結論: 上方修正で配当性向が下がり配点が戻った。
📊 スコア: B 72点
💰 配当: 88→88円(±0円)、通期予想88円(±0円)
✅ 良い点: 累進配当方針、自己資本比率83.9%、無借金
⚠️ 注意点: 配当性向60.8%、営業CF変動、増配が3期停止
1. 業績ハイライト
- 中間期売上: 268.78億円(+8.3%)、海外 +24.7% が牽引。
- 営業利益: 33.47億円(+72.7%)、売上総利益率63.8%への改善が寄与。
- 中間純利益: 24.16億円(+476.5%)、前年同期の特別損失の反動を含む。
- 通期予想を上方修正: 営業65.50億円(+15.9%)、EPS 144.68円へ。
- 自己資本比率: 83.9%(△1.0pt)、有利子負債ゼロを継続。
サマリー
- 海外が成長を牽引: 海外売上78.84億円(+24.7%)で構成比が25.5%→29.3%へ上昇。7つのリージョン戦略の優先順位を再検証し、米国、EU、韓国を重点エリアに設定した投資が成果として現れている。
- 増益の主因は本業: 増収効果に売上総利益率の改善(62.5%→63.8%)が加わり、販促関連費用の減少もあって営業利益は +72.7%。一方で中間純利益 +476.5% は前年同期の投資有価証券評価損7.55億円の反動を大きく含む。
- 通期予想を上方修正: 2026年2月13日発表の前回予想(売上548.00億円・営業63.00億円・純利益43.00億円)から、売上556.00億円・営業65.50億円・純利益46.00億円へ引き上げた。
2. 配当判断サマリー
- 年間配当88円(±0円・中間40円 + 期末48円予想)で3期連続の据え置き。中間配当40円の支払開始予定日は2026年8月24日。
- 上方修正で予想EPSが135.30→144.68円となり、配当性向は65.04%→60.82%へ低下。化学業種の中央値35%との乖離が30ptを下回ったため、配当性向の配点が0→4点へ戻った。
- 中期事業構想(2022-2026)で「安定的な利益成長に伴う累進配当」を明示し、総還元性向50%以上を長期目標に掲げる。2026年8月10日には90万株・18億円を上限とする自己株式取得を決議。
- 純資産配当率(DOE)5.58%は高水準。同じ累進配当を掲げるニチアス(5393)はDOE5%以上を目標値として公表しており、方針の明文化の度合いには差がある。
3. スコア内訳
配当持続性ランク: B(72/100点) ★★★★☆
| カテゴリ | 配点 | 得点 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 配当 | 50 | 36 | 性向4・DOE10・利回り4・方針10・耐性8 |
| 財務 | 25 | 20 | 自己資本10・ネットキャッシュ7・営業CF安定性3 |
| 収益 | 25 | 16 | 営業利益率12・ROE4 |
| 合計 | 100 | 72 | — |
3-1. 主な加点(高得点項目)
- 配当方針 10/10: 中期事業構想(2022-2026)で「安定的な利益成長に伴う累進配当」を明示し、総還元性向50%以上を長期目標に掲げる。ガイドの最上位帯。
- DOE 10/10: 5.58%(配当総額28億円 ÷ 自己資本501.59億円・中間期末ベースの試算)でガイドの「5%以上」帯。
- 自己資本比率 10/10: 83.9%(△1.0pt)で「60%以上」帯。化学業種の業種補正を使わずに満点。
- 営業利益率 12/15: 通期予想11.78%(65.50億円 ÷ 556.00億円)で「10〜15%」帯。
- 増配減配耐性 8/10: 2020年12月期以降に減配なし、コロナ期の2020年12月期も56円を維持、当期も88円の維持予想で、判定は「直近5年で減配なし+当期は維持予想」にあたる。
- ネットキャッシュ 7/10: +123.27億円で時価総額の13.0%、「プラス、10〜30%」帯。
3-2. 主な減点(低得点項目)
- 配当性向 4/10: 60.82%(88円 ÷ 予想EPS144.68円)。化学業種の中央値35%からの乖離は+25.82ptで、ガイドの「+30pt帯」(乖離30pt以下)にあたる。前回カルテは+30.04ptで帯の上限をわずかに超えて0点だった。
- 配当利回り 4/10: 3.01%(予想DPS88円 ÷ 株価¥2,927)で「2.5〜3.5%」帯。
- ROE 4/10: 通期予想9.27%(46.00億円 ÷ 自己資本496.09億円)で「5〜10%」帯。高い自己資本比率が分母を押し上げている。
3-3. スコアの動き(定点観測)
