【東京精密(7729)】配当B(71点) — 2027年3月期Q1

保有中(筆者が当該銘柄を保有)📁 精密機器

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結論: 通期予想を増額、配当予想も304円へ引き上げ

📊 スコア: B 71点
💰 配当: 262→304円予想(+42円)
良い点: 営業利益率23.3%、ROE16.2%、自己資本比率75.6%
⚠️ 注意点: 2024年の減配履歴、利回り1.68%、ネットキャッシュ薄め


1. 業績ハイライト

  • 売上高367.16億円(+18.9%)で増収
  • 営業利益59.20億円(+29.2%)・利益率16.1%
  • 経常利益64.30億円(+44.1%)・営業外が反転
  • 四半期純利益46.67億円(+44.5%)・EPS115.01円
  • 通期営業利益予想を400.00億円から440.00億円へ増額

サマリー

  • 半導体製造装置が増収増益を牽引: 同部門の売上高285.15億円(+21.1%)・セグメント利益54.09億円(+34.2%)。生成AIを含むHPCやHBM向けの測定用途が伸び、全社の営業増益をほぼ単独で作った
  • 経常の伸びは営業外の振れを含む: 経常+44.1%が営業+29.2%を上回ったのは、前年同期の為替差損1.53億円が当期は為替差益1.59億円へ振れ、補助金収入2.00億円が加わったため。本業の実勢は営業段階の伸び
  • 通期予想を上方修正: 受注済案件の出荷計画と受注予定案件の動向を見直し、通期売上高を1,815.00億円から1,890.00億円へ、営業利益を400.00億円から440.00億円へ引き上げた(各利益+10.0%)

2. 配当判断サマリー

  • 当期配当予想は中間152円+期末152円=304円(+42円)。2026年5月13日公表の276円予想から+28円の上方修正で、通期業績の増額に還元が連動した
  • 予想配当性向は40.1%(予想DPS304円÷予想EPS758.83円)で、会社が掲げる連結配当性向40%目安とほぼ一致。DOEは約6.5%(本ブログ算出)
  • 2024年3月期に235→192円の減配履歴があり増配減配耐性は2/10。当期予想が実現すれば2025年3月期から3期連続増配となる
  • 同じく配当性向40%目処を掲げ半導体向け計測を手がける堀場製作所(6856)とは、業績連動型の還元設計という点で性格が近い

3. スコア内訳

配当持続性ランク: B(71/100点) ★★★★☆

カテゴリ 配点 得点 主な内容
配当 50 29 性向9・DOE10・利回り2・方針6・耐性2
財務 25 17 自己資本10・ネットキャッシュ4・営業CF安定性3
収益 25 25 営業利益率15・ROE10
合計 100 71

営業利益率とROEは、四半期単独の実績ではなく当期通期の会社予想を採点根拠としている。営業利益率は通期予想23.3%(営業利益440.00億円÷売上高1,890.00億円)、ROEは通期予想約16.2%(予想純利益308.00億円÷自己資本1,905.84億円=期首1,910.35億円と第1四半期末1,901.32億円の平均)で、いずれも「15%以上」帯に入る。参考として第1四半期単独の営業利益率は16.1%。

3-1. 主な加点(高得点項目)

  • 営業利益率 15/15: 通期予想23.3%(営業利益440.00億円÷売上高1,890.00億円)で「15%以上」帯の満点。前期実績20.2%から+3.1ptの水準へ引き上げられた
  • DOE 10/10: 6.5%(当期予想配当304円×期中平均株式数40,588,440株=約123.39億円÷自己資本1,901.32億円)で「5%以上」帯の満点。四半期決算短信に純資産配当率の記載はないため本ブログで算出した
  • 自己資本比率 10/10: 第1四半期末75.6%(60%以上)で満点。精密機器は自己資本比率の業種補正対象外で、本則の基準でも大きく上回る
  • ROE 10/10: 通期予想約16.2%(予想純利益308.00億円÷期首1,910.35億円と第1四半期末1,901.32億円の平均1,905.84億円)で「15%以上」帯の満点。前期実績は13.6%
  • 配当性向 9/10: 40.1%(予想DPS304円÷予想EPS758.83円)。精密機器は配当性向の業種補正対象外でメーカー中央値35%を適用し、乖離+5.1ptで「中央値〜+10pt」帯

3-2. 主な減点(低得点項目)

