結論: Q1は増益だが通期は減益計画、配当性向が跳ねる。
📊 スコア: C 64点
💰 配当: 87→93円(+6円、うち創業100周年記念配当5円、実質普通配当ベース88円で+1円)
✅ 良い点: 87円下限の累進配当、DOE7.27%、自己資本比率66.6%
⚠️ 注意点: 通期予想の配当性向87.6%、通期は減益計画、記念配当5円の剥落
1. 業績ハイライト
- Q1売上: 137.00億円(+13.3%)、圧縮機と塗装機器がともに二桁増。
- 営業利益: 12.34億円(+32.8%)、前年同期の減益から反転。
- 四半期純利益: 11.37億円(+27.0%)、EPS 28.92円。
- 通期予想を上方修正: 売上607.00億円、営業54.00億円へ引き上げ(経常以下は据え置き)。
- ただし通期は減益計画: 営業△2.9%、経常△16.3%、純利益△26.3%。
サマリー
- Q1は本業が回復: エアエナジー事業80.17億円(+11.1%)、コーティング事業55.23億円(+17.0%)がともに伸び、営業利益は+32.8%。前年同期が△8.7%の減益だった反動も含む。
- 通期は保守的な計画: 通期予想は営業△2.9%、純利益△26.3%の減益。Q1の進捗率は売上22.6%、営業利益22.9%で、計画に対しては標準的なペース。
- 配当は93円だが5円は記念配当: 2027年3月期の年間配当93円には創業100周年記念配当5円(中間2円、期末3円)が含まれ、実質普通配当ベースでは88円。前期87円からの増配幅は+1円にとどまる。
2. 配当判断サマリー
- 年間配当93円(中間43円 + 期末50円)のうち5円は創業100周年記念配当。本ブログは記念配当を除いた実質普通配当88円を採点の分子に用いる。
- 中期経営計画で「DOE7.0〜7.5%目安 + 2026年3月期の年間配当87円を下限とする累進配当」を掲げており、配当方針は最上位の配点。
- 実質普通配当88円に対する通期予想の配当性向は87.6%。前期実績の64.0%から大きく上がり、採点上は最も低い帯に落ちた。
- 同じ機械業種のアイチコーポレーション(6345)は配当性向60%以上を基準とする方針で実績59.6%。配当の原資に対する余力という点で差がある。
3. スコア内訳
配当持続性ランク: C(64/100点) ★★★☆☆
| カテゴリ | 配点 | 得点 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 配当 | 50 | 32 | 性向0・DOE10・利回り10・方針10・耐性2 |
| 財務 | 25 | 20 | 自己資本10・ネットキャッシュ7・営業CF安定性3 |
| 収益 | 25 | 12 | 営業利益率8・ROE4 |
| 合計 | 100 | 64 | — |
3-1. 主な加点(高得点項目)
- DOE 10/10: 7.27%(配当総額36.45億円 ÷ 自己資本501.03億円・Q1末ベースの試算)でガイドの「5%以上」帯。記念配当5円を除くと6.88%で、いずれも同じ帯。
- 配当利回り 10/10: 4.65%(実質普通配当88円 ÷ 株価¥1,891)でガイドの「4.5%以上」帯。
- 配当方針 10/10: 中期経営計画で「DOE7.0〜7.5%目安 + 2026年3月期の年間配当87円を下限とする累進配当」を明示。ガイドの最上位帯。
- 自己資本比率 10/10: 66.6%(△1.4pt)で「60%以上」帯。機械業種として高水準。
- ネットキャッシュ 7/10: +176.94億円で時価総額の22.4%、「プラス、10〜30%」帯。
3-2. 主な減点(低得点項目)
- 配当性向 0/10: 87.61%(実質普通配当88円 ÷ 通期予想EPS100.45円)で、機械業種の中央値35%から+52.61pt。乖離30pt超で配点なし。
- 増配減配耐性 2/10: 2025年3月期に49→45円の△4円減配があり、直近5年内の単年減配に該当する。
- ROE 4/10: 通期予想7.83%(予想純利益39.50億円 ÷ 自己資本504.24億円〔期首507.45億円とQ1末501.03億円の平均〕)で「5〜10%」帯。
3-3. スコアの動き(定点観測)
- スコア変動: 前回カルテ(2026年3月期)75点 → 今回64点(△11点)。ランクは B → C へ変わった。
- 変動の内訳: 配当36→32(配当性向4→0)、収益19→12(営業利益率12→8・ROE7→4)。財務20は不変。本ブログは通期カルテでは確定した実績を、四半期カルテでは当期の通期予想を採点根拠に使うため、前回の実績値(配当性向64.0%・営業利益率10.0%・ROE11.0%)から、今回は通期予想値(87.6%・8.90%・7.83%)へ物差しが切り替わった。通期が減益計画であることが、そのまま3項目の低下として表れている。
