結論: 累進配当方針で90円へ増配、純利益は特別利益に依存。
📊 スコア: B 73点
💰 配当: 56→90円(+34円、創業130周年記念配当10円含む、普通配当ベース+24円)
✅ 良い点: 累進配当方針を明示、8期連続増配、自己資本比率55.7%
⚠️ 注意点: 予想配当性向62.1%、ネットキャッシュ△195.18億円、純利益は補償金と株式売却益に依存
1. 業績ハイライト
- 営業収益: 209.30億円(+4.5%)、3PL業務と港湾運送業務が牽引。
- 営業利益: 11.95億円(+18.2%)、料金適正化で採算が改善。
- 純利益: 29.98億円(+65.0%)、特別利益25.60億円が押し上げ。
- 配当予想: 70→90円へ+20円修正、うち記念配当10円。
- 通期予想: 2026年7月30日に上方修正、営業利益53億円へ。
サマリー
- 本業は増収増益: 営業収益209.30億円(+4.5%)に対し営業原価は+3.1%にとどまり、営業総利益率は10.7%→11.9%(+1.2pt)へ改善。3PL業務の営業利益7.97億円(+36.5%)が伸びを主導した。
- 純利益の伸びは特別利益主導: 親会社株主帰属四半期純利益は29.98億円(+65.0%)。横浜市の山下ふ頭再開発に伴う受取補償金14.22億円と投資有価証券売却益11.37億円で、特別利益は25.60億円に達した。
- 7月30日に上方修正と増配: 買収した澁澤ワールドトランスポートの9ヶ月分の連結と既存事業の上振れで、通期営業収益予想を830→900億円へ、配当予想を70→90円へ引き上げた。
2. 配当判断サマリー
- 2027年3月期の配当予想は中間45円+期末45円=90円で、2026年7月30日に70円から+20円の上方修正。うち10円は創業130周年の記念配当で、普通配当ベースでは前期56円→80円(+24円・+42.9%)。
- 会社は有価証券報告書と決算説明会資料で「配当性向50%以上を基準に、年間配当金140円(株式分割後35円)を下限とした累進的な配当」を明示。配当方針スコアは累進配当の10/10点。
- 実質普通配当ベースの予想配当性向は62.1%で、倉庫・運輸関連業の中央値50%を+12.1pt上回る。予想EPSは補償金等の一過性益を含むため、実力ベースの負担はこれより重い。
- 会社は決算説明会資料で8年連続増配と説明。DOE目標を掲げる同業の住友倉庫(9303)が配当据え置きなのに対し、当社は累進配当方針の下で増配ペースを上げている。
3. スコア内訳
配当持続性ランク: B(73/100点) ★★★★☆
| カテゴリ | 配点 | 得点 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 配当 | 50 | 41 | 性向7・DOE7・利回り7・方針10・耐性10 |
| 財務 | 25 | 17 | 自己資本比率10・ネットキャッシュ2・営業CF安定性5 |
| 収益 | 25 | 15 | 営業利益率8・ROE7 |
| 合計 | 100 | 73 | — |
3-1. 主な加点(高得点項目)
- 配当方針 10/10: 第179期有価証券報告書「配当政策」に「配当性向50%以上を基準に、年間配当金140円(株式分割後35円)を下限とした累進的な配当」と明記、累進配当の帯
- 増配減配耐性 10/10: 直近5期(2022年3月期〜2026年3月期)は17.5→21.25→25→35→56円で減配なし、当期も普通配当ベースで80円へ増配予想のため「3年以上連続増配+直近5年で減配なし+来期増配予想」の帯
- 自己資本比率 10/10: 55.7%、倉庫・運輸関連業の業種補正(40%以上で10点)の帯。前期末57.3%からは△1.6pt
- 営業CF安定性 5/5: 2022年3月期〜2026年3月期は6,033→6,729→5,829→6,350→5,742百万円で5期連続黒字、5期平均6,136百万円からの乖離は最大でも+9.7%と±20%以内
- 配当性向 7/10: 実質普通配当ベースの通期予想62.1%(予想DPS80円 ÷ 予想EPS128.87円)、倉庫・運輸関連業の中央値50%からの乖離+12.1ptで「+10〜+20pt」の帯
- DOE 7/10: 4.8%(2026年3月期の純資産配当率・決算短信記載値)、ガイドの「3〜5%」帯。四半期決算短信の配当表に同欄がないため直近通期の会社開示値を採点根拠としている(基準の違いは §6-1 注記)
