【ピジョン(7956)】配当C(69点) — 2026年12月期 中間期

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結論: 全部門増収の2桁増益、性向約99%での76円据置が論点。

📊 スコア: C 69点
💰 配当: 76円→76円(±0円)、通期予想76円維持(配当性向約99.5%)
良い点: 全部門増収の2桁増益、実質無借金、自己資本74.1%、営業進捗56.7%
⚠️ 注意点: 配当性向約99.5%、DOE・性向の数値目標なし、為替追い風の反動余地


1. 業績ハイライト

  • 売上高589.77億円(+9.8%)、4セグメント全てで増収。
  • 営業利益78.78億円(+17.9%)、売上総利益率が改善。
  • 中間純利益52.21億円(+12.9%)・EPS 43.66円。
  • 日本利益+57.5%・米州・欧州利益+90.9%と急伸。
  • 中間進捗: 営業利益56.7%(標準50%超)・通期予想は据え置き。

サマリー

  • 本業堅調: 高付加価値品が牽引する日本と主力の哺乳器・乳首が堅調な海外で全部門増収となり、売上総利益率の改善で販管費増を吸収して営業利益+17.9%の2桁増益。
  • 利益の質: 円安(米ドル158.13円・中国元23.04円)の換算押し上げを含む増益。前年中間にあった受取損害賠償金と製品自主回収費用の両建て特別損益は剥落し、当中間の一過性要因は小さい。
  • 配当は据置: 中間38円を実施し通期76円予想を据え置き。予想配当性向約99.5%と原資余裕は薄いまま、安定配当の水準維持を優先する構図が続く。

2. 配当判断サマリー

  • 通期配当76円据え置き(中間38円+期末38円)、2022年から実績4期連続据え置き・2026年予想で5期目、直近5年で減配なし。
  • 予想配当性向約99.5%(76円÷EPS 76.41円)、メーカー中央値35%から+64pt超の乖離で増配余力は乏しい。
  • 予想利回り3.59%(株価¥2,119・2026-08-20終値)で3.5〜4.5%帯、株価上昇により前カルテ時点(4.1%)から低下。
  • 第9次中期経営計画は「成長投資を優先しつつ、現在の配当水準を維持した安定的な配当を継続」の定性方針(数値目標なし)。同業その他製品では累進配当方針を明示するオカムラ(7994)、DOE目安を掲げる小松ウオール工業(7949)と還元設計が対照的。

3. スコア内訳

配当持続性ランク: C(69/100点) ★★★☆☆

カテゴリ 配点 得点 主な内容
配当 50 28 性向0・DOE10・利回り7・方針3・耐性8
財務 25 22 自己資本10・ネットキャッシュ7・営業CF安定性5
収益 25 19 営業利益率12・ROE7
合計 100 69

3-1. 主な加点(高得点項目)

  • 自己資本比率 10/10: 74.1%(前期末75.3%)、60%以上で満点。借入金・社債の個別掲記がない実質無借金の財務。
  • DOE 10/10: 試算約10.8%(予想DPS 76円×自己株式控除後期末株式数119,452,348株÷平均自己資本841.78億円)、5%以上で満点。
  • 営業CF安定性 5/5: 直近5年(2021〜2025年)は108.9〜145.0億円で連続黒字・変動±20%以内の安定推移。
  • 営業利益率 12/15: 通期予想12.2%(営業利益139億円÷売上高1,135億円)を採点根拠とし10〜15%帯。
  • 増配・減配耐性 8/10: 直近5年で減配なし+当期予想は76円維持。コロナ期(2020→2021年)も72→74円と増配で通過。
  • 配当利回り 7/10: 3.59%(予想DPS 76円÷株価¥2,119)、3.5〜4.5%帯。
  • ネットキャッシュ 7/10: +362.71億円(時価総額約2,578億円の約14.1%)、10〜30%帯。
  • ROE 7/10: 通期予想10.9%(純利益91.4億円÷平均自己資本841.78億円)、10〜15%帯。

3-2. 主な減点(低得点項目)

