結論: 記念配当が外れて表面105→100円、普通配当は5期連続100円。
📊 スコア: B 71点
💰 配当: 105→100円(△5円、前期の70周年記念配当5円が外れるため。普通配当ベースでは100円で±0円)
✅ 良い点: 自己資本比率86.9%、ネットキャッシュ67.42億円、有利子負債はごく小さい
⚠️ 注意点: Q1は営業△7.8%、配当性向72.3%、75周年以降の方針未開示
1. 業績ハイライト
- Q1売上: 19.66億円(△1.9%)、前年同期の+12.1%から反落。
- 営業利益: 1.65億円(△7.8%)、営業利益率8.93→8.39%(△0.54pt)。
- 経常利益: 1.95億円(+5.1%)、営業外の寄与で増益を確保。
- 四半期純利益: 1.25億円(+3.1%)、EPS 23.05円。
- 自己資本比率: 85.9→86.9%(+1.0pt)、有利子負債はリース債務のみ。
サマリー
- Q1は減収・営業減益: 売上19.66億円(△1.9%)、営業利益1.65億円(△7.8%)。会社は価格競争力のある商品の投入、展示会への出展、代理店販売の拡充に努めたとしている。前年同期が売上+12.1%・営業+68.0%と高い伸びだったことの反動も考えられるが、会社はそう説明していない。
- 経常段階では増益: 経常利益1.95億円(+5.1%)、四半期純利益1.25億円(+3.1%)。営業段階の落ち込みを営業外が埋めた形。
- 通期計画は据え置き: 2027年3月期は売上93.10億円(+6.3%)、営業11.17億円(+9.9%)、純利益7.52億円(+4.6%)で、2026年5月13日公表の予想から変更なし。Q1の営業進捗率は14.8%で下期偏重の計画。
2. 配当判断サマリー
- 表面では105→100円(△5円)だが、これは前期の70周年記念配当5円が外れるため。普通配当ベースでは100円で変わらず、2023年3月期から5期連続で同額が続く。
- 会社は「75周年までの配当について、1株100円の安定的な配当を継続」と明示している。額面の下限を数値で示している点が配当方針の評価につながっている。
- 通期予想ベースの配当性向は72.3%(普通配当100円 ÷ 予想EPS138.33円)。卸売業の中央値50%からの乖離は+22.29ptで、増配余地は限られる水準。
- ネットキャッシュ67.42億円は時価総額の43.1%にあたり、年間配当総額5.44億円の約12年分。
3. スコア内訳
配当持続性ランク: B(71/100点) ★★★★☆
| カテゴリ | 配点 | 得点 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 配当 | 50 | 32 | 性向4・DOE7・利回り7・方針6・耐性8 |
| 財務 | 25 | 23 | 自己資本10・ネットキャッシュ10・営業CF安定性3 |
| 収益 | 25 | 16 | 営業利益率12・ROE4 |
| 合計 | 100 | 71 | — |
3-1. 主な加点(高得点項目)
- 自己資本比率 10/10: 86.9%(+1.0pt)で「60%以上」帯。卸売業の業種補正を使わずに満点。
- ネットキャッシュ 10/10: +67.42億円で時価総額の43.1%、「プラス、30%以上」帯。
- 営業利益率 12/15: 通期予想12.00%(11.17億円 ÷ 93.10億円)。卸売業は5%以上で12点となる業種補正が適用される。
- 増配減配耐性 8/10: 普通配当ベースで直近5年に減配がなく、当期も100円の維持予想。連続増配はないため最上位の1段下。
- DOE 7/10: 4.21%(配当総額5.44億円 ÷ 自己資本129.06億円)でガイドの「3〜5%」帯。
- 配当利回り 7/10: 4.00%(予想DPS100円 ÷ 株価¥2,498)で「3.5〜4.5%」帯。
3-2. 主な減点(低得点項目)
- 配当性向 4/10: 72.29%(普通配当100円 ÷ 通期予想EPS138.33円)で、卸売業の中央値50%から+22.29ptで、ガイドの「+30pt帯」(乖離20pt超30pt以下)にあたる。
- ROE 4/10: 通期予想5.78%(予想純利益7.52億円 ÷ 自己資本129.99億円〔期首130.93億円とQ1末129.06億円の平均〕)で「5〜10%」帯。
