【ニチリン(5184)】配当B(82点)・DOE2.5%下限配当 — 2026年12月期 中間期

観察中(筆者は当該銘柄を未保有)📁 ゴム製品

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結論: 増収・経常増益も最終減益、190円増配予想は維持

📊 スコア: B 82点
💰 配当: 176→190円(+14円)、中間95円は実施済み
良い点: 利回り4.57%、自己資本69%、ネットキャッシュ厚、DOE下限方針
⚠️ 注意点: 北米が営業赤字ROE9%台非支配株主持分の重さ


1. 業績ハイライト

  • 中間売上 42,261百万円(+18.3%)・全5地域で増収
  • 中間営業益 5,205百万円(+5.9%)・経常益は+27.4%
  • 中間純利益 2,894百万円(△4.1%)・EPS 219.45円
  • 北米は営業損失△256百万円へ転落(前年同期+547百万円)
  • 通期予想は据え置き・営業利益の中間進捗率は56.0%

サマリー

  • 増収の中身: 売上+18.3%の押し上げは、前年6月末に連結子会社化した北米NAT社の通期寄与が大きい。日本+10.1%・アジア+18.1%と既存地域も伸びており、買収と本業の両輪
  • 営業と経常で見え方が違う: 営業利益+5.9%に対し経常利益は+27.4%。差は前年同期の為替差損755百万円が当中間は差益78百万円へ振れた反動で、本業の実勢は+5.9%
  • 通期予想は据え置き: 営業利益の中間進捗は56.0%と標準ペース50%を上回るが、想定為替を1ドル150円から160円へ見直しつつ、米追加関税や熊本地震の不確実性を理由に据え置いた

2. 配当判断サマリー

  • 年間190円(中間95円実施済み+期末95円予想)で、前期176円から+14円(+8.0%)の増配予想。中間配当は82円→95円へ引き上げ済みで、期初予想からの修正もない
  • 2026年2月13日に株主還元方針を変更し、DOE2.5%を下限としたうえで連結配当性向の目標を40%から45%へ引き上げた。予想性向44.8%は新目標の内側に収まる
  • 予想利回りは4.57%(株価¥4,160)。同じゴム製品で累進配当方針を掲げるTOYO TIRE(5105)や、配当性向50%目安のブリヂストン(5108)と比べても高い水準にある
  • 自己資本比率69.1%・ネットキャッシュ21,464百万円(時価総額比35.9%)で、配当原資の余力は厚い

3. スコア内訳

配当持続性ランク: B(82/100点) ★★★★☆

カテゴリ 配点 得点 主な内容
配当 50 42 性向9・DOE7・利回り10・方針8・耐性8
財務 25 24 自己資本10・ネットキャッシュ10・営業CF安定性4
収益 25 16 営業利益率12・ROE4
合計 100 82

3-1. 主な加点(高得点項目)

  • 配当利回り 10/10: 4.57%(通期予想DPS190円 ÷ 株価¥4,160)・4.5%以上で満点
  • 自己資本比率 10/10: 中間期末69.1%(60%以上で満点)・前期末68.5%から+0.6pt改善
  • ネットキャッシュ 10/10: 現金及び預金23,655百万円 − 有利子負債2,191百万円で+21,464百万円・時価総額比35.9%は「プラス、かつ時価総額の30%以上」帯
  • 配当性向 9/10: 通期予想44.8%(190円 ÷ 予想EPS424.43円)。ゴム製品はメーカー標準の中央値35%で乖離+9.8pt、「中央値〜+10pt」帯の9点
  • 営業利益率 12/15: 通期予想11.9%(営業利益9,300百万円 ÷ 売上高78,000百万円)を採点根拠とし、10〜15%帯で12点。中間期カルテのため四半期累計ではなく通期の会社予想で採点している
  • 配当方針 8/10: DOE2.5%を下限とし、連結配当性向を2026年以降は目標45%に設定と明示。DOE目標の明示があるため8点(累進配当の明示はない)
  • 増配減配耐性 8/10: 直近5年(2021〜2025年12月期)に減配なし、当期も190円の増配予想で「5年減配なし+来期維持以上」帯の8点
  • 営業CF安定性 4/5: 直近5期はいずれも営業CFが黒字。突出した1期を除けば残り4期は平均比±20%以内に収まるため、「単発外れ値1件を除外」帯の4点
  • DOE 7/10: 2025年12月期実績4.0%(通期決算短信「配当の状況」純資産配当率(連結))で3〜5%帯。中間期短信には当該欄がないため前期実績値を採用