- 配当利回り 7/10: 3.67%(予想DPS80円 ÷ 株価¥2,180)、ガイドの「3.5〜4.5%」帯。記念配当10円を除いた実質普通配当ベースで算定している
- ROE 7/10: 通期予想10.3%(予想純利益72億円 ÷ 平均自己資本701.03億円)、ガイドの「10〜15%」帯
3-2. 主な減点(低得点項目)
- ネットキャッシュ 2/10: 現金及び預金129.42億円 + 短期有価証券0円 − 有利子負債324.60億円=△195.18億円(時価総額比△14.7%)で本則は0点、倉庫・運輸関連業の構造的マイナス救済で2点
3-3. スコアの動き(定点観測)
- スコア変動: 前期カルテ68点 → 今期73点(+5点)。カテゴリ別では配当が39→41点、収益が12→15点へ動き、財務17点は前期カルテと同じ内訳
- 変動の内訳: 加点は配当方針3→10点(+7点)とROE 4→7点(+3点)。方針は前期カルテが決算短信に方針の記述を見つけられず定性方針として扱っていたが、第179期有価証券報告書「配当政策」と2026年3月期決算説明会資料で累進配当方針の明示を確認したため改めた。ROEは採点根拠が前期カルテの2026年3月期実績9.5%から今期の通期予想10.3%へ上がり帯が1段上がった。減点は配当利回り10→7点(△3点)と配当性向9→7点(△2点)で、株価が¥1,420→¥2,180(+53.5%)へ上昇したことと、増配で配当性向の採点根拠が2026年3月期実績50.2%から今期予想62.1%へ上がったことによる帯移動
- 満点項目の維持: 増配減配耐性10/10・自己資本比率10/10・営業CF安定性5/5は前期カルテから満点を継続。自己資本比率は△1.6pt低下したが業種補正の40%以上帯の中にとどまっている
- 現在の位置づけ: 失点27点の内訳はネットキャッシュ8点・営業利益率7点・配当性向3点・DOE3点・配当利回り3点・ROE3点。物流施設と賃貸用不動産を借入で保有する構造がネットキャッシュを、料率の低い受託物流が営業利益率を抑えており、B帯の下限付近に位置している
※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。
4. 事業の強み・構造リスク
4-1. ✅ 事業の強み
- 政策保有株の縮減が還元原資に回る循環: 中期経営計画2026は政策保有株式を2028年度に連結純資産比20%以下とする目標を掲げ、当第1四半期も投資有価証券売却益11.37億円を計上した。7月30日の予想修正でも売却の前倒しと加速を明記しており、増配原資になっている。
- 国際物流を買収で取り込む事業拡張: 2026年5月29日に名鉄ワールドトランスポート(同時に澁澤ワールドトランスポートへ商号変更)の全株式を取得原価25.50億円で取得。通関業・利用運送の機能と北米・アジアの拠点網が加わり、国内物流に偏っていた収益基盤の裾野が広がる。
4-2. ⚠️ 構造リスク
- 自己資本の17%が株式の評価差額金: その他有価証券評価差額金は当第1四半期に+25.33億円増の122.12億円となり、自己資本718.34億円の17.0%にあたる。親会社株主に係る四半期包括利益56.26億円が同純利益29.98億円を上回り、株式市況が自己資本比率を動かす。
- 取得原価の配分が未了: 買収は「暫定的な会計処理」で、引き受けた資産47.20億円・負債21.44億円に対し取得原価25.50億円としのれんは計上していない。配分の確定次第で償却負担が生じ、第2四半期以降の利益寄与が変わりうる。
保有状況: 筆者は本銘柄を 保有していません(観察対象として継続フォロー予定)。
5. 筆者メモ
今期の90円のうち10円は創業130周年の記念配当で、来期はここが外れる。普通配当だけで見ると80円で、増配の実力はそこにある。
次回(2027年3月期Q2・2026年11月発表予定)見るポイント:
- 澁澤ワールドトランスポートの損益寄与: 第2四半期から連結される9ヶ月分が、通期営業収益+70億円の上方修正分をどこまで埋めるか
- 取得原価配分の確定: のれんや無形固定資産が計上され、償却負担が第2四半期以降の営業利益にどう効くか
- 本業の採算改善の持続: 営業総利益率10.7%→11.9%の改善が中間期でも維持され、通期営業利益率5.9%の計画に届くか
- 政策保有株の売却ペース: 投資有価証券352.59億円の圧縮がどこまで進み、売却益が通期純利益予想72億円をどれだけ支えるか
6. 配当の見方
6-1. 配当の中身
