結論: 値上げで2割増益、通期を再び上方修正し年272円予想は据え置き
📊 スコア: C 62点
💰 配当: 234→272円予想(+38円)、中間136円は実施済・配当予想は今回修正なし
✅ 良い点: 営業利益+24.2%、為替一定ベースの調整後営業利益+16.9%、ROE16.1%(通期予想)、DOE10.6%
⚠️ 注意点: 配当性向72.9%、ネットデット7,861億円(リース負債を除く)、2021年に減配、ロシア事業の扱いが未確定
1. 業績ハイライト
- 売上収益2兆9,914億円(+13.6%)・値上げが浸透
- 営業利益9,477億円(+24.2%)・償却費も減少
- 親会社帰属四半期利益6,189億円(+20.9%)・EPS348.60円
- 通期予想を7月に続き引き上げ、営業利益1兆410億円へ
- 年間配当予想272円(前期比+38円)は据え置き
サマリー
- 増益の主役は価格: たばこ事業の調整後営業利益は8,302億→1兆54億円。価格・構成の改善が+2,285億円効き、数量の減少△142億円とPloomへの投資・調達コストの増加など△768億円を吸収した。たばこ事業は為替を除いても+16.6%の増益。
- 為替は損益と資本で逆向き: 円安・現地通貨高はたばこ事業の調整後営業利益を+377億円押し上げた一方、期末の換算では在外営業活動体の換算差額が△1,146億円となった。親会社所有者帰属持分は前年度末比+340億円の増加にとどまる。
- 7月に続く上方修正: 通期予想を売上収益3兆8,850億→3兆9,030億円、営業利益1兆80億→1兆410億円、当期利益6,440億→6,620億円へ引き上げた。会社は全ての利益段階で過去最高を見込む。
2. 配当判断サマリー
- 年間配当予想は中間136円(実施済)+期末136円=272円で、今回の決算での修正はない。前期実績234円からは+38円・+16.2%の増配予想
- 予想配当性向は72.9%(272円÷予想EPS372.88円)。会社がカナダ訴訟の和解金支払い等の影響を調整した当期利益6,600億円を母数に算定した値は73.2%で、7月時点の75.2%から下がった。利益予想を引き上げても配当予想は据え置いたためで、「配当性向75%を目安(±5%程度)」の範囲内にある
- 予想配当総額は約4,829億円(272円×自己株式を除く株式数17億7,543万株)。会社は通期のフリー・キャッシュ・フロー見通しを、刻みたばこブランドの取得対価の支払いなどを織り込んで6,510億→5,960億円に下げたが、配当総額を上回る水準を保つ
- 同じ食料品の日清製粉グループ本社(2002)も特殊要因を除いた利益を母数に配当性向の目安を置くが、水準は50%目安で、当社の75%目安とは25ポイントの開きがある
3. スコア内訳
配当持続性ランク: C(62/100点) ★★★☆☆
| カテゴリ | 配点 | 得点 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 配当 | 50 | 25 | 性向0・DOE10・利回り7・方針6・耐性2 |
| 財務 | 25 | 12 | 自己資本7・ネットキャッシュ0・営業CF安定性5 |
| 収益 | 25 | 25 | 営業利益率15・ROE10 |
| 合計 | 100 | 62 | — |
第3四半期カルテのため、配当・収益カテゴリは「第3四半期累計の実績+2026年12月期の通期予想」、財務カテゴリは第3四半期末の要約四半期連結財政状態計算書を基準に採点。過去系列(営業CF・配当履歴)は直近5期の通期実績を使用。食料品は配当性向・自己資本比率・ネットキャッシュのいずれも業種補正の対象業種ではないため、本則の判定基準をそのまま適用している(補正なし)。
3-1. 主な加点(高得点項目)
- 営業利益率 15/15: 通期予想26.7%(1兆410億円÷3兆9,030億円)で15%以上の最上位帯。第3四半期累計の実績は31.7%(前年同期29.0%から+2.7pt)
- ROE 10/10: 通期予想16.1%(予想当期利益6,620億円÷平均自己資本4兆1,039億円)で15%以上の最上位帯。平均自己資本は前年度末4兆869億円と第3四半期末4兆1,209億円の平均
- DOE 10/10: 10.6%(2025年12月期 決算短信「2.配当の状況」に記載された2025年12月期実績の親会社所有者帰属持分配当率)で5%以上の満点帯。当期の会社見込みDOEは数値の開示がないため、直近通期の開示実績を採用(参考: 本ブログの算出では11.8%)