3-2. 主な減点(低得点項目)

  • ROE 4/10: 通期予想9.1%(予想純利益5,600百万円 ÷ 平均自己資本61,594百万円)で5〜10%帯。資本を厚く積む財務方針の裏返しで、資本効率は中位にとどまる

3-3. スコアの動き(定点観測)

  • スコア変動: 前期82点 → 今期82点(±0点)
  • 変動の内訳: 10項目すべて前回カルテと同じ点数。配当利回りは株価¥4,225→¥4,160で4.50%→4.57%へ上がったが同じ満点帯に収まり、DOEは前回カルテの再計算値4.1%から通期決算短信記載の実績値4.0%へ置き換えたが同じ3〜5%帯にとどまった。自己資本比率は70.0%→69.1%と下がったが60%以上で満点は変わらない
  • 配当本体は満点維持: 配当利回り10/10・自己資本比率10/10・ネットキャッシュ10/10の3項目が満点で据え置き。年間190円の予想も期初から変わっていない
  • 現在の位置づけ: B(70〜84点)の上位。配当50点中42点・財務25点中24点と土台が厚い一方、ROE9%台と営業利益率11.9%で収益カテゴリが25点中16点にとどまり、A(85点以上)との差はここに集約されている

※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。


4. 事業の強み・構造リスク

4-1. ✅ 事業の強み

  • 1極の不振を他極が吸収する地域構成: セグメント売上は日本18,860・アジア14,335・北米9,918・中国5,670・欧州4,969百万円と5極に分かれる。北米が営業損失に沈んだ当中間も日本+74.1%・アジア+43.0%の利益増が全体を押し上げ、配当原資の振れを抑えた
  • コスト上昇を価格へ乗せられる国内事業: 日本セグメントは材料市況の変動や賃上げに伴うコスト上昇分を販売価格へ反映したと会社が説明しており、売上+10.1%に対し営業利益は+74.1%。転嫁が通る取引関係は原材料高の局面でも原資を守る

4-2. ⚠️ 構造リスク

  • 買収した北米事業の赤字とのれん残高: NAT社連結化で北米売上は+42.9%だが、のれん償却76百万円と米追加関税のコスト増が重なり営業損失△256百万円。のれん残高1,409百万円の回収は北米の黒字化次第で、遅れれば減損として原資を削る
  • 非支配株主へ流れる利益の大きさ: 中間純利益3,723百万円のうち829百万円が非支配株主に帰属し、親会社株主帰属は2,894百万円。海外子会社の持分構造上、連結利益の伸びが親会社の配当原資の増加に直結しにくい

保有状況: 筆者は本銘柄を 保有していません(観察対象として継続フォロー予定)


5. 筆者メモ

株主還元方針は今期から配当性向の目標が40%から45%へ上がった。予想性向44.8%はほぼ目標どおりで、増配の幅は利益の伸びと同じところまで、という設計に見える。

次回(2026年12月期 第3四半期)見るポイント:

  • 北米セグメントの損益が黒字方向へ戻るか(のれん償却と関税コストの吸収度合い)
  • 通期予想(営業利益9,300百万円)を据え置くか、上方へ置き直すか
  • 期末配当95円が予想どおり実施され、年間190円が確定するか

6. 配当の見方

6-1. 配当の中身

項目
2025年12月期実績 176円(中間82+期末94・普通配当のみ)
2026年12月期予想 190円(中間95実施済み+期末95予想・+14円)
配当性向(連結・表面) 44.8%(190円 ÷ 予想EPS424.43円・決算短信記載値)
DOE(連結・純資産配当率) 4.0%(2025年12月期実績・通期決算短信「配当の状況」純資産配当率(連結)。中間期短信には当該欄なし)
配当利回り 4.57%(予想DPS190円 ÷ 株価¥4,160・2026-08-14終値・J-Quants API)
配当方針 DOE2.5%を下限とし、連結配当性向を2026年以降は目標45%に設定(会社IR「株主還元方針の変更に関するお知らせ」2026年2月13日)。あわせて2026年〜2028年の3年間で総額40億円程度の自己株式取得枠を設定。累進配当の明示はない
連続増配年数 連続増配は途切れている(2024→2025年12月期は176円で据え置き)・2026年12月期予想190円で 増配へ復帰する見込み