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 2025年3月期実績 | 中間15円+期末20円=35円(分割後換算) |
| 2026年3月期実績 | 中間24円+期末32円=56円(分割後換算・+21円・+60.0%) |
| 2027年3月期予想 | 中間45円+期末45円=90円(普通配当80円+創業130周年記念配当10円・2026年7月30日に70円から+20円上方修正) |
| 配当性向(連結・予想) | 62.1%(実質普通配当80円 ÷ 予想EPS128.87円・本ブログ算出)。記念配当を含む表面の90円ベースでは69.8% |
| DOE(連結・純資産配当率) | 4.8%(2026年3月期実績・決算短信記載値) |
| 配当利回り | 3.67%(予想DPS80円 ÷ 株価¥2,180・2026-08-28終値・J-Quants API)。分子は記念配当を除いた実質普通配当ベースで、表面の90円ベースでは4.13% |
| 配当方針 | 配当性向50%以上を基準に、年間配当金140円(2025年5月12日方針決定時の年間配当額、株式分割後35円)を下限とした累進的な配当(第179期有価証券報告書「配当政策」)。2026年3月期決算説明会資料も「配当性向50%以上の累進配当」と記載し、2026年3月期より適用と注記している |
| 連続増配年数 | 8期連続増配(2019年3月期〜2026年3月期)+当期予想で 9期目 継続見込み |
| 自己株式取得 | 当第1四半期に211,300株・3.13億円を取得(2026年5月22日取締役会決議) |
(注)DOE欄の4.8%は2026年3月期決算短信「2.配当の状況」の純資産配当率(連結)欄の実績値で、四半期決算短信の配当表には同欄がないため直近通期の会社開示値を採っている。当期予想の90円を分子に置き換えて自算すると、予想配当総額51.05億円(予想DPS90円×期末自己株式控除後株式数56,723,787株)を期首自己資本683.71億円と第1四半期末自己資本718.34億円の平均701.03億円で割って約7.3%、記念配当を除く実質普通配当80円ベースでは約6.5%となり、いずれも会社開示の4.8%より高く出る(本ブログ算出)。採点は会社開示値を優先する運用のため4.8%を根拠としている。
6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)
2022年以前の履歴を表示
| 年度 | DPS(円・分割後換算) | 実質普通DPS(円・分割後換算) | EPS(円・分割後換算) | 配当性向 |
|---|---|---|---|---|
| 2018 | 11.25 | 11.25 | 26.41 | 42.6% |
| 2019 | 11.5 | 11.5 | 37.36 | 30.8% |
| 2020 | 12.5 | 12.5 | 46.31 | 27.0% |
| 2021 | 13 | 13 | 45.23 | 28.7% |
| 2022 | 17.5 | 17.5 | 86.45 | 20.2% |
| 年度 | DPS(円・分割後換算) | 実質普通DPS(円・分割後換算) | EPS(円・分割後換算) | 配当性向 |
|---|---|---|---|---|
| 2023 | 21.25 | 21.25 | 61.95 | 34.3% |
| 2024 | 25 | 25 | 61.52 | 40.6% |
| 2025 | 35 | 35 | 84.31 | 41.5% |
| 2026 | 56 | 56 | 111.65 | 50.2% |
| 2027(予) | 90(普通80+記念10) | 80 | 128.87 | 62.1% |
(注)
- データ基準: EDINET DB 引用。2026年3月期実績と2027年3月期予想は決算短信および2026年7月30日付「連結業績予想の修正および配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」の記載と一致を確認済み。上表の期間に実施された株式イベントは 2017年10月1日付の株式併合(普通株式5株→1株) と 2025年10月1日付の株式分割(普通株式1株→4株) の2件で、全年度を直近の分割後基準に揃えている(併合前の1株は現行の0.8株に相当するため、併合前基準の配当額は1.25倍して換算する)。会社も決算説明会資料で過年度分を分割後基準に置き換えた同じ系列を開示している