- 営業CF安定性 5/5: 前期までの通期5期(2021〜2025年12月期)は5,989億円、4,838億円、5,663億円、6,300億円、5,141億円。赤字(マイナス)の期が無く、5期平均5,586億円からの乖離は△13.4%〜+12.8%の±20%以内で安定
- 配当利回り 7/10: 予想DPS272円ベースで「3.5〜4.5%」帯。分子は当期の会社予想DPSで、記念配当・特別配当は含まない
- 自己資本比率 7/10: 親会社所有者帰属持分比率48.8%(前年度末48.5%から+0.3pt)で「40〜60%」帯
3-2. 主な減点(低得点項目)
- 配当性向 0/10: 当期予想72.9%(272円÷予想EPS372.88円)。配当性向の業種補正がない食料品の標準中央値35%からの乖離は+37.9ptで「+30pt超」帯。会社が調整後の当期利益を母数に算定した73.2%でも同じ帯
- ネットキャッシュ 0/10: 現金及び預金(国際会計基準の科目名は「現金及び現金同等物」)8,873億円 − 社債及び借入金1兆6,734億円 = △7,861億円(リース負債は区分開示がなく含めていない。加えるとマイナス幅は広がり、帯は0点のまま)。時価総額比で「マイナス(有利子負債超過)」帯。食料品はネットキャッシュの業種補正の対象業種ではない
- 増配減配耐性 2/10: 直近5年(2021〜2025年12月期)のうち2021年12月期に154→140円(△9.1%)の減配がある。その後は188→194→194→234円で、2024年12月期の据え置きにより連続増配は2025年12月期からの1期。コロナ期の減配から3年以上の連続増配で回復した区分に当たらず、直近5年内に減配がある区分の2点
3-3. スコアの動き(定点観測)
- スコア変動: 前回(2026年12月期 中間期)59点 → 今回(2026年12月期Q3)62点(+3点)
- 変動の内訳: ROEが7→10点。+3点は業績の変化によるものではなく、前回の分母の取り方を採点ガイドの定義(期首と直近開示時点の自己資本の平均)に合わせたことによる。前回は通期予想の当期利益6,440億円を中間期末の自己資本だけで割って14.7%としていたが、ガイドの定義で計算し直すと前回の数値でも15.2%で、10点の帯にあたる。今回は当期利益予想が6,620億円に上がり、平均自己資本4兆1,039億円で割って16.1%。ほかの9項目は前回と同点で、配当性向(75.0%→72.9%)、配当利回り、ネットキャッシュは値が動いたが帯は変わらない
- 満点項目は維持: 営業利益率15・DOE10・営業CF安定性5は前回に続いて満点で、今回はROE10が加わり収益カテゴリが25/25になった
- 現在の位置づけ: C帯(55〜69点)の中ほど。収益が満点の一方、配当性向0点・ネットキャッシュ0点・増配減配耐性2点の3項目で計28点分を落としており、稼ぐ力に比べて「還元の余裕」を測る項目の点が低い構図は前回から変わらない。増配減配耐性の対象期間は記事の公開時点からさかのぼる5期のため、2021年12月期の減配は2026年12月期の通期実績が出るまでは対象に含まれる
※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。
4. 事業の強み・構造リスク
※本章はスコア(§3)に入っていない事業上の強み・構造リスクを扱います。
4-1. ✅ 事業の強み
- 加熱式たばこの柱が育っている: 1〜9月のRRP販売数量は132億本(+31.1%)、RRP関連売上収益は1,193億円(+30.6%)。7〜9月の日本の加熱式たばこのカテゴリー内シェアは17.4%(前年同期15.5%)に上がり、紙巻きの数量減を補う収益源が厚くなっている。
- 利益が3地域に分散している: たばこ事業の調整後営業利益1兆54億円の内訳はEMA4,763億円、Western Europe2,760億円、Asia2,531億円で、最大のEMAでも47%。1つの市場の規制強化や需要減が配当原資を一度に削りにくい。
4-2. ⚠️ 構造リスク
- 主要市場で紙巻きの総需要が縮む: 紙巻きなどの販売数量は4,242億本(△1.0%)で、会社は日本・ロシア・英国などの総需要の減少を挙げる。利益の伸びは値上げが数量減を上回ることが前提で、価格を上げにくくなれば伸びが鈍る。