3-3. スコアの動き(定点観測)
- スコア変動: 前回カルテ(2026年3月期)71点 → 今回71点(±0点)。ランクもBのまま変わらない。
- 変動の内訳: 10項目すべてが前回と同じ配点。通期カルテから四半期カルテへ移って採点根拠が実績から当期通期予想へ切り替わったが、いずれの指標も同じ帯に収まった。配当性向は前回が表面105円ベースの79.4%、今回は普通配当100円ベースの72.3%で、どちらも卸売業の中央値50%からの乖離が20pt超30pt以下の同じ帯に入る。
- 満点項目は維持: 「75周年まで1株100円の安定配当」という額面下限のコミット、普通配当ベースで5期連続100円、自己資本比率86.9%とネットキャッシュの厚み。前回から動いていない。
- 現在の位置づけ: 71点はB帯(70〜84)の下限に近い。財務23/25はほぼ満点で、押し下げているのは配当性向72.3%とROE5.78%という収益側の指標。利益が伸びれば両方が同時に改善する構造にある。
※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。
4. 事業の強み・構造リスク
4-1. ✅ 事業の強み
- 代理店を介した販路の広がり: 会社は自社の営業活動に加え、代理店販売の拡充を継続的な施策として挙げている。販売の入口を自社網だけに置かない形は、特定地域や特定顧客の需要変動が売上全体に及ぶ度合いを薄め、配当原資の振れを抑える方向に働く。
4-2. ⚠️ 構造リスク
- 単体決算で事業の分散がない: 当社は非連結決算で、清掃・洗浄機器の販売という単一の事業に依存している。子会社を通じた事業の分散がなく、主力商材の需要が鈍れば利益と配当原資に直接効く。
保有状況: 筆者は本銘柄を 保有しています(株数は非開示・2026年8月時点)。
5. 筆者メモ
時価総額の4割超が現金と有価証券で、年間配当の12年分ある。地味な商社だが、この手元資金がある限り配当が先に削られることはないだろうと思って持っている。
6. 配当の見方
6-1. 配当の中身
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 2026年3月期実績 | 105円(中間50円 + 期末55円)。うち70周年記念配当5円、普通配当ベース100円 |
| 2027年3月期予想 | 100円(中間50円 + 期末50円)。記念配当なしの普通配当のみ |
| 増配 | 表面 △5円、普通配当ベースでは±0円(2023年3月期から5期連続100円) |
| 配当性向(2027年3月期予想・普通配当ベース) | 72.3%(100円 ÷ 予想EPS138.33円) |
| DOE(本記事の試算) | 4.21%(配当総額5.44億円 ÷ 自己資本129.06億円・Q1末ベース) |
| 配当利回り | 4.00%(予想DPS100円 ÷ 株価¥2,498・2026-08-10終値・J-Quants API) |
| 配当方針 | 「75周年までの配当について、1株100円の安定的な配当を継続」と明示(額面の下限を数値でコミット)。累進配当の宣言やDOE目標はない |
- 配当予想は直近の公表値から修正なし。表面の△5円は前期限りの記念配当が外れることによるもので、普通配当の水準は変わらない。
- ネットキャッシュ67.42億円は年間配当総額5.44億円の約12年分にあたる。
6-2. 過去年度 DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)
2022年以前の履歴を表示
| 年度 | DPS(円) | 実質普通DPS(円) | EPS(円) | 配当性向(再計算) |
|---|---|---|---|---|
| 2020/3期 | 61 | 61 | 111.89 | 54.5% |
| 2021/3期 | 53 | 53 | 133.38 | 39.7% |
| 2022/3期 | 78 | 78 | 204.46 | 38.1% |
| 年度 | DPS(円) | 実質普通DPS(円) | EPS(円) | 配当性向(再計算) |
|---|---|---|---|---|
| 2023/3期 | 109(特別9含む) | 100 | 184.00 | 54.3% |
| 2024/3期 | 100 | 100 | 185.73 | 53.8% |