- 2018年3月期の配当は併合を跨ぐ: 中間配当は併合前の1株4円50銭、期末配当は併合後の1株22円50銭。会社は第171期有価証券報告書「配当政策」で「株式併合後に換算いたしますと、中間配当(1株につき22円50銭、株式併合前においては1株につき4円50銭)と合わせまして45円となります」と説明しており、上表はこの併合後換算45円をさらに分割で4分の1にした11.25円を採用している(単純合算した27円は基準が混在した値のため使わない)。独立検算として中間4円50銭×1.25=5.625円・期末22円50銭÷4=5.625円と両半期が同額になり、合計11.25円と一致する。EPSは同有報の注記「第170期の期首に当該株式併合が実施されたものと仮定し…算定」により開示値105円63銭が既に併合後基準のため、分割分の4分の1のみを適用して26.41円としている(併合による発行済株式総数の76,088千株→15,217千株への減少もEDINET DBで確認)
- 表の起点と連続増配の数え方: 本表は連続増配の起点となる2018年3月期から掲載している。会社は決算説明会資料で2019年3月期(11.5円)を起点とする「8年連続の増配」と説明しており、本記事の連続増配年数はこれに合わせている。表面DPSベースでは2018年3月期の11.25円が前年2017年3月期の12.50円を下回るため起点が2019年3月期になるが、2017年3月期の期末配当に含まれる創業120周年記念配当2円(当時基準・現行換算2.5円)を除いた実質普通配当ベースでは10.00円→11.25円で2018年3月期も増配にあたり、数え方によって起点が1期前倒しになる点に注意
- 記念配当: 2027年3月期予想の90円には創業130周年の記念配当10円(中間5円+期末5円)が含まれる。本ブログは記念配当を除いた実質普通配当ベースで増配減配耐性と配当利回りを判定するため「実質普通DPS」列を併記し、同年の配当性向も実質普通DPSで再計算している。2018年3月期〜2026年3月期に記念配当・特別配当の計上はない(表の範囲外となる2017年3月期の期末配当には創業120周年記念配当2円(当時基準)が含まれる)
- 配当性向の上昇: 2022年3月期の20.2%から2027年3月期予想の62.1%へ段階的に上昇。会社が配当性向50%以上を基準に据えたことによる意図的な水準の引き上げで、EPSの伸びを超える増配が続いている
6-3. 配当の評価ポイント(3点)
- 増配構造: 分割後換算で56円→90円(+34円)。うち10円は創業130周年の記念配当で、普通配当ベースでは80円(+24円・+42.9%)。2026年7月30日に業績予想の上方修正と合わせて70円から引き上げた。
- 方針シグナル: 有価証券報告書は「配当性向50%以上を基準に、年間配当金140円(株式分割後35円)を下限とした累進的な配当」と明記。下限額と累進性を同時に示す方針で、配当方針スコアは満点の10/10点。記念配当10円は翌期には剥落するため、2028年3月期の起点は普通配当80円になる。
- 耐性実績: 採点対象の直近5期(2022年3月期〜2026年3月期)は17.5→21.25→25→35→56円で減配がなく、当期も普通配当ベースで80円へ増配予想のため「3年以上連続増配+直近5年で減配なし+来期増配予想」の10/10点。
7. 詳細データ
7-1. 業績サマリー(2027年3月期 第1四半期累計)
| 指標 | 当期Q1 | 前期Q1 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 209.30億円 | 200.22億円 | +4.5% |
| 営業利益 | 11.95億円 | 10.11億円 | +18.2% |
| 経常利益 | 18.16億円 | 14.45億円 | +25.6% |
| 親会社株主帰属四半期純利益 | 29.98億円 | 18.17億円 | +65.0% |
| EPS(Q1単独) | 52.71円 | 31.57円 | +67.0% |
| 営業利益率(Q1単独) | 5.7% | 5.0% | +0.7pt |
| ROE | 四半期開示なし | 四半期開示なし | — |
セグメント別(対前年同期比)
| 区分 | 営業収益 | 前期比 | セグメント利益 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 物流事業 | 194.72億円 | +4.7% | 12.07億円 | +37.4% |