- スコア変動: 前回カルテ(2026年12月期Q1)68点 → 今回72点(+4点)。ランクは C → B へ変わった。
- 変動の内訳: 動いたのは配当32→36の1カテゴリのみで、要因は配当性向0→4点。通期予想の上方修正で予想EPSが135.30→144.68円となり、中央値からの乖離が30.04pt→25.82ptへ縮小して配点帯が1段戻った。財務20・収益16は前回から不変。
- 配当本体は満点維持: 配当方針10、DOE10、自己資本比率10は前回から不変で、累進配当の明示と無借金の骨格は動いていない。
- 現在の位置づけ: 72点はB帯(70〜84)の下限に近い。配当性向は帯の境界に近いところにあり、予想EPSが135.39円を下回ると乖離が再び30ptを超えて0点(=68点)に戻る位置にある。
※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。
4. 事業の強み・構造リスク
4-1. ✅ 事業の強み
- 美容室と代理店を介した販売網: 短信は「美容室および代理店と一体となった成長」を掲げ、教育施策の一層の強化を明記している。商品供給だけでなく技術教育で美容室とつながる形は、取引関係が価格だけで切り替わりにくい構造をつくる。
- 価格帯を分けたブランドの多層展開: 「オージュア」「グローバルミルボン」のプレミアム帯に加え、スモールマス市場を意識した新製品「スワエ」を投入している。単一ブランドの盛衰に売上が左右されにくい品揃えになっている。
4-2. ⚠️ 構造リスク
- 単一セグメントの事業構成: 報告セグメントは化粧品の製造、販売のみで、セグメント情報の記載を省略している。美容室向け市場の環境変化を他の事業で吸収する余地がない。
- 在庫が先行して資金を使う構造: 中間期は商品及び製品が10.61億円増え、棚卸資産の増加14.37億円が営業CF30.74億円を押し下げた。海外展開で在庫を先に積む必要があり、増収局面ほど運転資金が先に出ていく。
保有状況: 筆者は本銘柄を 保有しています(株数は非開示・2026年8月時点)。
5. 筆者メモ
前回書いた通期上方修正は実現したが、配当は88円のまま増配が止まって3期目になる。累進配当を掲げる中期事業構想が今年で最終年度なので、次の構想で何を約束するかを待っている。
6. 配当の見方
6-1. 配当の中身
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 2025年12月期実績 | 88円(中間40円 + 期末48円) |
| 2026年12月期予想 | 88円(中間40円〔支払開始予定日 2026年8月24日〕 + 期末48円予想) |
| 増配 | ±0円(3期連続の据え置き) |
| 増配の履歴 | 2021年12月期から2023年12月期にかけて増配が続いたが、2024年12月期に止まり、以降は88円で据え置き(当期予想を含め3期目) |
| 配当性向(2026年12月期予想・表面) | 60.8%(88円 ÷ 予想EPS144.68円) |
| DOE(本記事の試算) | 5.58%(配当総額28億円 ÷ 自己資本501.59億円・中間期末ベース) |
| 配当利回り | 3.01%(予想DPS88円 ÷ 株価¥2,927・2026-08-10終値・J-Quants API) |
| 配当方針 | 中期事業構想(2022-2026)で「安定的な利益成長に伴う累進配当」を明示・総還元性向50%以上を長期目標。DOEの目標値は公表していない |
| 自己株式取得 | 2026年8月10日の取締役会で90万株(発行済株式総数〔自己株式を除く〕の2.8%)・18億円を上限とする取得を決議(取得期間 2026年8月12日〜12月17日) |
- 配当予想は直近の公表値から修正なし。上方修正されたのは業績予想のみで、配当は88円のまま据え置かれている。
6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)
2022年以前の履歴を表示
| 年度 | DPS(円) | EPS(円) | 配当性向(再計算) |
|---|---|---|---|
| 2020/12期 | 56 | 129.24 | 43.3% |
| 2021/12期 | 68 | 157.17 | 43.3% |
| 2022/12期 | 86 | 171.49 | 50.1% |
| 年度 | DPS(円) | EPS(円) | 配当性向(再計算) |
|---|---|---|---|
| 2023/12期 | 88 | 122.99 | 71.6% |
| 2024/12期 | 88 | 154.12 | 57.1% |
