ⚠️ Cons

  • 当期DPS85円のうち期末特別配当15円(分割後)を含み、普通配当ベースでは70円にとどまる
  • 営業CFが2023年3月期に27.00億円まで落ち込むなど、運転資本変動で年度間のブレが大きい
  • 来期は純利益+1.2%の小幅増益見通しで、当期の二桁増益から伸びが鈍化
  • 投資有価証券の時価変動が純資産・包括利益に影響しやすい資産構成

保有状況: 筆者は本銘柄を 保有していません(観察対象として継続フォロー予定)


5. 筆者メモ

総還元性向60%は配当と自己株式取得を合わせた目標で、配当そのものの水準を約束するものではない。還元の総量は読み取れる一方、配当単独の下限は示されていないと受け止めている。

次回(2027年3月期 第1四半期)見るポイント:

  • データセンター・大都市圏再開発に伴う電設資材需要の継続性
  • 銅価格・原材料コストの転嫁状況と売上総利益率の維持
  • 総還元性向60%方針に沿った自己株式取得の進捗

6. 配当の見方

6-1. 配当の中身

項目
2025年3月期実績 70円(分割後・中間30+期末40、うち期末特別配当5円)
2026年3月期実績 85円(分割後・中間35+期末50、うち期末特別配当15円・+15円)
2027年3月期予想 85円(分割後・中間40+期末45・±0円)
配当性向(連結・表面) 40.8%(85円 ÷ EPS208.49円・決算短信記載値)
DOE(連結・純資産配当率) 5.2%(決算短信記載値)
配当利回り 3.06%(直近実績DPS85円 ÷ 株価¥2,780・2026-05-29終値・J-Quants API)
配当方針 2025年3月期より「配当と自己株式取得を合わせた中期的な総還元性向を60%程度とする」基本方針を明示。2026年3月期 有価証券報告書「3【配当政策】」でも「年2回(中間配当及び期末配当)の安定配当」を続ける旨を記載。配当性向目標・DOE目標・累進配当の宣言は明示なし
連続増配年数 総額ベース5期連続増配(2022年3月期以降)+ 来期予想は据え置き

6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)

2022年以前の履歴を表示
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2020/3 50.0 103.67 48.2%
2021/3 50.0 101.63 49.2%
2022/3 55.0 110.03 50.0%
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2023/3 60.0 138.75 43.2%
2024/3 65.0 139.67 46.5%
2025/3 70.0 166.92 41.9%
2026/3(実績) 85.0 208.49 40.8%
2027/3(予想) 85.0 211.13 40.3%

(注)

  • データ基準: DPS・EPSは2019年12月1日付と2025年12月1日付の株式分割(いずれも1株→2株)を反映した現行株式数ベース。EPSは各期の会社開示値を換算したもので、配当性向から逆算していない。直近期(2026/3)は決算短信記載と一致確認済
  • 株式分割を跨ぐ年度の換算: 2回の分割はいずれも12月1日に効力が発生しており、中間配当(9月30日基準日)は分割前、期末配当(3月31日基準日)は分割後の株式数が基準になる。2020年3月期は会社開示が中間100円+期末50円(当時の各基準)で、現行株式数ベースでは中間25円+期末25円=年間50円となる(出典: 2020年3月期 有価証券報告書「3【配当政策】」・連結注記「配当に関する事項」)。同じ理由で2026年3月期も会社開示は中間70円(分割前)+期末50円(分割後)で、現行株式数ベースでは中間35円+期末50円=年間85円となる
  • 特別配当の内訳: 2022年3月期以降は毎期の期末配当に特別配当が上乗せされている(2022/3=普通50+特別5、2023/3=普通50+特別10、2024/3=普通60+特別5、2025/3=普通65+特別5、2026/3=普通70+特別15。いずれも現行株式数ベース。記念配当は対象期間を通じて計上がない)。本ブログのルールでは継続的に支給されている特別配当は普通配当と同様に扱い、記念配当のみ実質値から除外するため、上表のDPS・配当性向はいずれも総額ベースで記載している。参考として特別配当を除いた普通配当のみの水準は、2022年3月期50円、2023年3月期50円、2024年3月期60円、2025年3月期65円、2026年3月期70円である
  • 配当政策の傾向: 2022年3月期以降は総額ベースで5期連続増配。2021年3月期(現行基準50円)は前年(同50円)と同額の据え置きで、確認した範囲(2017年3月期以降)に減配となった年度はない。普通配当ベースでも2022年以降は減配なし

6-3. 配当の評価ポイント(3点)

  • 増配構造: 総額DPSは2022年3月期の55円から2026年3月期85円へ5期連続増配。EPS成長(110.03→208.49円)が増配原資を裏付ける
  • 方針シグナル: 「総還元性向60%程度」を2025年3月期から明示し、自己株式取得との合算で株主還元を運営。累進配当やDOE目標の宣言はないため、利益変動時の配当ぶれ余地は残る
  • 耐性実績: 直近5年(2022〜2026)減配なし・DOE5.2%水準を維持。ただし当期増配は特別配当の上乗せを含み、普通配当ベースの増配ペースは緩やか

7. 詳細データ

7-1. 業績サマリー

指標 当期 前期 前期比
売上高 4,170.23億円 3,840.12億円 +8.6%
営業利益 297.11億円 255.56億円 +16.3%
経常利益 317.56億円 266.98億円 +18.9%
当期純利益 234.20億円 187.83億円 +24.7%
EPS 208.49円 166.92円 +24.9%
ROE 12.7% 11.2% +1.5pt