| 不動産事業 | 15.18億円 | +3.3% | 7.72億円 | +3.8% |
※ セグメント利益は各報告セグメントに配分していない全社費用7.83億円(前年同期6.10億円)を控除する前の金額で、2区分の合計(四半期決算短信のセグメント表の「計」1,979百万円)から調整額△7.83億円を差し引くと四半期連結損益計算書の営業利益11.95億円になる。営業収益もセグメント間の内部取引0.59億円を含む金額で、短信の表示値は百万円未満切捨てのため足し上げに1百万円の差が出る。
物流事業の業務別(対前年同期比)
| 業務 | 営業収益 | 前期比 | 営業利益 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 3PL業務 | 105.62億円 | +5.4% | 7.97億円 | +36.5% |
| 港湾運送業務 | 22.13億円 | +8.7% | 1.85億円 | +1.6% |
| 陸上運送業務 | 42.92億円 | +3.4% | 3.72億円 | +18.8% |
| 国際輸送業務 | 21.11億円 | +0.3% | 1.35億円 | +79.1% |
| その他の物流業務 | 2.92億円 | +1.1% | 2.19億円 | +2.0% |
- 業務区分の変更: 当第1四半期から、倉庫保管・荷役を主とする「倉庫業務」と拠点発着の「陸上運送業務」を一括受託の実態に合わせて「3PL業務」へ再編し、業務別の営業利益(共通費用等控除前)を新たに開示した。前年同期も組替後の数値で比較しており、業務別営業利益の合計は本社共通費用を含まないため物流事業全体の営業利益とは一致しない。
- 採算改善の中身: 営業収益+4.5%に対し営業原価は+3.1%にとどまり、営業総利益は21.43億円→24.95億円(+16.4%)。人件費11.90億円(+7.7%)・賃借料12.30億円(+1.7%)の上昇を、3PLの料金水準適正化と拠点稼働率の向上で吸収した。販売費及び一般管理費は13.00億円(+14.8%)。
- 不動産事業: 建物の設備更新工事の取り込みでビル工事請負が伸び、営業収益15.18億円(+3.3%)・営業利益7.72億円(+3.8%)。私募ファンド出資による証券化事業への参画も進めている。
業績増減要因の「業績の質」診断
| 観点 | 評価 | 解釈 |
|---|---|---|
| 一過性要因 | 🔴 大きい | 特別利益25.60億円(横浜市の山下ふ頭再開発に伴う受取補償金14.22億円+投資有価証券売却益11.37億円)を計上。前年同期の特別利益は投資有価証券売却益12.22億円のみで、経常+25.6%と純利益+65.0%の差はほぼこの特別損益の増加分 |
| 営業外損益 | 🟡 中 | 営業外収益は4.89億円→6.92億円。うち固定資産売却益が0.02億円→2.34億円と増え、当第1四半期から独立掲記に変更された。受取配当金は3.82億円→3.64億円(△0.18億円)、持分法投資利益は0.51億円→0.34億円(△0.17億円)と減少し、支払利息は0.46億円→0.58億円(+0.12億円) |
| 純利益押し上げ要因 | 🟡 中 | 税金等調整前四半期純利益は26.68億円→43.76億円(+64.0%)。法人税等の負担率は31.3%→31.4%とほぼ横ばいで、税負担の軽減による嵩上げではない。押し上げは特別利益に集中している |
| 開示の誠実性 | 🟢 高 | 業務区分の変更にあたり前年同期を組替えて比較し、業務別営業利益を新たに開示。受取補償金の発生事由(山下ふ頭再開発)を注記し、企業結合の取得原価配分が暫定であることも明示している。中東情勢の影響を業績予想に織り込んでいない旨も記載 |
→ 業績の質: 営業利益 +18.2% は3PL業務の採算改善による本業主導だが、純利益 +65.0% は特別利益25.60億円(うち受取補償金14.22億円)への依存が大きい
7-2. 財務・CFサマリー
| 指標 | 前年同期・前期末(2026年3月末) | 当第1四半期・当期末(2026年6月末) |
|---|---|---|
| 営業CF(4〜6月累計・百万円) | △476 | △89 |
| 投資CF(4〜6月累計・百万円) | 730 | △1,230 |
| 財務CF(4〜6月累計・百万円) | △420 | 2,528 |
| 現金及び預金(BS・百万円) | 11,296 | 12,942(+14.6%) |