| 2025/12期 | 88 | 106.26 | 82.8% |
| 2026/12期(予想) | 88 | 144.68 | 60.8% |
(注)
- データ基準: EDINET DB引用、直近期は短信記載と一致確認済。直近の株式分割は2018年1月1日付の1株→2株で、本表の対象期間(2020年12月期以降)に分割はないため換算は行っていない。
- 配当政策の傾向: 2020年12月期以降に減配はなく、2021年12月期から2023年12月期にかけて56→68→86→88円と増配が続いたが、2024年12月期に止まり、以降は88円で据え置き。配当性向は利益の振れに応じて43%〜83%の幅で動いており、配当額を利益に合わせて動かさない運用が読み取れる。
6-3. 配当の評価ポイント(3点)
- 増配構造: 年間88円で3期連続の据え置き。2021年12月期から2023年12月期は増配が続いたが、2024年12月期以降は横ばい。上方修正後の配当性向60.8%は、増配再開に必要な利益成長の水準を示している。
- 方針シグナル: 中期事業構想(2022-2026)で「安定的な利益成長に伴う累進配当」を明示し、総還元性向50%以上を長期目標に掲げる。2026年8月10日には90万株・18億円を上限とする自己株式取得を決議した。ただし同構想は2026年度が最終年度にあたり、次期構想の還元方針は未公表。DOEの目標値も公表していない。
- 耐性実績: 2020年12月期以降に減配はなく、コロナ期の2020年12月期も56円を維持した。当期も88円の維持予想で、減配ショックへの耐性は確認できる。
7. 詳細データ
7-1. 業績サマリー
| 指標 | 当中間期 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 268.78億円 | 248.07億円 | +8.3% |
| 営業利益 | 33.47億円 | 19.38億円 | +72.7% |
| 経常利益 | 34.99億円 | 18.53億円 | +88.8% |
| 親会社株主帰属中間純利益 | 24.16億円 | 4.19億円 | +476.5% |
| EPS(中間) | 76.00円 | 12.87円 | +490.5% |
| 営業利益率 | 12.45% | 7.81% | +4.64pt |
品目別売上高(対前年同期比)
| 区分 | 売上 | 前期比 |
|---|---|---|
| ヘアケア用剤 | 171.49億円 | +9.8% |
| 染毛剤 | 85.37億円 | +7.0% |
| パーマネントウェーブ用剤 | 7.45億円 | +5.0% |
| 化粧品 | 2.96億円 | △9.5% |
| その他 | 1.49億円 | △8.7% |
国内海外別売上高(対前年同期比)
| 区分 | 売上 | 前期比 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 国内 | 189.93億円 | +2.8% | 70.7% |
| 海外 | 78.84億円 | +24.7% | 29.3% |
- 主因: 海外は米国、EU、韓国が好調で +24.7%。前年に政治の混乱の影響を受けた韓国も売上、利益とも回復した。国内はヘアケア用剤が店販品中心に伸びた一方、染毛剤の業務用品で競争が激化した。
- 乖離点: 売上 +8.3% に対し営業利益 +72.7% と伸びが大きいのは、売上総利益率が62.5%→63.8%へ改善し、販促関連費用が減少したため。
- 着地評価: 中間期の進捗率は売上48.3%・営業利益51.1%・純利益52.5%。上方修正後の通期予想に対しても折り返しを超えている。
業績増減要因の「業績の質」診断
| 観点 | 評価 | 解釈 |
|---|---|---|
| 一過性要因 | 🟡 一部あり | 中間純利益 +476.5% は、前年同期に投資有価証券評価損7.55億円があった反動を大きく含む。営業段階の +72.7% が実勢に近い |
| 営業外損益 | 🟢 改善 | 前年同期の為替差損1.20億円・持分法投資損失0.09億円が、当期は為替差益0.06億円・持分法投資利益0.28億円へ転換 |
| 特別損益 | 🟡 軽微 | 当期は減損損失1.25億円を含む特別損失1.28億円(前年同期は7.56億円) |
| 開示の誠実性 | 🟢 高 | 上方修正を同日に別途開示し、品目別・国内海外別の売上内訳を明示 |
→ 業績の質: 営業段階は増収と売上総利益率の改善による本業由来。ただし純利益の伸び率は前年の特別損失の反動を含むため、営業利益で見るのが実勢に近い
7-2. 財務・CFサマリー
| 指標 | 2025/12期末 | 2026/6末(中間) |
