【ニホンフラッシュ(7820)】配当C(57点) — 2027年3月期Q1

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結論: Q1は全段階赤字、配当性向91%でも36円を据え置き。

📊 スコア: C 57点
💰 配当: 36→36円(±0円)、通期予想36円(±0円)
良い点: 利回り5.06%、自己資本比率75.2%、ネットキャッシュ83億円
⚠️ 注意点: Q1全段階赤字、配当性向91.0%、中国の損失拡大


1. 業績ハイライト

  • Q1売上: 36.10億円(△11.6%)、建築現場の工程遅れで売上計上時期がずれた。
  • 営業損益: △1.42億円の赤字(前年同期も△0.03億円の赤字)。
  • 四半期純損益: △1.78億円の赤字(前年同期は+0.25億円)。
  • 中国: 売上15.26億円(△16.5%)、セグメント損失△3.55億円へ拡大。
  • 自己資本比率: 71.7→75.2%(+3.5pt)、ネットキャッシュ83.09億円。

サマリー

  • 国内は工程遅れによる期ずれ: 日本セグメントの売上は20.85億円(△7.7%)、セグメント利益2.12億円(△23.5%)。会社は下期に向けて中東情勢の影響が平準化することと、原材料高騰に対応した販売価格の改定に着手済みであることから、業績は徐々に回復する見込みとしている。
  • 中国は計画的な減少: 売上15.26億円(△16.5%)、セグメント損失は△3.55億円(前年同期△2.81億円)へ拡大。会社は事業構造転換を優先するため中国での製造・販売数量を当初から減少させる計画と説明している。
  • 通期は減収減益計画のまま: 2027年3月期は売上210億円(△10.5%)、営業14億円(△19.8%)、純利益9億円(△36.4%)で、2026年5月15日公表の予想から変更はない。

2. 配当判断サマリー

  • 年間配当は36円で据え置き(中間18円 + 期末18円)。2023年3月期から4期連続で同額が続いている。
  • 通期予想ベースの配当性向は91.0%(36円 ÷ 予想EPS39.55円)。前期実績の57.9%から大きく上がり、採点上は最も低い帯に落ちた。
  • 一方で配当利回りは5.06%と高く、ネットキャッシュ83.09億円(時価総額の46.6%)と自己資本比率75.2%が配当の支えになっている。
  • 配当方針は「中長期視点で必要な内部留保を確保しつつ、業績に応じて安定した配当を継続」という定性的な記載にとどまり、DOEや配当性向の数値目標は公表していない。

3. スコア内訳

配当持続性ランク: C(57/100点) ★★★☆☆

カテゴリ 配点 得点 主な内容
配当 50 25 性向0・DOE4・利回り10・方針3・耐性8
財務 25 23 自己資本10・ネットキャッシュ10・営業CF安定性3
収益 25 9 営業利益率8・ROE1
合計 100 57

3-1. 主な加点(高得点項目)

  • 配当利回り 10/10: 5.06%(予想DPS36円 ÷ 株価¥711)でガイドの「4.5%以上」帯。
  • 自己資本比率 10/10: 75.2%(+3.5pt)で「60%以上」帯。
  • ネットキャッシュ 10/10: +83.09億円で時価総額の46.6%、「プラス、30%以上」帯。
  • 増配減配耐性 8/10: 直近5年に減配がなく、当期も36円の維持予想。連続増配はないため最上位の1段下。

3-2. 主な減点(低得点項目)

  • 配当性向 0/10: 91.02%(36円 ÷ 通期予想EPS39.55円)で、その他製品の中央値35%から+56.02pt。乖離30pt超で配点なし。
  • ROE 1/10: 通期予想2.82%(予想純利益9億円 ÷ 自己資本318.92億円〔期首317.98億円とQ1末319.85億円の平均〕)で「0〜5%」帯。
  • 配当方針 3/10: 「業績に応じて安定した配当を継続」という定性的な記載にとどまり、DOEや配当性向の数値目標は非公表。
  • DOE 4/10: 2.6%(配当総額8.19億円 ÷ 自己資本318.92億円)でガイドの「1〜3%」帯。

3-3. スコアの動き(定点観測)

  • スコア変動: 前回カルテ(2026年3月期)61点 → 今回57点(△4点)。ランクはCのまま。
  • 変動の内訳: 動いたのは配当性向4→0の1項目のみ。本ブログは通期カルテでは確定した実績を、四半期カルテでは当期の通期予想を採点根拠に使うため、前回の実績値57.9%から今回は通期予想値91.0%へ物差しが切り替わった。前回カルテが「来期91.0%へ急上昇予想」として予告していた水準が、そのまま採点に反映された形。他9項目はすべて前回から不変。
  • 財務の厚みは不変: 自己資本比率10・ネットキャッシュ10・配当利回り10は前回から変わらず、財務23/25は据え置き。減配せずに36円を払い続ける原資は手元資金にある。
  • 現在の位置づけ: 57点はC帯(55〜69)の下限に近い。配当そのものは利回り5.06%と手元資金の厚さで支えられている一方、その原資を生む利益が通期で△36.4%の減益計画にあり、配当性向とROEが採点上の下限帯に沈んでいる。