| 短期有価証券(BS流動・百万円) | 0 | 0 |
| 現金及び現金同等物 期末残高(CF・百万円) | 8,315 | 9,135(+9.9%) |
| 自己資本比率(%) | 57.3 | 55.7(△1.6pt) |
CFの3行と現金及び現金同等物 期末残高は4〜6月の3ヶ月累計・同期末時点(左列は前年同期)、現金及び預金・短期有価証券・自己資本比率は各期末時点(左列は前期末=2026年3月末、右列は当第1四半期末=2026年6月末)。
- 有利子負債 324.60億円(短期借入金63.16億円+1年内償還予定の社債0.28億円+社債130.18億円+長期借入金130.98億円)。前期末275.10億円から+49.50億円の増加で、社債の発行49.64億円と長期借入50.00億円の調達が中心。四半期連結貸借対照表はリース債務を流動・固定とも独立掲記していない(それぞれ「その他」に含まれる)ため、開示されている借入金と社債で算定している。比較する前期末275.10億円も同じ借入金+社債の基準に揃えており、リース債務2.42億円を含めた前期カルテの277.52億円とは基準が異なる
- ネットキャッシュ: 現金及び預金12,942百万円 + 短期有価証券0百万円 − 有利子負債32,460百万円 = △19,518百万円(△195.18億円)。時価総額1,326.99億円(株価¥2,180×期末発行済株式総数60,870,988株・自己株式を含む)の△14.7%で本則は「マイナス(有利子負債超過)」帯の0点だが、賃貸用不動産・物流施設の取得借入で構造的にマイナスとなるため倉庫・運輸関連業の業種補正により「ほぼゼロ」相当の2/10点。四半期連結貸借対照表の流動資産に有価証券の科目がないため短期有価証券は0で算定し、投資その他の資産の投資有価証券352.59億円は長期のため分子に含めていない
- 総資産が95.75億円増えた中身: 澁澤ワールドトランスポートの連結取り込みと投資有価証券の時価評価増が主因で、投資有価証券は316.66億円→352.59億円(+35.93億円)、受取手形及び取引先未収金は139.55億円→165.48億円(+25.93億円)。負債は508.59億円→569.66億円(+61.07億円)で、自己資本比率は△1.6pt低下した
- 営業CFがマイナスの理由: 税金等調整前四半期純利益43.76億円と減価償却費7.42億円の資金留保に対し、受取補償金△8.53億円・投資有価証券売却損益△11.37億円の控除と売上債権の増加△9.47億円で小計は12.90億円にとどまり、そこに利息及び配当金の受取額3.73億円と利息の支払△0.34億円を加減したうえで法人税等の支払△17.18億円が差し引かれ、△0.89億円となった。前年同期も△4.76億円で、第1四半期に法人税等の支払が集中する季節性による。なお営業CFの調整項目に載る受取補償金△8.53億円は、四半期連結損益計算書で特別利益に計上した受取補償金14.22億円とは一致しない(四半期決算短信に差額の内訳の記載はない)
- 自己株式取得: 2026年5月22日の取締役会決議に基づき当第1四半期に211,300株・3.13億円を取得。期末自己株式数は3,937,061株→4,147,201株(取得分を単純加算した4,148,361株との差1,160株について、四半期決算短信に内訳の記載はない)。期末発行済株式総数は60,870,988株で前期末と同数のため、当第1四半期に消却は行われていない
- 営業CF安定性: 採点は直近5期(2022年3月期〜2026年3月期)の通期実績6,033→6,729→5,829→6,350→5,742百万円を対象とする。5期連続黒字で、5期平均6,136百万円からの乖離は最大でも+9.7%と±20%以内に収まるため5/5点
7-3. 通期業績予想(2027年3月期・2026年7月30日修正)
| 項目 | 予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 900億円 | +12.9% |
| 営業利益 | 53億円 | +29.4% |
| 経常利益 | 60億円 | +23.5% |
| 親会社株主帰属当期純利益 | 72億円 | +13.7% |
| EPS | 128.87円 | +15.4% |
| 営業利益率(通期予想) | 5.9%(53億円÷900億円・本ブログ算出) | +0.8pt |
| ROE(通期予想) | 10.3%(72億円÷平均自己資本701.03億円・期首683.71億円と第1四半期末718.34億円の平均・本ブログ算出) | +0.8pt |