- ロシア事業の扱いが未確定: 会社はロシア市場のたばこ事業について、グループ経営から切り離す選択肢を含めた検討を続けており、業績への影響は合理的に見積もれないとしている。ロシアを含むEMAはたばこ事業の調整後営業利益の47%を占める。
- カナダ訴訟の和解金の支払いが続く: 1〜9月はカナダ調整として119億円を調整後営業利益から除き、配当も同じ調整を加えた当期利益6,600億円を母数に算定している。会計上は切り離しても、支払いの現金は配当原資となる手元資金から出ていく。
保有状況: 筆者は本銘柄を 保有しています(株数は非開示・2026年10月時点)。
5. 筆者メモ
上方修正のあとも配当予想は272円のまま据え置かれ、会社が算定する配当性向は73%台に下がりました。利益の減少が減配につながりうる仕組みは承知のうえで、紙巻きの数量が減るなか値上げがどこまで続くかを見ながら保有を続けています。
6. 配当の見方
6-1. 配当の中身
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 2025年12月期実績 | 中間104円+期末130円=234円(配当金総額415,537百万円) |
| 2026年12月期 中間配当(実施済) | 136円(前年同期104円から+32円) |
| 2026年12月期(当期)予想 | 中間136円(実施済)+期末136円=272円(+38円・+16.2%)。第3四半期決算短信「2.配当の状況」記載値で、直近の配当予想からの修正はない |
| 配当性向(連結・当期予想) | 72.9%(272円 ÷ 予想EPS372.88円・本ブログ算出。記念配当・特別配当はなく実質普通配当ベースでも同値)。会社がカナダ訴訟の和解金支払い等の影響を調整した当期利益6,600億円を母数に算定した値は73.2%(第3四半期決算短信の注記)。前期実績は81.4% |
| DOE(連結・親会社所有者帰属持分配当率) | 10.6%(決算短信記載値=2025年12月期 決算短信「2.配当の状況」の2025年12月期実績。第3四半期決算短信に同欄はなく、当期の会社見込みDOEの数値の開示もない。参考: 予想DPS272円×期末株式数1,775,429,749株(自己株式を除く)÷平均自己資本4,103,940百万円×100で本サイトが算出すると11.8%。平均自己資本は前年度末4,086,933百万円と第3四半期末4,120,946百万円の平均) |
| 配当利回り | 採点帯 3.5〜4.5%(7/10)・予想DPS272円 |
| 配当方針 | 強固な財務基盤を維持しつつ中長期の利益成長で株主還元の向上を目指し、資本市場における競争力のある水準として 配当性向75%を目安 とする(注記で±5%程度の範囲内で判断)。自己株式の取得は年度ごとに財務状況と中期的な資金需要を踏まえて実施の是非を検討する(2025年12月期 決算短信「1.(4)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当」・2025年12月期 有価証券報告書「配当政策」)。累進配当の宣言はなく、DOE目標の開示もない |
| 連続増配年数 | 1期連続増配(2025年12月期に194→234円)+ 当期予想272円で 2期目 継続見込み。2023→2024年12月期は194円で据え置き、2021年12月期には154→140円の減配がある |
6-2. 過去年度 連結DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)
2020年12月期以前の履歴を表示(2021年の減配は下表に掲載)
| 年度 | DPS(円) | EPS(円) | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2016 | 130 | 235.47 | 55.2% |
| 2017 | 140 | 219.10 | 63.9% |
| 2018 | 150 | 215.31 | 69.7% |
| 2019 | 154 | 195.97 | 78.6% |
| 2020 | 154 | 174.88 | 88.1% |
| 年度 | DPS(円) | EPS(円) | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2021 | 140 | 190.76 | 73.4% |
| 2022 | 188 | 249.45 | 75.4% |