  • 配当性向 0/10: 通期予想約99.5%(76円÷EPS 76.41円)。メーカー業界中央値35%から+64pt超の乖離で配当原資の余裕は薄い。
  • 配当方針 3/10: 第9次中期経営計画で「現在の配当水準を維持した安定的な配当を継続」と定性的に明記するにとどまり、DOE・配当性向の数値目標はない。

3-3. スコアの動き(定点観測)

  • スコア変動: 前期69点 → 今期69点(±0点)
  • 変動の内訳: 全10項目で前カルテと同点。営業利益率・ROEの採点根拠は通期予想ベース(12.2%・10.9%)で評価帯は不変、株価上昇(¥1,855→¥2,119)でも利回りは3.5〜4.5%帯にとどまり7点を維持。
  • 満点項目維持: DOE 10点(試算約10.8%)・自己資本比率10点(74.1%)・営業CF安定性5点が据え置き局面でも揺らがない支柱。
  • 現在の位置づけ: 配当性向約99.5%(0点)と定性方針(3点)が配当カテゴリを28/50に抑え、財務22/25・収益19/25の厚みでC上位69点に位置。

※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。


4. 事業の強み・構造リスク

※本章はスコア(§3)に反映されていない事業上の強み・構造リスクを扱います。

4-1. ✅ 事業の強み

  • エイジアップ商品と介護領域によるLTV拡大: 「ピジョンキッズ」等の年齢上位向け新商品や介護用品「ハビナース」を展開し、ベビー領域に閉じない顧客生涯価値の拡大を明示。出生数減少下でも配当原資の裾野を広げる構造。
  • 広口哺乳器を軸にした新興国開拓: シンガポール事業がインドネシア向け戦略商品の投入を開始し、マレーシア・オーストラリアの販売も好調。上位中間層向け基幹商品の浸透が中長期の増収余地を下支えする。

4-2. ⚠️ 構造リスク

  • セグメント利益の中国集中: 中間のセグメント利益計98.69億円のうち中国事業が61.36億円と6割超を占める。中国の出生数減少と地場ブランド台頭による競争激化が続けば、配当原資の主柱が揺らぎやすい。
  • 中東情勢の業績影響が見通し困難: 中東向け出荷の一部停止がシンガポール事業で既に発生。会社は原材料動向等への影響の見通しが困難とし業績予想見直しの可能性に言及しており、下期の利益前提には不確実性が残る。

保有状況: 筆者は本銘柄を 保有しています(株数は非開示・2026年8月時点)


5. 筆者メモ

出生数減少という逆風の中でも保有を続けているのは、中国・米欧で哺乳器が伸びる地域分散の進展を評価している為。中間の米州・欧州利益急伸は、その期待を裏付ける内容だった。


6. 配当の見方

6-1. 配当の中身

項目
2025/12期実績 76円(中間38円+期末38円)
2026/12期予想 76円(±0円・中間38円実施済+期末38円予想)
配当性向(連結・表面) 約99.5%(76円 ÷ EPS 76.41円予想・決算短信記載値。記念配当・特別配当はなく実質普通配当ベースも同値)
DOE(連結・本ブログ試算) 約10.8%(予想DPS 76円×自己株式控除後期末株式数119,452,348株 ÷ 期首と中間期末の平均自己資本841.78億円・短信にDOE記載なし)
配当利回り 3.59%(予想DPS 76円 ÷ 株価¥2,119・2026-08-20終値・J-Quants API)
配当方針 第9次中期経営計画(2026〜2028年)で「成長投資を優先しつつ、現在の配当水準を維持した安定的な配当を継続」と明記(会社IR「配当金」ページ・決算短信の将来予測情報の説明)。DOE・配当性向の数値目標は設定せず、安定配当を定性的に掲げる方針
連続増配年数 0期(2020〜2022年に72→74→76円と増配後、2022〜2025年実績は76円が4期連続・2026年予想で5期目の同水準見込み)

6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)