- Q1進捗率: 営業収益23.3%・営業利益22.5%・経常利益30.3%・純利益41.6%。通期予想には第2四半期以降に連結する澁澤ワールドトランスポートの9ヶ月分が含まれるため、営業段階の進捗が4分の1を下回るのは想定どおり。前年同期の対通期実績比は25.1%・24.7%・29.7%・28.7%。
- 7月30日の上方修正の内容: 通期は営業収益830→900億円、営業利益50→53億円、経常利益57→60億円、純利益65→72億円、EPS116.30→128.87円。中間期も営業収益420→440億円、営業利益25→28億円へ引き上げた。
- 修正の理由: 澁澤ワールドトランスポートの残り9ヶ月の業績反映に加え、取扱量の増加・医療機器等の新規業務の獲得・拠点の稼働率改善・価格適正化が当初想定を上回ったこと。純利益は政策保有株式の縮減方針に基づく投資有価証券売却の前倒しと加速を織り込んでいる。
- 中期経営計画2026の最終年度: 会社は営業収益が最終業績目標850億円を50億円上回り、営業利益53億円・経常利益60億円は目標どおりの達成を見込むと説明している。中東情勢の緊迫化などの地政学リスクは業績予想に織り込んでいない。
7-4. データ出典の透明性
| 項目 | 出典 | 信頼度 |
|---|---|---|
| 第1四半期の営業収益・営業利益・経常利益・純利益・EPS・営業利益率 | 2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(2026-08-07開示) | 🟢 一次情報 |
| 通期業績予想・中間期予想・進捗率・中期経営計画2026の目標 | 2027年3月期 第1四半期決算短信「1.(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」 | 🟢 一次情報 |
| 業績予想の修正前後の数値・配当予想の修正内容(普通配当80円+記念配当10円)・修正の理由 | 2026年7月30日「連結業績予想の修正および配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」 | 🟢 一次情報 |
| 営業利益率(通期予想)・ROE(通期予想)・配当性向(予想) | 本ブログ算出(会社予想値より計算・ROE分母は期首自己資本(前期末)と第1四半期末自己資本の平均) | 🟡 補助データ |
| 当期配当予想の内訳・株式分割(2025年10月1日付・1株→4株)の注記 | 2027年3月期 第1四半期決算短信「2.配当の状況」 | 🟢 一次情報 |
| 配当方針・DOE(純資産配当率)4.8%・2026年3月期の配当実績 | 第179期 有価証券報告書「3.配当政策」(2026-06-25提出)/ 2026年3月期 決算短信「2.配当の状況」(2026-05-11開示) | 🟢 一次情報 |
| 8年連続増配・分割後基準の年間配当金系列・政策保有株式の縮減目標 | 2026年3月期 決算説明会資料(2026-05-25) | 🟢 一次情報 |
| 自己資本比率・現金及び預金・短期有価証券・有利子負債・投資有価証券・自己株式 | 2027年3月期 第1四半期決算短信「四半期連結貸借対照表」「株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記」 | 🟢 一次情報 |
| 営業CF・投資CF・財務CF・現金及び現金同等物 期末残高 | 2027年3月期 第1四半期決算短信「四半期連結キャッシュ・フロー計算書」 | 🟢 一次情報 |
| セグメント別・物流事業の業務別・企業結合の内容 | 2027年3月期 第1四半期決算短信「1.(1)当四半期の経営成績の概況」「セグメント情報等の注記」「企業結合等に関する注記」 | 🟢 一次情報 |
| 過去5期の営業CF・自己資本比率・分割後換算EPS | 第179期 有価証券報告書「1.主要な経営指標等の推移」 | 🟢 一次情報 |
| 過去配当履歴・EPS推移・発行済株式総数の推移 | EDINET DB | 🟢 一次情報 |
| 株価¥2,180(2026-08-28終値) | J-Quants API(JPX 公式) | 🟢 一次情報 |
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本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。