【長谷川香料(4958)】配当C(67点) — 2026年9月期Q3

観察中(筆者は当該銘柄を未保有)📁 化学

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結論: 配当方針の変更で大幅増配、本業も堅調

📊 スコア: C 67点
💰 配当: 74→100円(+26円)、2027年9月期予想は未開示
良い点: 自己資本比率83.4%、実質無借金、DOE基準へ方針変更
⚠️ 注意点: 配当性向55.4%、ROE5.7%、純利益に特別利益


1. 業績ハイライト

  • 3Q累計売上593.55億円(+8.8%)
  • 営業利益78.38億円(+8.1%)で増益
  • 純利益63.31億円(+17.7%)は特別利益込み
  • 営業利益の通期進捗83.1%と標準ペース先行
  • 通期予想・配当予想とも修正なし

サマリー

  • 本業の増益: 3Q累計の営業利益は78.38億円で前年同期比+8.1%。人件費の増加とベトナム子会社買収の一過性費用を、売上増と円安の為替効果で吸収した
  • 純利益の伸びは一過性を含む: 純利益は63.31億円で+17.7%と利益段階で最も伸びたが、投資有価証券売却益6.08億円(特別利益)が押し上げ要因。本業の実力線は営業利益の+8.1%
  • 通期予想は据え置き: 営業利益の通期進捗は83.1%と標準ペース(75%)を上回るが、2025年11月7日公表の通期予想は修正されなかった。配当予想100円も修正なし

2. 配当判断サマリー

  • 当期は年100円予想(74→100円・+26.00円+35.1%)。中間50円は支払済みで、期末50円が予想
  • 配当方針は2025年11月7日に「連結株主資本配当率(DOE)3%以上を基準とする」形へ変更。会社IRのDOE実績は2022〜2025年9月期が2.2〜2.4%で、当期予想3.2%は基準を上回る
  • 配当性向は前期43.7%から当期予想55.4%へ+11.7pt上昇。増配ペースが純利益の伸び(通期予想+5.8%)を大きく上回った結果
  • 同じ化学業種の日本ゼオン(4205)はDOE4%以上をKPIに掲げており、基準の数値では当社(3%以上)が一段低い。ただし基準の高低は各社の自己資本の厚みや事業構造の違いを反映したもので、そのまま配当の持続性の優劣を示すものではない

3. スコア内訳

配当持続性ランク: C(67/100点) ★★★☆☆

カテゴリ 配点 得点 主な内容
配当 50 31 性向4・DOE7・利回り4・方針8・耐性8
財務 25 20 自己資本10・ネットキャッシュ7・営業CF安定性3
収益 25 16 営業利益率12・ROE4
合計 100 67

3-1. 主な加点(高得点項目)

  • 自己資本比率 10/10: 第3四半期末83.4%(60%以上)で満点。総資産1,616.44億円に対し自己資本1,347.42億円で、前期末83.5%からほぼ横ばい
  • 営業利益率 12/15: 通期予想12.3%(営業利益94.30億円÷売上高765.00億円)で「10〜15%」帯。四半期カルテの収益2項目は通期の会社予想を採点根拠とする。前期実績11.6%から+0.7ptの水準
  • 配当方針 8/10: 連結株主資本配当率(DOE)3%以上を基準とする数値目標を明示(2025年11月7日公表・2026年9月期から適用)。累進配当の宣言はないためDOE目標相当の8点
  • 増配・減配耐性 8/10: 直近5年(2021〜2025年9月期)で減配なし+当期予想も+26.00円の増配で8点。2023年9月期に61円で据え置いたため実績の連続増配は2期にとどまり、3年以上の連続増配を要する10点には届かない
  • DOE 7/10: 3.2%(2026年9月期予想・会社IR「株主還元/配当・株主優待」記載値)で「3〜5%」帯。2022〜2025年9月期の2.2〜2.4%から方針変更で一段引き上がった
  • ネットキャッシュ 7/10: 350.51億円(現金及び預金350.51億円−有利子負債なし)。時価総額1,407.23億円に対し24.9%で「10〜30%」帯

3-2. 主な減点(低得点項目)