※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。


4. 事業の強み・構造リスク

4-1. ✅ 事業の強み

  • 台湾の大型案件が2027年から: 台湾潤泰グループの「南港之星」979戸に、ドアや化粧造作材だけでなく洗面化粧台、収納、フローリングまで納入が決定した。一物件あたりの供給範囲が広く、転換期の売上の受け皿になる。
  • 住宅着工に依存しない販路の開拓: 店舗用内装組立部材、ホテル向け防火ドア、華住集団と共同開発した高性能遮音ドアの納入が決定。ドバイとサウジアラビアでの営業活動も再開している。

4-2. ⚠️ 構造リスク

  • 売上債権に対する貸倒引当金が厚い: 貸倒引当金34.24億円は受取手形及び売掛金117.00億円の29.3%に相当する。回収懸念のある債権を相応に見込んでいる状態で、資金の回収が滞れば配当原資である手元資金を削る。
  • 事業構造転換に伴う先行費用: 会社は新商品の製造に社員の教育訓練、新規機械の導入、製造ノウハウの確立に加え既存工場のリニューアルが必要と明記している。転換が売上に結びつくまでは費用が先行する。

保有状況: 筆者は本銘柄を 保有しています(株数は非開示・2026年8月時点)。


5. 筆者メモ

配当性向91%という数字だけ見れば苦しいが、手元のネットキャッシュは年間配当の10年分ある。2025年3月期の赤字の年も36円を守った実績を見て、この財務なら待てると思っている。


6. 配当の見方

6-1. 配当の中身

項目
2026年3月期実績 36円(中間18円 + 期末18円)
2027年3月期予想 36円(中間18円 + 期末18円)
増配 ±0円(2023年3月期から4期連続の据え置き)
配当性向(2027年3月期予想・表面) 91.0%(36円 ÷ 予想EPS39.55円)
DOE(本記事の試算) 2.6%(配当総額8.19億円 ÷ 自己資本318.92億円〔期首317.98億円とQ1末319.85億円の平均〕)
配当利回り 5.06%(予想DPS36円 ÷ 株価¥711・2026-08-10終値・J-Quants API)
配当方針 「中長期視点で必要な内部留保を確保しつつ、業績に応じて安定した配当を継続」。DOE・配当性向の数値目標は非公表
  • 配当予想は直近の公表値から修正なし。2025年3月期は当期純損失を計上したが、その年も36円を維持している。
  • ネットキャッシュ83.09億円は年間配当総額8.19億円の約10年分にあたる。

6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)

2022年以前の履歴を表示
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向(再計算)
2021/3期 28 131.55 21.3%
2022/3期 32 153.31 20.9%
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向(再計算)
2023/3期 36 75.12 47.9%
2024/3期 36 56.04 64.2%
2025/3期 36 △122.71 —(当期純損失のため算出不可)
2026/3期 36 62.21 57.9%
2027/3期(予想) 36 39.55 91.0%

(注)

  • データ基準: EDINET DB引用。2024年3月期の配当性向64.2%は2025年3月期決算短信の記載値と、2026年3月期の57.9%・2027年3月期予想の91.0%は2026年3月期決算短信の記載値と一致を確認済み。本表の対象期間に株式分割はない(2021年3月期から2027年3月期予想まで発行済株式総数は25,060,000株で不変)。
  • 異常値の説明: 2025年3月期はEPSがマイナスのため配当性向を算出していない。同期も36円を維持しており、利益に連動させず配当額を据え置く運用が読み取れる。
  • 配当政策の傾向: 2021年3月期28円から2023年3月期36円まで増配した後、2023年3月期以降は4期連続で36円の据え置き。利益が振れる中で配当額を動かさないため、配当性向は20%台から91%まで大きく変動している。

6-3. 配当の評価ポイント(3点)

  • 増配構造: 2023年3月期に36円へ到達して以降、4期連続で同額。増配も減配もしない運用が続いており、当期予想も36円のまま。
  • 方針シグナル: 「業績に応じて安定した配当を継続」という定性的な記載のみで、DOEや配当性向の数値目標はない。減配しないことを約束する累進配当の宣言もないため、方針の拘束力という点では弱い。
  • 耐性実績: 2025年3月期に当期純損失を計上した年も36円を維持した実績がある。直近5年に減配はなく、ネットキャッシュ83.09億円は年間配当総額の約10年分にあたる。

7. 詳細データ

7-1. 業績サマリー

指標 当Q1 前年同期 前年同期比
売上高 36.10億円 40.85億円 △11.6%
営業損益 △1.42億円 △0.03億円
経常損益 △0.24億円 0.79億円
親会社株主帰属四半期損益 △1.78億円 0.25億円
EPS(Q1) △7.82円 1.11円

セグメント別(対前年同期比・外部顧客への売上高)