- 配当本体は満点維持: DOE10、配当利回り10、配当方針10は前回から不変で、87円を下限とする累進配当の枠組みは動いていない。
- 現在の位置づけ: 64点はC帯(55〜69)の中位。配当の枠組みが最上位帯を維持する一方、その原資である利益の予想が減益で、配当性向が採点上の下限帯に落ちている状態。通期実績が予想を上回れば配当性向と収益2項目は戻る余地がある。
※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。
4. 事業の強み・構造リスク
4-1. ✅ 事業の強み
- 塗装設備の受注残が積み上がる構造: 塗装設備製品の受注残高は28.82億円(前年同期26.56億円)へ増加した。日本で自動車部品の製造に関連した設備案件を獲得しており、納入時期に応じて売上へ転じる分が下期以降の配当原資を下支えする。
- 圧縮機メーカーの子会社化: 当第1四半期より圧縮機の製造・販売会社である株式会社SANWAを子会社化し連結範囲に含めた。売上の約6割(58.5%)を占めるエアエナジー事業に製造機能が加わる形で、取り込んだ能力が利益に寄与するかは次の四半期以降の確認点になる。
4-2. ⚠️ 構造リスク
- インドの大型案件の反動: 米州・インドの受注は1.14億円(前年同期4.08億円)へ減少した。前期に獲得した大型の自動車製造関連案件と同規模の案件を獲得できず納入も完了したためで、大口案件の有無が地域別の売上と利益を振れやすくする。
- その他事業が営業赤字: コンシューマー向け製品とモビリティアフターサービスを含む「その他」は、売上1.59億円に対し営業損失0.51億円。規模は小さいが前年同期に続く赤字で、連結の営業利益をわずかに削り続けている。
保有状況: 筆者は本銘柄を 保有しています(株数は非開示・2026年8月時点)。
5. 筆者メモ
機械セクターの分散枠として持っているので、Q1で圧縮機も塗装機器も二桁伸びたのは素直に良かった。ただ会社の通期計画は減益のままで、上方修正も売上と営業利益だけ。慎重さの理由を次で確かめたい。
6. 配当の見方
6-1. 配当の中身
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 2026年3月期実績 | 87円(中間41円 + 期末46円) |
| 2027年3月期予想 | 93円(中間43円 + 期末50円)。うち創業100周年記念配当5円(中間2円、期末3円) |
| 実質普通配当ベース | 88円(前期87円から +1円) |
| 配当性向(2027年3月期予想・実質普通配当ベース) | 87.6%(88円 ÷ 通期予想EPS100.45円) |
| DOE(本記事の試算) | 7.27%(配当総額36.45億円 ÷ 自己資本501.03億円・Q1末ベース)。記念配当5円を除くと6.88% |
| 配当利回り | 4.65%(予想DPS88円〔実質普通配当ベース〕 ÷ 株価¥1,891・2026-08-10終値・J-Quants API) |
| 配当方針 | 中期経営計画で「DOE7.0〜7.5%目安 + 2026年3月期の年間配当87円を下限とする累進配当」を明示(2026年3月期から適用) |
| 増配の履歴 | 2024年3月期49円 → 2025年3月期45円で減配、2026年3月期に87円へ大幅増配。2027年3月期は実質普通配当ベースで +1円 |
- 配当予想は2026年5月12日公表分から変更なし。今回修正されたのは業績予想のみ。
- 記念配当5円は2027年3月期限りの上乗せ。翌期に年間93円を維持するには、実質普通配当を5円増やす必要がある。
6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)
2022年以前の履歴を表示
| 年度 | DPS(円) | 実質普通DPS(円) | EPS(円) | 配当性向(再計算) |
|---|---|---|---|---|
| 2020/3期 | 24 | 24 | 65.14 | 36.8% |
| 2021/3期 | 24 | 24 | 63.34 | 37.9% |
| 2022/3期 | 30 | 30 | 86.32 | 34.8% |
| 年度 | DPS(円) | 実質普通DPS(円) | EPS(円) | 配当性向(再計算) |
|---|---|---|---|---|