  • 配当性向 4/10: 55.4%(当期予想100.00円÷予想EPS180.54円)。化学はメーカー中央値35%を準用し、乖離+20.4ptで「+20〜+30pt」帯の4点
  • 配当利回り 4/10: 3.03%(予想DPS100.00円÷株価¥3,295)で「2.5〜3.5%」帯の4点
  • ROE 4/10: 通期予想5.7%(予想純利益73.20億円÷期首自己資本1,229.00億円と第3四半期末自己資本1,347.42億円の平均1,288.21億円)で「5〜10%」帯。前期実績も約5.7%で横ばい。自己資本比率83.4%という分母の厚さが効いており、収益力そのものの弱さとは分けて見る必要がある

3-3. スコアの動き(定点観測)

  • スコア変動: 前中間期(2026年9月期 中間期)67点 → 今期67点で変動なし。ランクもCで据え置き。なお中間期カルテは公開時にDOE・ROE・ネットキャッシュ時価総額比の3項目を推定値で掲載していたため、2026年8月4日に一次資料の値へ訂正し76点(B)から67点(C)へ改めている。本項の比較は訂正後の値による
  • 変動の内訳: 10項目すべてで得点は動かなかった。ただし帯の内側では位置が変わっており、ネットキャッシュ時価総額比は29.0%から24.9%へ低下(現金及び預金が362.71億円から350.51億円へ減る一方、株価¥2,933→¥3,295で時価総額が1,252.63億円から1,407.23億円へ拡大したため)、自己資本比率は84.2%から83.4%、配当利回りは3.41%から3.03%へ下がった
  • 満点項目の維持: 自己資本比率10/10は据え置き。配当方針8/10・増配減配耐性8/10も中間期と同じ得点で、DOE3%以上を基準とする方針と減配のない配当実績が引き続き支えている
  • 現在の位置づけ: C(55〜69点)の上位帯。財務20/25と配当方針・増配減配耐性が支える一方、配当性向4/10・配当利回り4/10・ROE4/10の3項目が40%止まりで、収益16/25が全体を抑える位置関係になっている

※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。


4. 事業の強み・構造リスク

4-1. ✅ 事業の強み

  • 地域3極への利益分散: 日本38.43億円(+4.0%)とアジア38.14億円(△0.6%)がほぼ同規模の二本柱で、前年同期に3.72億円の損失だった米国が1.13億円の利益へ転じた。稼ぐ地域が一極に偏らず、配当原資の振れが抑えられる
  • フレグランス部門の伸び: 売上67.68億円(+16.2%)と食品部門(+7.9%)を上回る伸びで、単体の売上増が主因。全社の11%規模だが、食品一極だった売上構成に二本目の伸び筋が育っている

4-2. ⚠️ 構造リスク

  • 為替換算に頼る増収部分: 期中平均レートは1米ドル156.84円(前年同期149.88円)と4.6%の円安で、中国子会社は現地通貨ベースで△6.6%、マレーシア子会社も△1.0%の減収。円高へ振れれば連結の売上・利益が目減りする
  • 買収の取得原価配分が暫定処理: ベトナム子会社の取得でのれんが73.06億円→107.13億円へ増えたが、配分は第3四半期末時点で未完了。確定処理で無形資産への振替やのれん残高が動く可能性があり、償却負担(3Q累計10.29億円)の見通しが固まらない

保有状況: 筆者は本銘柄を 保有していません(観察対象として継続フォロー予定)


5. 筆者メモ

3四半期で営業利益が通期予想の83%まで届いたのに、会社は予想を据え置きました。低めに置くのが例年の姿勢なのか、期末に向けて見直すのかを見ています。

次回(2026年9月期 通期)見るポイント:

  • 通期の営業利益が予想94.30億円に対しどこで着地するか
  • ベトナム子会社の取得原価配分が確定し、のれん残高と償却負担がどう変わるか
  • 2027年9月期の配当予想がDOE3%以上の基準でいくらに置かれるか