  • 増配減配耐性 2/10: 直近5年(2022〜2026年3月期)のうち2024年3月期に235→192円(△18.3%)の減配履歴がある。連続減配でも無配転落でもないため0点は回避するが、単年減配ありの2点にとどまる
  • 配当利回り 2/10: 1.68%(予想DPS304円÷株価¥18,060)で「1.5〜2.5%」帯の2点。配当予想の増額で前期カルテ時点の1.59%から改善したが、株価も同時に上昇したため帯は動かなかった
  • ネットキャッシュ 4/10: +471.25億円(現金及び預金599.25億円−有利子負債128.00億円)。時価総額約7,636.67億円に対し6.2%で「プラス、時価総額10%未満」帯。精密機器はネットキャッシュの業種補正対象外

3-3. スコアの動き(定点観測)

  • スコア変動: 前期(2026年3月期)68点 → 今期71点(+3点)。ランクもCからBへ移った
  • 変動の内訳: 動いたのは収益の22→25のみで、内訳ではROEが7→10。前期カルテのROEは実績13.6%で「10〜15%」帯だったが、今回は四半期カルテの収益2項目を当期通期の会社予想で採点する基準に沿い、予想ROE約16.2%として「15%以上」帯に入った。配当29・財務17は据え置きで、配当性向は42.9%→40.1%、配当利回りは1.59%→1.68%、ネットキャッシュ比率は5.7%→6.2%といずれも数値は動いたものの帯をまたがなかった
  • 満点項目の維持: 営業利益率15/15・DOE10/10・自己資本比率10/10は前期に続き満点。配当性向9/10も据え置きで、今回の上昇はROE1項目の動きによる
  • 現在の位置づけ: B(70〜84点)の下限帯。収益25点満点と自己資本比率・DOEの満点が土台を作る一方、増配減配耐性2/10と配当利回り2/10が配当カテゴリを50点中29点に抑えている構図は前期から変わっていない

※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。


4. 事業の強み・構造リスク

4-1. ✅ 事業の強み

  • 受注が売上に先行する構造: 第1四半期の受注高658.20億円(+83.3%)は売上高367.16億円の1.8倍で、半導体製造装置の受注は532.36億円(+101.8%)と倍増した。納入までの期間分が先の売上として控え、配当原資の見通しを下支えする
  • 顧客からの前受けが積み上がる資金構造: 契約負債が64.86億円から103.73億円へ+38.86億円増え、負債増加の主因となった。出荷前に代金の一部を受け取る取引形態のため、増産局面でも運転資金を顧客側から先に確保できる

4-2. ⚠️ 構造リスク

  • 利益が半導体製造装置部門に集中する構造: 第1四半期のセグメント利益59.20億円のうち54.09億円(91.4%)を半導体製造装置が占める。会社は受注増の要因に生成AIを含むHPCやHBMの測定用途、中国での検査需要の拡大を挙げており、その投資計画が止まると配当原資に直接効く
  • 計測機器部門の増収減益: 売上高82.01億円(+11.8%)に対しセグメント利益は5.11億円(△6.9%)で、利益率は7.5%から6.2%へ低下した。短信に減益要因の説明はなく、二本柱の一方が収益貢献を落としている点は次回の確認点になる

保有状況: 筆者は本銘柄を 保有しています(株数は非開示・2026年8月時点)


5. 筆者メモ

私が東京精密を持っているのは、半導体製造装置と精密計測の二本柱に加え、配当性向40%目安という還元の物差しがはっきりしているからです。今回の配当予想の引き上げは、その物差しが業績の上振れに素直に反応した形でした。


6. 配当の見方

6-1. 配当の中身

項目
2025年3月期実績 中間114円+期末139円=253円
2026年3月期実績 中間111円+期末151円=262円(+9円)
2027年3月期予想 中間152円+期末152円=304円(+42円・2026年5月13日公表の276円予想から+28円の上方修正)
配当性向(連結・表面) 40.1%(予想DPS304円 ÷ 予想EPS758.83円・本ブログ算出。四半期決算短信の「2.配当の状況」に配当性向の記載はない)
DOE(連結・純資産配当率) 約6.5%(予想配当304円×期中平均株式数40,588,440株=約123.39億円 ÷ 自己資本1,901.32億円・本ブログ算出。前期〔2026年3月期〕の決算短信記載値は5.6%)
配当利回り 1.68%(予想DPS304円 ÷ 株価¥18,060・2026-08-04終値・J-Quants API)
配当方針 「業績連動・連結配当性向40%を目安+利益水準にかかわらず年20円の配当維持(ただし2期連続赤字なら見直す可能性)」(会社IR「配当状況」・2026年3月期決算短信「1.(5)利益配分に関する基本方針」)。累進配当の宣言はなく、配当性向目標型
連続増配年数 2期連続増配(2025年3月期・2026年3月期)+ 当期予想で 3期目 継続見込み。2024年3月期に減配履歴あり