| 2023 | 194 | 271.69 | 71.4% |
| 2024 | 194 | 100.95 | 192.2% |
| 2025(実績) | 234 | 287.36 | 81.4% |
| 2026(予想) | 272 | 372.88 | 72.9% |
(注)
- データ基準: 2016〜2025年12月期のDPS・EPSはEDINET DB(有価証券報告書由来)引用で、配当性向は配当÷EPSの再計算値。2024年12月期192.2%・2025年12月期81.4%は2025年12月期 決算短信「2.配当の状況」の配当性向欄と一致する。2026年12月期(予想)は第3四半期決算短信の修正後の通期予想(EPS372.88円・DPS272円)で再計算
- 減配の起点となる2021年12月期を本表に残した理由: 増配減配耐性の採点根拠が2021年12月期の減配(154→140円・△9.1%)にあるため、折りたたみに入れず本表に掲載している
- 2024年12月期の配当性向192.2%: EPSが100.95円まで下がったのは、カナダのJTI-Macdonald Corp.を被告に含む喫煙と健康に関する訴訟の和解に伴う負債計上が主因。配当は194円で据え置かれている
- 記念配当・特別配当: 直近の決算短信「2.配当の状況」に記念配当・特別配当の記載はなく、表面DPSと実質普通配当ベースは一致する。期末発行済株式数も20億株で一貫しており、株式分割・併合の影響もない
- 配当政策の傾向: 配当性向は2016〜2018年12月期が55〜70%、2019〜2020年12月期が79〜88%と切り上がり、2021年12月期以降は71〜81%(2024年12月期の異常値を除く)で推移している
6-3. 配当の評価ポイント(3点)
- 増配構造: 234→272円(+38円・+16.2%)の予想で、内訳は中間104→136円(+32円・実施済)、期末130→136円(+6円)。減配後の2021年12月期140円からは5期で+94.3%となり、減配前の2020年12月期154円も上回っている
- 方針シグナル: 配当性向75%目安(±5%程度)を基準に、会社が定義する調整後の当期利益を母数として配当額を決める。当期は母数が6,420億→6,600億円に増えたが配当予想は272円のまま据え置き、性向は75.2%→73.2%へ下がった。累進配当やDOEの目標値は示していないため、配当額は母数となる利益の動きを受けやすい
- 耐性実績: 直近10期の減配は2021年12月期の1回のみ。利益が大きく落ちた2024年12月期(EPS100.95円・配当性向192.2%)も配当を194円で据え置き、単年の利益急減を配当に反映させない運用も取っている
7. 詳細データ
7-1. 業績サマリー
第3四半期累計実績(2026年1月1日〜2026年9月30日・IFRS)
| 指標 | 当第3四半期累計 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2,991,382百万円 | 2,634,028百万円 | +13.6% |
| 営業利益 | 947,710百万円 | 762,935百万円 | +24.2% |
| 税引前四半期利益 | 877,095百万円 | 707,162百万円 | +24.0% |
| 親会社帰属四半期利益 | 618,892百万円 | 511,749百万円 | +20.9% |
| EPS(基本) | 348.60円 | 288.24円 | +20.9% |
| 調整後営業利益 | 972,383百万円 | 799,532百万円 | +21.6% |
| 為替一定ベース調整後営業利益 | 934,710百万円 | — | +16.9% |
| 営業利益率(累計実績) | 31.7% | 29.0% | +2.7pt |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 48.8% | 48.5%(前年度末) | +0.3pt |
売上収益から親会社帰属四半期利益までの前年同期比は決算短信「1.(1)連結経営成績(累計)」の記載値(前年同期の売上収益・営業利益・税引前利益は医薬事業を除いた継続事業の金額)。調整後営業利益の前年同期比と営業利益率は算出値で、調整後営業利益は当第1四半期からカナダ調整を除く定義に見直し、前年同期も同じ基準に組み替えられている。営業利益率は第3四半期累計の実績で、スコアの営業利益率(26.7%)・ROE(16.1%)は通期予想ベースで採点している。