6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)

2022年以前の履歴を表示
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2016/12期 34 330.10 10.3%
2017/12期 48 340.28 14.1%
2018/12期 50 323.72 15.4%
2019/12期 60 191.73 31.3%
2020/12期 45 167.23 26.9%
2021/12期 83 336.04 24.7%
2022/12期 90 324.48 27.7%
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2023/12期 150 433.84 34.6%
2024/12期 176 461.82 38.1%
2025/12期 176 418.27 42.1%
2026/12期(予想) 190 424.43 44.8%

(注)

  • データ基準: 2016〜2025年12月期はEDINET DB引用。2024・2025年12月期の配当性向は2025年12月期決算短信「配当の状況」記載値(38.1%・42.1%)と一致し、2026年12月期は同短信の会社予想
  • 株式分割: 対象期間に株式分割・株式併合はなく、DPS・EPSはいずれも実額表示
  • 異常値の説明: 2020年12月期は60円→45円へ減配した(EPS 191.73円→167.23円)。新型コロナ影響下の期にあたり、翌2021年12月期には83円へ回復している
  • 配当政策の傾向: 2021年12月期以降は減配がない。2021年83円から2024年176円まで毎期増配したのち2025年12月期は176円で据え置き、2026年12月期予想の190円で増配へ復帰する計画

6-3. 配当の評価ポイント(3点)

  • 増配構造: 2021年83円→2025年176円と4期で約2.1倍。2026年12月期は190円(+14円・+8.0%)予想で、中間配当も82円→95円へ引き上げ済み
  • 方針シグナル: 2026年2月13日に株主還元方針を変更し、DOE2.5%下限は維持したまま連結配当性向の目標を40%から45%へ引き上げ、自己株式取得枠も2年10億円から3年40億円へ拡大した。2026年12月期からの適用となる
  • 耐性実績: 直近5年(2021〜2025年12月期)に減配はない。ただし2025年12月期は176円で据え置きとなり、その前の2020年12月期には60円→45円の減配実績がある。利益の落ち込み局面では配当も動く前例がある点は押さえておきたい

7. 詳細データ

7-1. 業績サマリー

指標 当中間期 前年同中間期 前期比
売上高 42,261百万円 35,732百万円 +18.3%
営業利益 5,205百万円 4,917百万円 +5.9%
経常利益 5,512百万円 4,327百万円 +27.4%
親会社株主帰属中間純利益 2,894百万円 3,017百万円 △4.1%
EPS 219.45円 229.02円 △4.2%

セグメント別(対前年同期比)

区分 売上 前期比 セグメント利益 前期比
日本 18,860百万円 +10.1% 2,394百万円 +74.1%
アジア 14,335百万円 +18.1% 2,353百万円 +43.0%
北米 9,918百万円 +42.9% △256百万円 赤字転落
中国 5,670百万円 +14.6% 867百万円 +29.6%
欧州 4,969百万円 +20.4% 150百万円 +51.5%

※売上はセグメント間の内部売上高を含む「計」ベース(外部顧客への売上高の合計は42,261百万円)。

業績増減要因の「業績の質」診断

観点 評価 解釈
一過性要因 🟡 増収+18.3%には前年6月末に連結子会社化した北米NAT社の通期寄与が含まれる。既存地域も日本+10.1%・アジア+18.1%と伸びているが、買収分と有機成長を分けて読む必要がある
営業外損益 🟡 経常利益+27.4%と営業利益+5.9%の乖離は、前年同期の為替差損755百万円が当中間は為替差益78百万円へ振れた反動が主因
純利益押し下げ要因 🟡 中間純利益△4.1%は、法人税等1,608百万円(前年同期1,122百万円)・非支配株主帰属829百万円(同630百万円)・特別損失の受注生産中止に伴う損失156百万円が重なったため
開示の誠実性 🟢 セグメント別に北米ののれん償却・米追加関税の影響を明示し、想定為替レートを1ドル150円から160円へ見直したうえで通期予想を据え置いた理由も本文で説明している