2022年以前の履歴を表示
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2020 72 88.93 81.0%
2021 74 73.44 100.8%
2022 76 71.72 106.0%
年度 DPS(円) EPS(円) 配当性向
2023 76 62.06 122.5%
2024 76 70.00 108.6%
2025 76 71.65 106.1%
2026(予) 76 76.41 99.5%

(注)

  • データ基準: EDINET DB引用、直近期(2025実績〜2026予想)は決算短信記載と一致確認済。
  • 表示範囲: 当社は2019年に決算期を1月期から12月期へ変更(2019年12月期は2019年2月〜12月の11ヶ月変則決算)。1月期時代の年度は現行の12月期系列と期間対応が不連続なため表示対象外とした。なお2017年1月期の年間配当53円には設立60周年記念配当6円が含まれる(有価証券報告書注記)。
  • 配当性向の異常水準: 2021〜2025年実績は配当性向100%超が常態化(2026年予想は約99.5%)。純利益と同水準〜超の配当が続き、利益剰余金からの取り崩しが断続的に発生している。
  • 配当政策の傾向: 2022年以降76円据え置き(実績4期・2026年予想で5期目)・直近5年で減配なし。業績連動より絶対水準の維持を優先する安定配当運用。

6-3. 配当の評価ポイント(3点)

  • 増配構造: 増配は2021年(72→74円)・2022年(74→76円)が直近で、以降は76円据え置き(実績4期・2026年予想で5期目)。業績連動より絶対水準維持を優先する運用。
  • 方針シグナル: 第9次中計で「成長投資を優先しつつ、現在の配当水準を維持した安定的な配当を継続」と定性的に明記。配当性向約99%が続いても水準維持を優先する姿勢(DOE・配当性向の数値目標は未設定)。
  • 耐性実績: 直近5年で減配履歴ゼロ、コロナ期(2020→2021年)も72→74円と増配で通過。実質無借金+現金及び預金362.71億円が下支え。

7. 詳細データ

7-1. 業績サマリー(2026年12月期 中間期)

指標 当中間期 前年中間期 前年同期比
売上高 58,977百万円 53,734百万円 +9.8%
営業利益 7,878百万円 6,684百万円 +17.9%
経常利益 7,986百万円 6,875百万円 +16.2%
親会社帰属中間純利益 5,221百万円 4,624百万円 +12.9%
EPS 43.66円 38.67円 +12.9%
自己資本比率 74.1% 75.3%(前期末) △1.2pt

セグメント別(対前年同期比)

区分 売上 前期比 セグメント利益 前期比
日本事業 197.80億円 +7.1% 17.44億円 +57.5%
中国事業 240.72億円 +13.2% 61.36億円 +7.7%
シンガポール事業 72.87億円 +1.2% 10.59億円 △4.9%
米州・欧州事業 122.39億円 +15.3% 9.28億円 +90.9%

(注)当中間期より旧「ランシノ事業」の名称を「米州・欧州事業」に変更(セグメント区分の変更はなし)。売上はセグメント間内部売上を含む。

通期計画 進捗率(中間標準50%)

指標 累計実績 通期予想 進捗率 評価
売上高 58,977百万円 113,500百万円 52.0% 標準
営業利益 7,878百万円 13,900百万円 56.7% やや上振れ
経常利益 7,986百万円 14,150百万円 56.4% やや上振れ
純利益 5,221百万円 9,140百万円 57.1% やや上振れ

業績増減要因の「業績の質」診断

観点 評価 解釈
一過性要因 🟢 小さい 前年中間の受取損害賠償金3.61億円と製品自主回収関連費用4.54億円が両建てで剥落、当中間の特別損失は事業整理損0.89億円等の軽微な水準
為替影響 🟡 プラス寄与 米ドル158.13円(前年148.50円)・中国元23.04円(前年20.47円)の円安で換算押し上げ、為替反転時の戻りに注意
純利益の伸び 🟡 留意 営業利益+17.9%に対し純利益+12.9%、税負担率の上昇(30.1%→32.2%)で伸びが目減り
開示の誠実性 🟢 一次情報整合 連結範囲変更なし・会計方針変更なし・継続企業前提注記なし、セグメント名称変更(ランシノ→米州・欧州)も注記で開示