| 2025/3期 | 100 | 100 | 113.52 | 88.1% |
| 2026/3期 | 105(記念5含む) | 100 | 132.24 | 75.6% |
| 2027/3期(予想) | 100 | 100 | 138.33 | 72.3% |
(注)
- データ基準: EDINET DB引用、直近期は決算短信記載と一致確認済。本表の対象期間に株式分割はない(発行済株式総数6,266,000株)。
- 特別配当・記念配当の扱い: 2023年3月期の109円は特別配当9円を含み普通配当ベースは100円(2026年3月期 決算短信の注記「2023年3月期配当金の内訳:普通配当100円・特別配当9円」で確認)。2026年3月期の105円は70周年記念配当5円を含み普通配当ベースは100円。本ブログは記念配当・単発の特別配当を除いた実質普通DPS列を採点に用いるため、両年度の配当性向も実質100円ベースで記載している(表面ベースなら2023年3月期59.2%・2026年3月期79.4%)。
- 減配履歴: 2021年3月期に61→53円の△8円減配がある。採点で見る直近5年(2023年3月期〜2027年3月期予想)の範囲外。
- 配当政策の傾向: 2023年3月期に普通配当100円へ到達して以降、5期連続で同額。配当性向はEPSの振れに応じて53.8%〜88.1%まで動いており、配当額を利益に連動させない運用が読み取れる。
6-3. 配当の評価ポイント(3点)
- 増配構造: 普通配当100円が5期連続で続いている。表面では2023年3月期109円・2026年3月期105円と上下しているが、いずれも特別配当・記念配当の有無によるもので、普通配当は動いていない。
- 方針シグナル: 「75周年まで1株100円の安定配当を継続」と額面の下限を数値でコミットしている点は、定性的な安定配当表明より一段強い。一方で累進配当の宣言はなく、75周年以降の方針も未開示。
- 耐性実績: 普通配当ベースで直近5年に減配はない。2021年3月期には61→53円の減配履歴があるが、採点で見る5年の範囲外。ネットキャッシュ67.42億円が年間配当総額の約12年分にあたる点も原資の裏付けになる。
7. 詳細データ
7-1. 業績サマリー
| 指標 | 当Q1 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 19.66億円 | 20.05億円 | △1.9% |
| 営業利益 | 1.65億円 | 1.79億円 | △7.8% |
| 経常利益 | 1.95億円 | 1.86億円 | +5.1% |
| 四半期純利益 | 1.25億円 | 1.21億円 | +3.1% |
| EPS(Q1) | 23.05円 | 22.37円 | +3.0% |
| 営業利益率(Q1単独) | 8.39% | 8.93% | △0.54pt |
- 主因: 会社は価格競争力のある商品の積極的な投入、各種展示会への出展、代理店販売の拡充に努めたとしている。前年同期が売上+12.1%・営業+68.0%と高い伸びだったことの反動も考えられる。
- 乖離点: 営業利益が△7.8%である一方、経常利益は+5.1%と増益。営業外の寄与が営業段階の落ち込みを埋めている。
- 着地評価: 通期予想に対するQ1進捗率は売上21.1%、営業利益14.8%、純利益16.6%。通期は営業+9.9%の増益計画で、下期偏重の構成になっている。
業績増減要因の「業績の質」診断
| 観点 | 評価 | 解釈 |
|---|---|---|
| 一過性要因 | 🟢 限定的 | 特別損益の大きな計上はない。前年同期の高い伸びの反動も考えられるが、会社は要因として挙げていない |
| 営業外損益 | 🟡 影響あり | 経常1.95億円と営業1.65億円の差0.30億円。営業△7.8%に対し経常+5.1%と方向が逆転している |
| 特別損益 | 🟢 なし | 四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されておらず、特別損益の大きな計上もない |
| 開示の誠実性 | 🟢 高 | 特別配当・記念配当の内訳を通期短信の注記で明示しており、普通配当ベースの水準を読者が追える |