6. 配当の見方

6-1. 配当の中身

項目
2025年9月期実績 74.00円(中間37.00+期末37.00)
2026年9月期予想 100.00円(中間50.00+期末50.00)(+26.00円+35.1%)
2027年9月期予想 未開示(本決算短信に記載なし)
配当性向(連結・表面・当期予想) 55.4%(100.00円 ÷ 予想EPS180.54円・決算短信記載値)
DOE(連結・株主資本配当率) 3.2%(2026年9月期予想・会社IR「株主還元/配当・株主優待」記載値。決算短信「2.配当の状況」には記載がない)
配当利回り 3.03%(予想DPS100.00円 ÷ 株価¥3,295・2026-08-03終値・J-Quants API)
配当方針 連結株主資本配当率(DOE)3%以上を基準とする(2025年11月7日公表・2026年9月期から適用)。短期的な業績変動に左右されない配当を明確にするための変更と会社は説明している
連続増配年数 2期連続増配(2024年9月期70.00円・2025年9月期74.00円)+ 当期予想100.00円で 3期目 継続見込み

6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)

2022年以前の履歴を表示
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2016 32.00 85.74 37.3%
2017 35.00 101.35 34.5%
2018 35.00 96.64 36.2%
2019 35.00 99.07 35.3%
2020 40.00 122.79 32.6%
2021 55.00 163.63 33.6%
2022 61.00 194.65 31.3%
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2023 61.00 162.16 37.6%
2024 70.00 175.04 40.0%
2025 74.00 169.50 43.7%
2026(予想) 100.00 180.54 55.4%

(注)

  • データ基準: 2016〜2025年9月期はEDINET DB引用。2025年9月期のDPS74.00円は決算短信「2.配当の状況」と一致確認済。2026年9月期行は決算短信の会社予想(配当100.00円・EPS180.54円)
  • 異常値の説明: 決算短信「2.配当の状況」および会社IRの配当実績に記念配当特別配当の記載はなく、表面DPS=普通配当。株式分割も2016年9月期以降は確認されず、DPS・EPSとも調整なしの実額
  • 配当政策の傾向: 2016年9月期32.00円から2025年9月期74.00円まで一度も減配せず、2018・2019・2023年9月期の据え置きを挟みながら約2.3倍。当期は基準指標を配当性向からDOEへ切り替えたことで、利益の変動よりも自己資本の水準に配当が連動する設計へ変わった

6-3. 配当の評価ポイント(3点)

  • 増配構造: 中間37.00→50.00円・期末37.00→50.00円と両方を引き上げ、年間で+26.00円。純利益の通期予想が+5.8%にとどまるなかでの増配で、原資の成長より方針変更が主導した増配
  • 方針シグナル: 2025年11月7日に連結配当性向40%程度目途からDOE3%以上基準へ変更。会社IRのDOE実績は2022年9月期2.4%・2023年9月期2.2%・2024年9月期2.4%・2025年9月期2.4%と基準未満で推移しており、当期予想3.2%で初めて基準を上回る
  • 耐性実績: 直近5年(2021〜2025年9月期)で減配なし。コロナ期にあたる2020年9月期も35.00→40.00円と増配しており、業績変動局面でも配当を落としていない

7. 詳細データ

7-1. 業績サマリー

指標 当期(第3四半期累計) 前期(第3四半期累計) 前期比
売上高 593.55億円 545.48億円 +8.8%
営業利益 78.38億円 72.47億円 +8.1%
経常利益 84.55億円 77.79億円 +8.7%
四半期純利益 63.31億円 53.78億円 +17.7%
EPS 156.15円 131.46円 +18.8%
営業利益率 13.2% 13.3% △0.1pt

通期進捗率(第3四半期=標準75%)

指標 累計実績 通期予想 進捗率
売上高 593.55億円 765.00億円 77.6%
営業利益 78.38億円 94.30億円 83.1%
経常利益 84.55億円 100.50億円 84.1%
親会社株主帰属四半期純利益 63.31億円 73.20億円 86.5%

セグメント別(対前年同期比・セグメント間内部売上高を含む)

区分 売上 前期比 セグメント利益
日本 330.23億円 +4.3% 38.43億円(+4.0%)
アジア 148.12億円 +9.0% 38.14億円(△0.6%)
米国 138.29億円 +18.0% 1.13億円(前年同期は3.72億円の損失)