6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)

2022年以前の履歴を表示
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2016 59.00 234.58 25.2%
2017 72.00 239.32 30.1%
2018 92.00 306.41 30.0%
2019 125.00 352.92 35.4%
2020 76.00 171.89 44.2%
2021 104.00 293.83 35.4%
2022 185.00 525.34 35.2%
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2023 235.00 581.33 40.4%
2024 192.00 480.49 40.0%
2025 253.00 633.75 39.9%
2026 262.00 610.02 42.9%
2027(予想) 304.00 758.83 40.1%

(注)

  • データ基準: 2022年以前はEDINET DB引用、2023〜2026年3月期は決算短信記載値と一致確認済。2027年3月期は第1四半期決算短信時点の会社予想
  • 減配履歴の説明: 2023→2024は表面DPS 235→192円(△18.3%)。半導体市況の調整局面でEPSが581.33→480.49円(△17.3%)へ落ち込み、配当性向40%目安に沿って配当も連動した。各期の決算短信「2.配当の状況」に記念配当特別配当の内訳注記はなく、普通配当のみの減配
  • 配当政策の傾向: 2020年3月期・2024年3月期はいずれもEPSの落ち込みに合わせて減配しており、配当性向40%目安を軸にEPSの変動を配当が吸収する設計。連続増配は2025年3月期からの2期で、それ以前も3〜4期ごとに減配を挟んでいる

6-3. 配当の評価ポイント(3点)

  • 増配構造: 262→304円(+42円)。5月公表時の276円予想から+28円引き上げられており、予想EPSの689.87→758.83円への切り上がりに配当が連動した
  • 方針シグナル: 連結配当性向40%目安と、利益水準にかかわらず年20円を維持する下限(2期連続赤字なら見直す可能性)を会社IRで明示。累進配当の宣言はないため配当性向目標型として6/10
  • 耐性実績: 直近5年(2022〜2026年3月期)では2024年3月期に減配履歴。以後は2期連続増配で、当期予想が実現すれば3期目となる

7. 詳細データ

7-1. 業績サマリー

指標 当期(Q1累計) 前期(Q1累計) 前期比
売上高 367.16億円 308.76億円 +18.9%
営業利益 59.20億円 45.81億円 +29.2%
営業利益率 16.1% 14.8% +1.3pt
経常利益 64.30億円 44.62億円 +44.1%
親会社株主帰属四半期純利益 46.67億円 32.29億円 +44.5%
EPS 115.01円 79.77円 +44.2%

セグメント別(対前年同期比)

区分 売上(前期比) セグメント利益(前期比)
半導体製造装置 285.15億円(+21.1%) 54.09億円(+34.2%)
計測機器 82.01億円(+11.8%) 5.11億円(△6.9%)

通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高19.4%・営業利益13.5%・経常利益14.6%・親会社株主帰属四半期純利益15.2%。会社は売上・利益が第2四半期にやや偏重する期初想定を示しており、標準ペース(25%)を下回るのはこの季節性による。

業績増減要因の「業績の質」診断

観点 評価 解釈
一過性要因 🟢 高 特別利益は新株予約権戻入益0.03億円のみで特別損失の計上はない。前期に純利益を押し下げた製品不具合対策費のような一過性の費用は当第1四半期には発生していない
営業外損益 🟡 注意 経常+44.1%が営業+29.2%を上回った主因は営業外の振れ。前年同期の為替差損1.53億円が当期は為替差益1.59億円へ反転し、補助金収入2.00億円も加わって営業外収支は△1.19億円から+5.10億円へ改善した
純利益押し上げ要因 🟡 注意 純利益+44.5%は経常段階の+44.1%とほぼ同幅で、上乗せ分は営業外の振れ由来。前年同期の四半期純利益が△9.1%と落ち込んでいた点も伸び率を大きく見せている
開示の誠実性 🟢 高 通期・中間期の予想修正について前回予想との増減額・増減率を表で開示。セグメント別に受注高・売上高・営業利益を明示し、連結範囲・会計方針・見積りの変更がいずれも無であることも記載している