通期計画 進捗率(2026年12月期・2026年10月29日上方修正)
| 項目 | 第3四半期累計 | 通期予想 | 進捗率 | 前年同時点の進捗 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2,991,382百万円 | 3,903,000百万円 | 76.6% | 76.0% |
| 営業利益 | 947,710百万円 | 1,041,000百万円 | 91.0% | 88.0% |
| 調整後営業利益 | 972,383百万円 | 1,079,000百万円 | 90.1% | — |
| 親会社帰属当期利益 | 618,892百万円 | 662,000百万円 | 93.5% | — |
進捗率は算出値。「前年同時点の進捗」は前年同期の実績を2025年12月期の通期実績(継続事業・売上収益3,467,675百万円・営業利益867,038百万円)で割ったもの。2025年12月期の通期の親会社帰属当期利益510,175百万円は前年同期の第3四半期累計511,749百万円を下回っており、前年同時点の進捗は比較に使えない。会社の通期予想どおりなら、第4四半期の営業利益は932.90億円で前年同期の1,041.03億円を△10.4%下回る。
セグメント別(第3四半期累計・対前年同期比)
| 区分 | 収益 | 前年同期比 | 調整後営業利益(前年同期比) |
|---|---|---|---|
| たばこ事業 | 2,870,358百万円 | +14.0% | 1,005,408百万円(+21.1%) |
| 加工食品事業 | 119,405百万円 | +3.6% | 5,983百万円(+7.8%) |
| その他 | 3,863百万円 | △0.4% | △39,012百万円(前年同期△36,236百万円) |
収益はセグメント間の内部収益を含む金額で、前年同期比は算出値。「その他」には不動産賃貸等の事業活動と本社経費が含まれる。
たばこ事業のクラスター別(自社たばこ製品売上収益・調整後営業利益)
| クラスター | 自社たばこ製品売上収益 | 前年同期比 | 調整後営業利益(前年同期比) |
|---|---|---|---|
| Asia | 695,739百万円 | +8.9% | 253,142百万円(+29.6%) |
| Western Europe | 641,568百万円 | +13.5% | 275,951百万円(+9.7%) |
| EMA | 1,413,203百万円 | +18.0% | 476,314百万円(+24.2%) |
| 合計 | 2,750,510百万円 | +14.5% | 1,005,408百万円(+21.1%) |
EMAはアフリカ、中近東、東欧、トルコ、南北アメリカ大陸と免税市場を指し、ロシアもここに含まれる。前年同期比は算出値。決算説明会資料によると、1〜9月の総販売数量は4,374億本(△0.3%)で、うち紙巻きなどは4,242億本(△1.0%)、RRP(健康リスクを低減させる可能性のある製品)は132億本(+31.1%)。
業績増減要因の「業績の質」診断
| 観点 | 評価 | 解釈 |
|---|---|---|
| 一過性要因 | 🟢 | 調整項目は収益2,920百万円(主に子会社株式売却益)・費用2,978百万円と小さい。減損損失は前年同期27,069百万円から1,180百万円に減り、買収に伴い生じた無形資産の償却費も52,797→36,544百万円に減っており、営業利益+24.2%にはこれらの費用減も乗っている |
| 為替の寄与 | 🟡 | たばこ事業の調整後営業利益はフルベース+21.1%に対し為替一定ベース+16.6%。為替の押し上げ+377億円は円安が反転すれば剥落しうる部分 |
| 純利益押し下げ要因 | 🟡 | 金融収益から金融費用を差し引いた純額は△557.74億円から△706.14億円に広がり、法人所得税費用の負担率も27.5%→29.1%に上がった。親会社帰属四半期利益+20.9%は営業利益+24.2%を下回る |
| 開示の誠実性 | 🟢 | 調整後営業利益の定義の見直しに合わせて前年同期も組み替え、カナダ調整・ロシア事業の検討状況・中東情勢の影響も本文に記載。要約四半期連結財務諸表は監査法人の期中レビュー(任意)を受けている |
→ 業績の質: 良好(値上げが数量減と費用増を吸収した本業の増益で、償却費の減少と為替の追い風も重なる)