業績増減要因の「業績の質」診断

観点 評価 解釈
一過性要因 🟡 純利益+17.7%には投資有価証券売却益6.08億円(特別利益)が含まれる。本業の伸びは営業利益+8.1%
営業外損益 🟢 営業外収益6.63億円・営業外費用0.46億円で、経常利益+8.7%の伸び幅は営業利益とほぼ同水準。特殊な営業外項目はない
純利益押し上げ要因 🟡 特別利益6.08億円に加え、包括利益150.43億円(+208.3%)は為替換算調整勘定の78.89億円増(円安)が主因の評価差額で、稼いだ利益ではない
開示の誠実性 🟢 ベトナム子会社の取得原価配分が暫定処理であること、連結範囲の変更、税金費用の見積実効税率適用をいずれも注記で明示

業績の質: 営業利益+8.1%が実力線。純利益+17.7%と包括利益+208.3%は特別利益と為替換算の押し上げを含む

7-2. 財務・CFサマリー

指標 前期末(2025年9月30日) 当第3四半期末(2026年6月30日)
現金及び預金(百万円) 34,854 35,051
有価証券(百万円) 2,000
のれん(百万円) 7,306 10,713
自己資本(百万円) 122,900 134,742
自己資本比率(%) 83.5 83.4(△0.1pt)
  • 有利子負債: 四半期連結貸借対照表に借入金・社債の科目はなく、実質無借金。3Q累計の支払利息は24百万円にとどまる
  • ネットキャッシュ: 350.51億円(現金及び預金350.51億円+有価証券0円−有利子負債0円)。時価総額1,407.23億円(株価¥3,295×期末発行済株式数42,708,154株・自己株式を含む)に対し24.9%で「10〜30%」帯
  • 営業CF: 当第3四半期連結累計期間の四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない。直近5期(2021〜2025年9月期)の通期営業CFは99.80億円→80.01億円→80.12億円→139.47億円→112.47億円で5期連続黒字だが、平均102.37億円からの最大乖離が36.2%と大きく、営業CF安定性は3/5にとどまる

7-3. 通期業績予想(2026年9月期)

項目 予想 前期比
売上高 765.00億円 +4.1%
営業利益 94.30億円 +10.7%
経常利益 100.50億円 +8.2%
親会社株主帰属当期純利益 73.20億円 +5.8%
EPS 180.54円 +6.5%
営業利益率(通期予想) 12.3%(94.30億円÷765.00億円・本ブログ算出) +0.7pt
ROE(通期予想) 5.7%(73.20億円÷1,288.21億円・本ブログ算出) ±0.0pt

7-4. データ出典の透明性

項目 出典 信頼度
第3四半期累計の売上高・営業利益・経常利益・四半期純利益・EPS・セグメント別 2026年9月期 第3四半期決算短信(2026年8月3日開示) 🟢 一次情報
通期業績予想・為替換算レート・ベトナム子会社の取得原価配分 2026年9月期 第3四半期決算短信「1.当四半期決算に関する定性的情報」「注記事項」 🟢 一次情報
営業利益率(通期予想)・ROE(通期予想)・ネットキャッシュ・時価総額 本ブログ算出(会社予想値より計算・ROE分母は期首自己資本(前期末)と直近開示時点自己資本の平均) 🟡 補助データ
配当実績・当期配当予想・配当性向 2026年9月期 第3四半期決算短信「2.配当の状況」 🟢 一次情報
DOE(株主資本配当率)の実績・予想値、配当方針(DOE3%以上を基準) 会社IR「株主還元/配当・株主優待」 🟢 一次情報
自己資本比率・現金及び預金・有価証券・のれん・自己資本・支払利息 2026年9月期 第3四半期決算短信「四半期連結貸借対照表」「四半期連結損益計算書」 🟢 一次情報
過去配当履歴・EPS推移・通期営業CF推移(2016〜2025年9月期) EDINET DB 🟢 一次情報
株価¥3,295(2026-08-03終値) J-Quants API(JPX 公式) 🟢 一次情報

【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。