区分 売上 前期比 セグメント損益
日本 20.85億円 △7.7% 2.12億円(△23.5%)
中国 15.26億円 △16.5% △3.55億円(前年同期△2.81億円)
  • 主因: 国内は建築現場における工程の遅れで売上計上時期がずれた。加えて石油由来の建築資材(接着剤、塗装材料)の不足が社会問題化し、供給は解消しつつあるものの価格は高騰したままとしている。
  • 乖離点: 中国は不動産市場の低迷が続く中、会社が事業構造転換を優先して製造・販売数量を当初から減少させる計画としており、減収は想定内という位置づけ。ただしセグメント損失は前年同期から拡大した。
  • 着地評価: 通期予想210億円に対するQ1進捗率は17.2%。会社は下期に向けた中東情勢の平準化と販売価格の改定により業績が徐々に回復する見込みとしている。

業績増減要因の「業績の質」診断

観点 評価 解釈
一過性要因 🟡 一部あり 国内の減収は建築現場の工程遅れによる売上計上時期のずれで、需要そのものの消失ではないと会社は説明している
営業外損益 🟢 プラス寄与 営業損失△1.42億円に対し経常損失は△0.24億円にとどまり、営業外で1.18億円を戻している
特別損益 🟢 なし 四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されておらず、特別損益の大きな計上もない
開示の誠実性 🟢 高 中国の減収が事業構造転換を優先した計画的なものであることを明記し、台湾・中東での具体的な案件名と規模まで開示している

業績の質: Q1の赤字は国内の期ずれと中国の転換期コストが重なったもの。会社は下期回復を見込むが、通期計画自体が減収減益であり、回復しても前期を下回る水準にとどまる

7-2. 財務・CFサマリー

指標 2026/3期末 2026/6末(Q1)
現金及び預金(億円) 116.27 106.18(△8.7%)
受取手形及び売掛金(億円) 132.40 117.00(△11.6%)
自己資本比率(%) 71.7 75.2(+3.5pt)
  • 有利子負債 23.09億円(短期借入金21.14億円 + 1年内返済予定の長期借入金1.94億円)。長期借入金は当期に完済し、社債とリース債務の掲記はない
  • ネットキャッシュ: 現金及び預金106.18億円 − 有利子負債23.09億円 = +83.09億円。時価総額178.18億円(株価¥711 × 期末発行済株式数25,060,000株・自己株式を含む)の46.6%で「プラス、30%以上」帯
  • 貸倒引当金34.24億円 — 受取手形及び売掛金117.00億円の29.3%にあたる規模を計上している
  • 純資産は+1.71億円: 会社が主な変動として挙げるのは利益剰余金の△5.87億円と為替換算調整勘定の+8.08億円で、差額は他の項目による
  • 四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない(第1四半期のため)。当第1四半期の減価償却費は2.21億円(前年同期1.86億円)

7-3. 通期業績予想(2027年3月期)

項目 予想 前期比
売上高 210.00億円 △10.5%
営業利益 14.00億円 △19.8%
経常利益 14.50億円 △28.8%
親会社株主帰属当期純利益 9.00億円 △36.4%
EPS 39.55円 △36.4%
営業利益率(通期予想) 6.67%(14.00億円 ÷ 210.00億円) △0.75pt
ROE(通期予想) 2.82%(9.00億円 ÷ 自己資本318.92億円〔期首317.98億円とQ1末319.85億円の平均〕)
  • 増減トーン: 2026年5月15日公表の予想から変更なし。売上・各段階利益とも減少する計画で、Q1の赤字を下期の回復で吸収する構成になっている。
  • 前提条件: 下期に向けて中東情勢の影響が徐々に平準化すること、原材料価格の高騰に対応した販売価格の改定が進むこと。中国は事業構造転換を優先し製造・販売数量の減少を当初から計画に織り込んでいる。
  • 施策: 費用対効果を吟味した効率的な営業活動、VA・VEによるコスト削減。中国では製品と販売チャネルを変える「第2の創業」を掲げ、台湾・中東への展開を進める。

7-4. データ出典の透明性

項目 出典 信頼度
Q1売上・営業損益・経常損益・純損益・EPS・セグメント別実績 2027年3月期 第1四半期決算短信(2026年8月10日開示) 🟢 一次情報
2027年3月期 通期業績予想・配当予想 2027年3月期 第1四半期決算短信 表紙「2027年3月期の連結業績予想」「配当の状況」 🟢 一次情報
自己資本比率75.2%・現金及び預金106.18億円・借入金・貸倒引当金・発行済株式数 2027年3月期 第1四半期決算短信「四半期連結貸借対照表」「注記事項」 🟢 一次情報
中国の事業構造転換・台湾「南港之星」979戸・華住集団との共同開発 2027年3月期 第1四半期決算短信「経営成績に関する説明」 🟢 一次情報
2024年3月期の配当36円・配当性向64.2% 2025年3月期 決算短信(2025年5月15日開示)「配当の状況」 🟢 一次情報
2026年3月期の配当性向57.9%・純資産配当率2.6% 2026年3月期 決算短信「配当の状況」 🟢 一次情報
過去年度の配当履歴・EPS推移 EDINET DB 🟢 一次情報
株価・配当利回り J-Quants API(2026-08-10 終値) 🟢 一次情報

【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。