|---|---|---|
| 現金及び預金(億円) | 118.16 | 123.27(+4.3%) |
| 自己資本比率(%) | 84.9 | 83.9(△1.0pt) |
| 1株当たり純資産(円) | 1,543.67 | 1,576.70(+2.1%) |
- 有利子負債 ゼロ(借入金、社債、リース債務のいずれも貸借対照表に計上がない)
- ネットキャッシュ: 現金及び預金123.27億円 − 有利子負債0 = +123.27億円。時価総額945.58億円(株価¥2,927 × 期末発行済株式数32,305,534株・自己株式を含む)の13.0%で「プラス、10〜30%」帯
- 中間期の営業CF 30.74億円 — 税金等調整前中間純利益33.72億円と減価償却費11.92億円が主な増加要因、棚卸資産の増加14.37億円が減少要因
- 投資CF △8.86億円(有形固定資産の取得8.08億円、無形固定資産の取得3.54億円)、財務CF △15.24億円(配当金の支払15.24億円)
- 自己株式: 自己株式数は524,904株→492,710株へ32,194株減少(処分)。期末発行済株式総数は32,305,534株で前期末から変わらず、消却は行っていない
7-3. 通期業績予想(2026年12月期・2026年8月10日 上方修正後)
| 項目 | 予想 | 前期比 | 前回予想比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 556.00億円 | +5.2% | +8.00億円 |
| 営業利益 | 65.50億円 | +15.9% | +2.50億円 |
| 経常利益 | 67.40億円 | +23.5% | +5.60億円 |
| 親会社株主帰属当期純利益 | 46.00億円 | +33.8% | +3.00億円 |
| EPS | 144.68円 | +36.2% | +9.38円 |
| 営業利益率(通期予想) | 11.78%(65.50億円 ÷ 556.00億円) | — | — |
| ROE(通期予想) | 9.27%(46.00億円 ÷ 自己資本496.09億円〔期首490.59億円と中間期末501.59億円の平均〕) | — | — |
- 増減トーン: 前回予想(2026年2月13日発表)から売上、各段階利益、EPSのすべてを引き上げた。伸び率は経常 +23.5%・純利益 +33.8% が大きいが、前期に投資有価証券評価損を計上した反動を含む。
- 前提条件: 国内市場の安定成長と海外市場の成長の両立を目指す方針。物価上昇、中東情勢、米国の関税政策、為替や金利の変動を留意すべきリスクとして挙げている。
- 施策: 国内は高付加価値の新製品投入と教育施策の強化、海外は米国、EU、韓国の重点3エリアへの投資を継続。
7-4. データ出典の透明性
| 項目 | 出典 | 信頼度 |
|---|---|---|
| 中間期の売上・営業利益・経常利益・純利益・EPS・品目別/国内海外別売上高 | 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信(2026年8月10日開示) | 🟢 一次情報 |
| 2026年12月期 通期業績予想(上方修正後)・配当予想 | 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信「(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」 | 🟢 一次情報 |
| 前回予想(2026年2月13日発表)の数値 | 2026年12月期 第1四半期決算短信 | 🟢 一次情報 |
| 自己資本比率83.9%・現金及び預金123.27億円・有利子負債ゼロ・発行済株式数 | 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信「中間連結貸借対照表」「注記事項」 | 🟢 一次情報 |
| 自己株式取得の決議(90万株・18億円) | 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信「重要な後発事象」 | 🟢 一次情報 |
| 配当方針(累進配当・総還元性向50%以上) | 中期事業構想(2022-2026) | 🟢 一次情報 |
| 過去年度の配当履歴・EPS推移 | EDINET DB | 🟢 一次情報 |
| 株価・配当利回り | J-Quants API(2026-08-10 終値) | 🟢 一次情報 |
【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。