→ 業績の質: 特別損益による嵩上げはない。ただし通期は増収増益計画で、営業利益の進捗率14.8%は下期の回復を前提とする
7-2. 財務・CFサマリー
| 指標 | 2026/3期末 | 2026/6末(Q1) |
|---|---|---|
| 現金及び預金(億円) | 21.90 | 20.92(△4.5%) |
| 有価証券(流動・億円) | 46.95 | 46.94(△0.0%) |
| 自己資本比率(%) | 85.9 | 86.9(+1.0pt) |
- 有利子負債 はリース債務0.44億円のみ(2026年3月期末時点で短期13百万円+長期30百万円)。借入金と社債の計上はない。第1四半期の貸借対照表は負債を「その他」に集約しているため当期末残高は開示されておらず、直近で確認できる0.44億円を用いた
- ネットキャッシュ: 現金及び預金20.92億円 + 流動資産の有価証券46.94億円 − 有利子負債0.44億円 = +67.42億円。時価総額156.52億円(株価¥2,498 × 期末発行済株式数6,266,000株・自己株式を含む)の43.1%で「プラス、30%以上」帯
- 総資産の減少: 前事業年度末比△3.76億円の148.57億円。電子記録債権+1.09億円・商品+1.00億円の増加に対し、売掛金△3.23億円・現金及び預金△0.97億円・受取手形△0.60億円・繰延税金資産△0.60億円の減少が上回った
- 負債の減少: 前事業年度末比△1.89億円の19.51億円。買掛金+1.69億円の増加に対し、未払法人税等△2.18億円・賞与引当金△1.13億円の減少が上回った
- 四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていない(第1四半期のため)
7-3. 通期業績予想(2027年3月期)
| 項目 | 予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 93.10億円 | +6.3% |
| 営業利益 | 11.17億円 | +9.9% |
| 経常利益 | 11.50億円 | +10.3% |
| 当期純利益 | 7.52億円 | +4.6% |
| EPS | 138.33円 | +4.6% |
| 営業利益率(通期予想) | 12.00%(11.17億円 ÷ 93.10億円) | +0.40pt |
| ROE(通期予想) | 5.78%(7.52億円 ÷ 自己資本129.99億円〔期首130.93億円とQ1末129.06億円の平均〕) | — |
- 増減トーン: 2026年5月13日公表の予想から変更なし。売上+6.3%・営業+9.9%と増収増益の計画で、Q1の減収減益を下期で取り戻す構成。
- 前提条件: 中東地域の情勢不安、ウクライナ情勢の長期化、円安基調に伴う原材料・エネルギーコストの高騰、国内の物価高と金利動向を先行き不透明な要因として挙げている。
- 中間期予想: 売上44.44億円(+11.1%)、営業4.53億円(+15.6%)、経常4.71億円(+15.9%)、中間純利益2.98億円(+12.2%)。Q1が減収減益であるため、第2四半期単独での挽回を見込む計画になっている。
7-4. データ出典の透明性
| 項目 | 出典 | 信頼度 |
|---|---|---|
| Q1売上・営業利益・経常利益・四半期純利益・EPS | 2027年3月期 第1四半期決算短信〔非連結〕(2026年8月10日開示) | 🟢 一次情報 |
| 2027年3月期 通期・中間期業績予想・配当予想 | 2027年3月期 第1四半期決算短信 表紙「2027年3月期の業績予想」「配当の状況」 | 🟢 一次情報 |
| 自己資本比率86.9%・現金及び預金20.92億円・有価証券46.94億円・発行済株式数 | 2027年3月期 第1四半期決算短信「四半期貸借対照表」「注記事項」 | 🟢 一次情報 |
| 配当方針(75周年まで1株100円の安定配当)・特別配当9円/記念配当5円の内訳 | 2026年3月期 決算短信 | 🟢 一次情報 |
| 過去年度の配当履歴・EPS推移 | EDINET DB | 🟢 一次情報 |
| 株価・配当利回り | J-Quants API(2026-08-10 終値) | 🟢 一次情報 |
【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。