| 2023/3期 | 38 | 38 | 108.25 | 35.1% |
| 2024/3期 | 49 | 49 | 122.13 | 40.1% |
| 2025/3期 | 45 | 45 | 108.21 | 41.6% |
| 2026/3期 | 87 | 87 | 136.04 | 64.0% |
| 2027/3期(予想) | 93(記念5含む) | 88 | 100.45 | 87.6% |
(注)
- データ基準: EDINET DB引用、直近期は短信記載と一致確認済。2027年3月期のEPSは2026年8月10日の修正後予想値。
- 記念配当の扱い: 2027年3月期の93円には創業100周年記念配当5円(中間2円、期末3円)が含まれる。本ブログは記念配当を除いた実質普通DPS列を採点に用いるため、同期の配当性向も実質88円ベースで記載している(表面93円ベースなら92.6%)。
- 減配履歴: 2024年3月期49円 → 2025年3月期45円で△4円の減配。連結配当性向40%目安だった旧方針下の調整で、2026年3月期からDOE基準と87円下限の累進配当へ変更されている。
- 配当政策の傾向: 2026年3月期に87円へ大幅増配して配当性向が64.0%へ上昇。2027年3月期は減益計画のため、実質普通配当ベースでも配当性向が87.6%まで上がる見込み。
6-3. 配当の評価ポイント(3点)
- 増配構造: 表面では87→93円(+6円)だが、記念配当5円を除いた実質普通配当ベースでは88円で+1円。増配の大部分は一時的な上乗せによる。
- 方針シグナル: 中期経営計画で「DOE7.0〜7.5%目安 + 87円を下限とする累進配当」を明示しており、下限額を数値で約束している点は配当方針として最も強い形。一方でDOE基準は自己資本に連動するため、利益が減っても配当水準が保たれやすい反面、原資の裏付けは利益の回復に依存する。
- 耐性実績: 2025年3月期に49→45円の減配があり、直近5年内の単年減配として採点に反映されている。コロナ期(2020年3月期・2021年3月期)は24円を維持し、配当性向も36〜38%と余裕があった。
7. 詳細データ
7-1. 業績サマリー
| 指標 | 当Q1 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 137.00億円 | 120.88億円 | +13.3% |
| 営業利益 | 12.34億円 | 9.29億円 | +32.8% |
| 経常利益 | 17.63億円 | 13.15億円 | +34.1% |
| 親会社株主帰属四半期純利益 | 11.37億円 | 8.95億円 | +27.0% |
| EPS(Q1) | 28.92円 | 22.77円 | +27.0% |
| 営業利益率(Q1単独) | 9.01% | 7.69% | +1.32pt |
事業別売上高(会社参考値・対前年同期比)
| 区分 | 売上 | 前期比 |
|---|---|---|
| エアエナジー事業 | 80.17億円 | +11.1% |
| (うち圧縮機) | 73.25億円 | +10.7% |
| コーティング事業 | 55.23億円 | +17.0% |
| (うち塗装機器) | 48.89億円 | +10.4% |
| その他 | 1.59億円 | +3.8% |
塗装設備製品の受注実績
| 項目 | 当Q1 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 受注高 | 10.86億円 | 8.51億円 |
| 受注残高 | 28.82億円 | 26.56億円 |
- 主因: 圧縮機(+10.7%)と塗装機器(+10.4%)の主力2製品がともに二桁増。塗装設備は+117.3%と大きく伸びた。
- 乖離点: 売上+13.3%に対し営業利益+32.8%と伸びが大きいのは、前年同期が△8.7%の減益だった反動を含むため。
- 着地評価: 通期予想に対するQ1進捗率は売上22.6%、営業利益22.9%、純利益28.8%。通期は減益計画のため、進捗としては標準的なペース。
業績増減要因の「業績の質」診断
| 観点 | 評価 | 解釈 |
|---|---|---|
| 一過性要因 | 🟢 限定的 | 増収増益は主力2製品の伸長によるもので、Q1に特別損益の大きな計上はない |
| 営業外損益 | 🟡 影響あり | 経常17.63億円と営業12.34億円の差5.29億円は為替や持分法などの営業外要因。通期予想が経常△16.3%と営業△2.9%より大きく減るのは、この営業外要因の正常化を織り込むため |