7-2. 財務・CFサマリー
| 指標 | 前年度末(2025/12)・前年同期(1〜9月) | 当第3四半期末(2026/9)・1〜9月累計 |
|---|---|---|
| 営業CF(百万円) | 286,997 | 731,231 |
| 投資CF(百万円) | △171,277 | △94,919 |
| 財務CF(百万円) | △473,942 | △491,288 |
| 現金及び預金(BS・百万円)※国際会計基準の科目名は「現金及び現金同等物」 | 831,135 | 887,302 |
| 短期有価証券(BS流動・百万円) | 0 | 0 |
| 現金及び現金同等物 期末残高(CF・百万円) | 831,135 | 887,302 |
| 親会社所有者帰属持分比率(%) | 48.5 | 48.8(+0.3pt) |
(注)CFの3行は1〜9月の9か月累計(左列は前年同期)、現金及び預金・短期有価証券・現金及び現金同等物 期末残高・親会社所有者帰属持分比率は各期末時点(左列は前年度末=2025年12月末、右列は第3四半期末=2026年9月末)。国際会計基準では要約四半期連結財政状態計算書の「現金及び現金同等物」とキャッシュ・フロー計算書の期末残高が同じ金額になる。流動資産に有価証券の科目はなく、短期有価証券は0とした。
- 有利子負債: 社債及び借入金1,673,437百万円(流動147,813百万円+非流動1,525,624百万円)。前年度末1,678,688百万円からほぼ横ばいで、1〜9月は社債を67,532百万円償還し、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーが71,210百万円増えた。国際会計基準のリース負債は「その他の金融負債」(流動51,780百万円+非流動201,404百万円)に含まれ、第3四半期決算短信では区分開示がない
- ネットキャッシュ: 現金及び預金887,302百万円 + 短期有価証券0百万円 − 有利子負債1,673,437百万円 = △786,135百万円。時価総額比(期末発行済株式数2,000,000,000株・自己株式を含む)で、「マイナス(有利子負債超過)」帯の0/10点。前年度末は831,135−1,678,688=△847,553百万円。国際会計基準の企業の有利子負債はリース負債を含めるのが本ブログの基準だが、当社は区分開示がないため上記は社債及び借入金のみを控除した値で、リース負債を加えるとマイナス幅は広がる
- 現金の範囲について: 流動資産の「その他の金融資産」194,558百万円には預入期間3か月超の定期預金等が含まれるとみられるが(1〜9月に定期預金の預入396,173百万円・払出400,516百万円)、第3四半期決算短信に内訳の記載がないため分子に算入していない。非流動の「その他の金融資産」162,302百万円も算入していない
- 営業CFの改善: 1〜9月の営業CFは2,870億→7,312億円に増えた。前年同期は引当金の減少1,848億円と未払たばこ税等の減少1,292億円が重かったが、当期はそれぞれ61億円・556億円にとどまった。法人所得税等の支払額は1,555億→1,885億円に増えている
- 営業CF安定性の評価対象5期(単位百万円): 2021年12月期598,909 → 2022年12月期483,799 → 2023年12月期566,317 → 2024年12月期630,011 → 2025年12月期514,056。5期平均558,618百万円から全期±20%以内で5/5点。2025年12月期は2025年12月期 決算短信〔IFRS〕の連結キャッシュ・フロー計算書、それ以前はEDINET DBによる
- のれん: 第3四半期末2,870,525百万円で総資産8,437,531百万円の34.0%。前年度末2,923,096百万円から在外営業活動体の換算差額等で減っている
- 自己株式: 期末自己株式数は224,611,666株→224,570,251株(株式交付信託が保有する当社株式を含む)で、発行済株式総数20億株の11.2%にあたる。期末発行済株式総数は20億株のまま変わらず、消却はない。1〜9月の自己株式の取得による支出は934百万円
7-3. 通期業績予想(2026年12月期・2026年10月29日上方修正)
| 項目 | 予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 3,903,000百万円 | +12.6% |