業績の質: 中〜高品質(営業段階の+29.2%は半導体製造装置の出荷増による実勢だが、経常・純利益の+44%台には為替差損益の反転と補助金収入、前年同期の低い比較対象が乗っている)

7-2. 財務・CFサマリー

指標 前期末(2026年3月31日) 当第1四半期末(2026年6月30日)
現金及び預金(百万円) 53,073 59,925(+12.9%)
有利子負債(百万円) 14,300 12,800(△10.5%)
自己資本(百万円) 191,035 190,132
自己資本比率(%) 76.3 75.6(△0.7pt)
減価償却費(百万円・四半期) 1,230(前年同期) 1,437(+16.8%)
  • 営業CF: 第1四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていない(決算短信の注記に明記)。参考として2026年3月期通期の営業CFは250.12億円(2025年3月期288.24億円)
  • 有利子負債: 短期借入金13.00億円+1年内返済予定の長期借入金50.00億円+長期借入金65.00億円=128.00億円(前期末143.00億円)。日本基準採用で四半期連結貸借対照表にリース債務の独立掲記はなく、社債の計上もない
  • ネットキャッシュ: 現金及び預金599.25億円−有利子負債128.00億円=+471.25億円。時価総額約7,636.67億円(株価¥18,060×期末発行済株式総数42,284,981株・自己株式を含む)の6.2%で「プラス、時価総額10%未満」帯
  • 運転資本の動き: 売上債権等が△85.21億円減る一方、棚卸資産が+49.94億円増え、契約負債も+38.86億円増加した。現金及び預金の+68.51億円増はこの回収と前受けが主因

7-3. 通期業績予想(2027年3月期)

項目 予想 前期比
売上高 1,890.00億円 +13.3%
営業利益 440.00億円 +30.4%
経常利益 440.00億円 +26.3%
親会社株主帰属当期純利益 308.00億円 +24.5%
EPS 758.83円 +24.4%
営業利益率(通期予想) 23.3%(440.00億円÷1,890.00億円・本ブログ算出) +3.1pt
ROE(通期予想) 約16.2%(予想純利益308.00億円÷自己資本1,905.84億円=期首1,910.35億円と第1四半期末1,901.32億円の平均・本ブログ算出) +2.6pt

2026年8月4日に増額。前回(2026年5月13日)の予想は売上高1,815.00億円・営業利益400.00億円・経常利益400.00億円・当期純利益280.00億円で、EPS予想も689.87円から758.83円へ切り上がった。増減率は売上高+4.1%・各利益+10.0%。中間期累計予想も売上高885.00億円(+14.8%)・営業利益191.00億円(+29.8%)・当期純利益134.00億円(+39.4%)へ引き上げている。修正理由は、半導体製造装置・計測機器両部門の受注済案件の出荷計画と受注予定案件の動向を見直したことによる。

7-4. データ出典の透明性

項目 出典 信頼度
第1四半期の売上高・営業利益・経常利益・四半期純利益・EPS 2027年3月期 第1四半期決算短信(2026-08-04開示) 🟢 一次情報
通期・中間期業績予想と修正内容 2027年3月期 第1四半期決算短信「1.(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」 🟢 一次情報
営業利益率(通期予想)・ROE(通期予想)・DOE・配当性向(予想) 本ブログ算出(会社予想値より計算・ROE分母は期首自己資本(前期末)と直近開示時点自己資本の平均) 🟡 補助データ
配当実績・当期配当予想 2027年3月期 第1四半期決算短信「2.配当の状況」 🟢 一次情報
配当方針(業績連動・配当性向40%目安+年20円の最低配当維持) 東京精密 会社IR「配当状況」・2026年3月期 決算短信「1.(5)利益配分に関する基本方針」 🟢 一次情報
自己資本比率・現金及び預金・有利子負債・契約負債・発行済株式数・自己株式数 2027年3月期 第1四半期決算短信「四半期連結貸借対照表」「注記事項」 🟢 一次情報
セグメント別売上・セグメント利益・受注高 2027年3月期 第1四半期決算短信「1.(1)経営成績に関する説明」「セグメント情報等」 🟢 一次情報
前期の営業CF・営業利益率・ROE実績 2026年3月期 決算短信(2026-05-13開示) 🟢 一次情報
過去配当履歴・EPS推移・営業CF推移 EDINET DB 🟢 一次情報
株価¥18,060(2026-08-04終値) J-Quants API(JPX 公式) 🟢 一次情報

【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。