業績の質: 高品質(全部門増収の本業増益が主導・特別損益の歪み小、円安の換算押し上げのみ留意)

7-2. 財務・CFサマリー

指標 前年中間(2025/6)・BS項目は前期末(2025/12) 当中間期(2026/6)
営業CF(百万円) 3,967 3,146
投資CF(百万円) △1,745 △1,902
財務CF(百万円) △5,784 △5,542
現金及び預金(BS・百万円) 39,609 36,271
短期有価証券(BS流動・百万円) 0(掲記なし) 0(掲記なし)
現金及び現金同等物 期末残高(CF・百万円) 34,071 36,271
自己資本比率(%) 75.3 74.1
  • 有利子負債: 中間連結貸借対照表に短期借入金・長期借入金・社債・リース債務の個別掲記なし(実質無借金)。ただし当中間期に支払利息0.33億円の計上があり、「その他」負債に含まれるリース債務等は本表からは確認できないため、有利子負債0円は暫定値。参考: 2025年12月期 有価証券報告書ではリース債務(固定負債)13.59億円。
  • ネットキャッシュ: 現金及び預金362.71億円 + 短期有価証券0円(BSに掲記なし) − 有利子負債0円(暫定・個別掲記なし) = +362.71億円(時価総額約2,578億円=株価¥2,119×期末発行済株式数121,653,486株(自己株式を含む)の約14.1%、ネットキャッシュ評価7点)。仮に前期末有報ベースのリース債務13.59億円を控除しても+349.12億円・時価総額比13.5%で評価帯(10〜30%)は変わらない。
  • 営業CF減少要因: 売上債権△37.5億円・棚卸資産△18.8億円の増加(増収に伴う運転資本の積み上がり)で前年中間比△20.7%

7-3. 通期業績予想(2026年12月期・据え置き)

項目 予想 前期比
売上高 113,500百万円 +4.0%
営業利益 13,900百万円 +5.6%
経常利益 14,150百万円 +3.4%
親会社株主帰属当期純利益 9,140百万円 +6.7%
EPS 76.41円 +6.6%
営業利益率(通期予想) 12.2%(13,900÷113,500・本ブログ算出) +0.2pt(前期実績12.1%)
ROE(通期予想) 10.9%(9,140÷84,178・本ブログ算出) +0.5pt(前期実績10.4%)

7-4. データ出典の透明性

項目 出典 信頼度
中間売上・営業利益・経常利益・純利益・EPS・自己資本比率 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信(2026年8月6日開示) 🟢 一次情報
通期業績予想・為替換算レート・中東情勢に関する説明 同短信「1.(1)当中間期の経営成績の概況」「1.(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」 🟢 一次情報
配当実績・当期配当予想・配当性向 同短信「2.配当の状況」 🟢 一次情報
配当方針(第9次中計「現在の配当水準を維持した安定的な配当を継続」) 会社IR「配当金」ページ(pigeon.co.jp)・同短信「1.(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」 🟢 一次情報
現金及び預金・短期有価証券・有利子負債(個別掲記なし)・純資産・自己資本比率 同短信「中間連結貸借対照表」 🟢 一次情報
営業CF・投資CF・財務CF・現金及び現金同等物 期末残高 同短信「中間連結キャッシュ・フロー計算書」 🟢 一次情報
セグメント別売上・利益 同短信「セグメント情報等の注記」「1.(1)② セグメント別の概況」 🟢 一次情報
営業利益率(通期予想)・ROE(通期予想)・DOE試算 本ブログ算出(会社予想値より計算・ROE/DOE分母は期首自己資本(前期末)と中間期末自己資本の平均) 🟡 補助データ
過去配当履歴・EPS推移(2020〜2025年12月期)・前期末リース債務(2025年12月期有報) EDINET DB 🟢 一次情報
株価¥2,119(2026-08-20終値) J-Quants API(JPX 公式) 🟢 一次情報

【免責事項】 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。