| 特別損益 | 🟢 軽微 | 四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されておらず、特別損益の大きな計上もない |
| 開示の誠実性 | 🟢 高 | 記念配当の内訳(中間2円・期末3円)を注記で明示し、事業別の参考値と受注実績も開示 |
→ 業績の質: Q1は主力製品の伸長による増収増益で本業由来。ただし通期の減益計画は営業外要因の正常化を見込んだもので、営業段階(△2.9%)より下の段階で落ち込む構成
7-2. 財務・CFサマリー
| 指標 | 2026/3期末 | 2026/6末(Q1) |
|---|---|---|
| 現金及び預金(億円) | 207.49 | 167.26(△19.4%) |
| 有価証券(流動・億円) | 10.09 | 20.51(+103.3%) |
| 自己資本比率(%) | 68.0 | 66.6(△1.4pt) |
- 有利子負債 は短期借入金10.83億円のみ(社債、長期借入金の掲記なし)
- ネットキャッシュ: 現金及び預金167.26億円 + 流動資産の有価証券20.51億円 − 有利子負債10.83億円 = +176.94億円。時価総額789.41億円(株価¥1,891 × 期末発行済株式数41,745,505株・自己株式を含む)の22.4%で「プラス、10〜30%」帯
- 自己株式: 自己株式数は2,359,253株→2,553,955株へ194,702株増加(取得)。期末発行済株式総数は41,745,505株で前期末から変わらず、消却は行っていない
- 四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない(第1四半期のため)
7-3. 通期業績予想(2027年3月期・2026年8月10日 修正後)
| 項目 | 予想 | 前期比 | 前回予想比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 607.00億円 | +8.6% | +7.00億円 |
| 営業利益 | 54.00億円 | △2.9% | +2.00億円 |
| 経常利益 | 64.60億円 | △16.3% | 変更なし |
| 親会社株主帰属当期純利益 | 39.50億円 | △26.3% | 変更なし |
| EPS | 100.45円 | △26.2% | +0.16円 |
| 営業利益率(通期予想) | 8.90%(54.00億円 ÷ 607.00億円) | — | — |
| ROE(通期予想) | 7.83%(39.50億円 ÷ 自己資本504.24億円〔期首507.45億円とQ1末501.03億円の平均〕) | — | — |
- 増減トーン: 2026年5月12日公表の予想から、売上と営業利益のみ上方修正され、経常利益以下は据え置き。結果として営業△2.9%に対し経常△16.3%、純利益△26.3%と、下の段階ほど減益幅が大きい計画になっている。
- 前提条件: 海外経済や中東情勢の動向等に不確実性があり、先行きは不透明との認識を示している。
- 施策: 圧縮機と塗装機器の主力2製品の拡販に加え、当第1四半期から連結に加わった株式会社SANWAを取り込む。
7-4. データ出典の透明性
| 項目 | 出典 | 信頼度 |
|---|---|---|
| Q1売上・営業利益・経常利益・純利益・EPS・事業別売上・受注実績 | 2027年3月期 第1四半期決算短信(2026年8月10日開示) | 🟢 一次情報 |
| 2027年3月期 通期業績予想(修正後)・配当予想・記念配当の内訳 | 2027年3月期 第1四半期決算短信 表紙「2027年3月期の連結業績予想」「配当の状況」注記 | 🟢 一次情報 |
| 自己資本比率66.6%・現金及び預金167.26億円・有価証券20.51億円・短期借入金・発行済株式数 | 2027年3月期 第1四半期決算短信「四半期連結貸借対照表」「注記事項」 | 🟢 一次情報 |
| 株式会社SANWAの子会社化 | 2027年3月期 第1四半期決算短信「セグメントの業績」 | 🟢 一次情報 |
| 配当方針(DOE7.0〜7.5%目安・87円下限の累進配当) | 2026年3月期 決算短信「利益配分に関する基本方針」 | 🟢 一次情報 |
| 過去年度の配当履歴・EPS推移 | EDINET DB | 🟢 一次情報 |
| 株価・配当利回り | J-Quants API(2026-08-10 終値) | 🟢 一次情報 |
【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。