セグメント別(対前年同期比)

区分 売上 前期比
電設資材事業 2,932.89億円 +8.2%
産業機器事業 433.65億円 +13.7%
自社製品事業 803.68億円 +7.4%

業績増減要因の「業績の質」診断

観点 評価 解釈
一過性要因 🟢 純利益+24.7%は本業の増収増益が主因。特別利益(投資有価証券売却益11.40億円)の影響は限定的
営業外損益 🟢 受取配当金11.55億円・為替差益等で経常利益+18.9%と営業利益の伸びを上回る
純利益押し下げ/押し上げ要因 🟢 特別損失は0.15億円と僅少・実効税率も安定し純利益を素直に押し上げ
開示の誠実性 🟢 3事業のセグメント別売上・利益を詳細開示、株式分割の調整方法も注記で明示

業績の質: 本業の増収増益が主因で良好(一過性要因の寄与は小さい)

7-2. 財務・CFサマリー

指標 2025/3 2026/3
営業CF(百万円) 23,279 26,909
投資CF(百万円) △10,455 △6,601
財務CF(百万円) △8,371 △10,266
現金及び預金(BS・百万円) 62,062 71,302
短期有価証券(BS流動・百万円) 15,000 15,000
現金及び現金同等物 期末残高(CF・参考・百万円) 66,062 76,202
自己資本比率(%) 61.8 62.9
  • 有利子負債: 連結貸借対照表の短期借入金は247百万円(前期末232百万円)で、長期借入金・社債の計上はない。2026年3月期 有価証券報告書「借入金等明細表」は、これに加えてリース債務96百万円(1年以内に返済予定36+それ以外60)と、その他有利子負債としての長期預り保証金5,705百万円(平均利率0.23%)を開示しており、同表の合計は6,050百万円(百万円未満の丸めにより、内訳の単純合算6,048百万円とは2百万円の差がある)
  • ネットキャッシュ: 現金及び預金(BS)71,302百万円 + 短期有価証券15,000百万円 − 有利子負債247百万円 = +86,055百万円。時価総額約3,159.7億円(株価¥2,780 × 期末発行済株式総数113,659,600株・自己株式を含む)の27.2%で「プラス、10〜30%」帯・7/10点。有価証券報告書が開示するリース債務96百万円と長期預り保証金5,705百万円まで有利子負債に含めた場合でも+80,254百万円(内訳の合算ベース。明細表の合計6,050百万円で控除しても80,252百万円。時価総額比はいずれも25.4%)で、同じ帯にとどまる。長期預金17,000百万円は分子に算入していない
  • (注)2026-08-04 訂正: 時価総額の算定株数を発行済株式総数(自己株式を含む)ベースへ統一し、時価総額・時価総額比の数値を修正しました(ネットキャッシュの得点に変更はありません)。

7-3. 来期業績予想(2027年3月期)

項目 予想 前期比
売上高 4,360.00億円 +4.6%
営業利益 329.00億円 +10.7%
経常利益 344.00億円 +8.3%
親会社株主帰属当期純利益 237.00億円 +1.2%
EPS 211.13円 +1.3%
営業利益率(来期予想) 7.55%(329.00億円÷4,360.00億円・本ブログ算出) +0.42pt
ROE(来期予想) 12.0%(237.00億円÷1,969.69億円・本ブログ算出) △0.7pt

来期は大都市圏の再開発・設備投資需要の継続を背景に増収増益を見込むが、純利益は+1.2%と小幅増益にとどまる見通し。営業利益段階では+10.7%と本業の伸びを見込む。

(注)営業利益率とROEの採点は、通期の姿を見るため会社予想ベース(2027年3月期)で行っています。ROEの分母は2026年3月期末の自己資本1,969.69億円です。前期比は2026年3月期の会社開示ROE12.7%・売上高営業利益率7.12%(297.11億円÷4,170.23億円)との差です。

7-4. データ出典の透明性

項目 出典 信頼度
通期売上・営業利益・経常利益・純利益・EPS・ROE・営業利益率 2026年3月期 決算短信(2026-05-15開示) 🟢 一次情報
来期業績予想 2026年3月期 決算短信「1.(4)今後の見通し」 🟢 一次情報
配当方針(総還元性向60%) 会社IR「配当方針(株主還元策について)」・2026年3月期 有価証券報告書「3【配当政策】」 🟢 一次情報
配当実績・来期予想・配当性向・DOE 2026年3月期 決算短信「2.配当の状況」 🟢 一次情報
自己資本比率・純資産・現金等・有利子負債・自己株式取得 2026年3月期 決算短信「連結貸借対照表」「連結CF計算書」 🟢 一次情報
セグメント別 2026年3月期 決算短信「①当期の経営成績」「セグメント情報」 🟢 一次情報
過去配当履歴・EPS推移 EDINET DB 🟢 一次情報
株式分割を跨ぐ年度の配当換算・過去の特別配当の内訳・借入金等明細表(リース債務・長期預り保証金) 2020〜2026年3月期 有価証券報告書「3【配当政策】」「借入金等明細表」・各年の「剰余金の配当に関するお知らせ」 🟢 一次情報
株価¥2,780(2026-05-29終値) J-Quants API(JPX 公式) 🟢 一次情報

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