業績の質: 中位(増収は買収寄与を含み、経常の伸びは為替の反動が主因)

7-2. 財務・CFサマリー

指標 2025年12月期(通期・前期末) 2026年12月期 中間期(6月末)
営業CF(百万円) 8,417 N/A(CF未作成)
投資CF(百万円) △3,745 N/A(CF未作成)
財務CF(百万円) △3,815 N/A(CF未作成)
現金及び預金(BS・百万円) 23,619 23,655
短期有価証券(BS流動・百万円) 0 0
現金及び現金同等物 期末残高(CF・百万円) 18,858 N/A(CF未作成)
自己資本比率(%) 68.5 69.1

※中間期の決算短信にはキャッシュ・フロー計算書が作成されていないため、CF3本と現金及び現金同等物 期末残高は2025年12月期通期の実績を掲載し、当中間期は `N/A(CF未作成)` としている。現金及び預金と短期有価証券は中間連結貸借対照表の実額。

  • 有利子負債: 短期借入金81百万円 + 1年内返済予定のリース債務293百万円 + リース債務(固定)1,817百万円 = 2,191百万円。1年内返済予定の長期借入金は前期末60百万円から当中間期末は残高なしとなり、有利子負債は総資産90,973百万円の2.4%にとどまる
  • ネットキャッシュ: 現金及び預金23,655百万円 + 短期有価証券0百万円 − 有利子負債2,191百万円 = +21,464百万円。時価総額59,785百万円(株価¥4,160×期末発行済株式総数14,371,500株・自己株式を含む)の35.9%にあたり、「プラス、かつ時価総額の30%以上」帯の10/10点。前期末の+21,488百万円(23,619 − 2,131)からほぼ横ばい。中間連結貸借対照表の流動資産に有価証券の計上はないため短期有価証券は0

7-3. 通期業績予想(2026年12月期・期初予想据え置き)

項目 予想 前期比
売上高 78,000百万円 +5.9%
営業利益 9,300百万円 +2.6%
経常利益 9,500百万円 +2.9%
親会社株主帰属当期純利益 5,600百万円 +1.6%
EPS 424.43円 +1.5%
営業利益率(通期予想) 11.9%(9,300百万円÷78,000百万円・本ブログ算出) △0.4pt
ROE(通期予想) 9.1%(5,600百万円÷平均自己資本61,594百万円〔前期末60,358百万円と当中間期末62,830百万円の平均〕・本ブログ算出) △0.3pt

通期予想は2026年2月13日公表の期初計画から変更がない。中間の進捗率は売上高54.2%・営業利益56.0%と標準ペース50%を上回るが、会社は2026年7月以降の想定為替レートを1ドル150円から160円へ見直したうえで、原材料価格・北米市場の需要動向・米追加関税・熊本地震の影響を不確実性として挙げ、通期予想を据え置いている。

7-4. データ出典の透明性

項目 出典 信頼度
中間売上・営業利益・経常利益・中間純利益・EPS 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信(2026-08-07開示) 🟢 一次情報
通期業績予想・想定為替レート・据え置きの理由 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信「3.2026年12月期の連結業績予想」「1.(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」 🟢 一次情報
営業利益率(通期予想)・ROE(通期予想) 本ブログ算出(会社予想値より計算・ROE分母は期首自己資本(前期末)と当中間期末自己資本の平均) 🟡 補助データ
配当実績・当期配当予想・配当性向 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信「2.配当の状況」 🟢 一次情報
DOE(純資産配当率)・営業CF・投資CF・財務CF・現金及び現金同等物 期末残高 2025年12月期 決算短信(2026-02-13開示)「2.配当の状況」「連結キャッシュ・フロー計算書」 🟢 一次情報
配当方針・自己株式取得枠 会社IR「株主還元方針の変更に関するお知らせ」(2026-02-13開示) 🟢 一次情報
自己資本比率・現金及び預金・短期有価証券・有利子負債・発行済株式数 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信「中間連結貸借対照表」「発行済株式数」 🟢 一次情報
セグメント別 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信「セグメント情報等の注記」「1.(1)当中間期の経営成績の概況」 🟢 一次情報
過去配当履歴・EPS推移 EDINET DB 🟢 一次情報
株価¥4,160(2026-08-14終値) J-Quants API(JPX 公式) 🟢 一次情報

【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。