| 調整後営業利益 | 1,079,000百万円 | +21.9% |
| 営業利益 | 1,041,000百万円 | +20.1% |
| 親会社帰属当期利益 | 662,000百万円 | +29.8% |
| EPS | 372.88円 | +29.8% |
| 為替一定ベース調整後営業利益 | 1,028,000百万円 | +16.1% |
| 営業利益率(通期予想) | 26.7%(1,041,000百万円÷3,903,000百万円・本ブログ算出) | +1.7pt(前期実績25.0%) |
| ROE(通期予想) | 16.1%(親会社帰属当期利益662,000百万円÷平均自己資本4,103,940百万円・本ブログ算出) | +3.1pt(前期実績13.0%) |
| 1株当たり年間配当 | 272円 | +38円(予想配当性向72.9%) |
- 上方修正: 2026年7月30日公表値から売上収益+180億円(+0.5%)、調整後営業利益+440億円(+4.3%)、営業利益+330億円(+3.3%)、当期利益+180億円(+2.8%)、為替一定ベース調整後営業利益+400億円(+4.0%)。予想EPSは362.74円→372.88円。会社は値上げを中心としたたばこ事業の好調を理由に挙げ、総販売数量の前提も「前年度比△1.0%〜同水準」から「約△0.5%」に引き上げた
- 前期比の読み方: 売上収益・営業利益の前期比は継続事業ベースの比較。親会社帰属当期利益の+29.8%は医薬事業を含む2025年12月期実績510,175百万円との比較で、継続事業だけの2025年12月期499,081百万円と比べると+32.6%になると短信に注記されている
- 前期の指標: 営業利益率の前期実績25.0%(売上収益営業利益率)とROEの前期実績13.0%(親会社所有者帰属持分当期利益率)は2025年12月期 決算短信の記載値。当期のROEの分母は前年度末自己資本4,086,933百万円と第3四半期末自己資本4,120,946百万円の平均
- 全社利益目標: 為替一定ベースの調整後営業利益の成長率で中長期の年平均mid to high single digit成長を掲げ、経営計画2026の期間(2026年12月期〜2028年12月期)は年平均high single digit成長を想定している
7-4. データ出典の透明性
| 項目 | 出典 | 信頼度 |
|---|---|---|
| 第3四半期累計の売上収益・営業利益・税引前四半期利益・親会社帰属四半期利益・EPS・調整後営業利益とその調整項目・為替一定ベース調整後営業利益・セグメント別収益と調整後営業利益・クラスター別の自社たばこ製品売上収益・金融収益と金融費用・法人所得税費用・ロシア事業の検討状況 | 2026年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)(2026-10-29開示)「1.連結業績」「要約四半期連結損益計算書」「セグメント情報」 | 🟢 一次情報 |
| 当期配当予想272円・調整後の当期利益6,600億円を母数とする配当性向73.2%・通期業績予想と上方修正の内訳・予想EPS | 同上「2.配当の状況」「3.2026年12月期の連結業績予想」「2.サマリー情報に関する事項」 | 🟢 一次情報 |
| 親会社所有者帰属持分比率・親会社の所有者に帰属する持分・現金及び現金同等物・その他の金融資産・社債及び借入金・その他の金融負債・のれん・発行済株式数・自己株式数・営業CF/投資CF/財務CF・在外営業活動体の換算差額 | 同上「要約四半期連結財政状態計算書」「要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書」「要約四半期連結持分変動計算書」「(3)発行済株式数(普通株式)」 | 🟢 一次情報 |
| たばこ事業の調整後営業利益の増減要因(数量・価格と構成・その他・為替)・総販売数量・RRP販売数量と関連売上収益・加熱式たばこのカテゴリー内シェア・総販売数量の前提・フリー・キャッシュ・フロー見通し | 2026年度 第3四半期 決算説明会資料(CFOプレゼンテーション)(2026-10-29開示) | 🟢 一次情報 |
| 2025年12月期の実績(売上収益・営業利益・EPS・親会社所有者帰属持分当期利益率13.0%・売上収益営業利益率25.0%)・配当性向81.4%・親会社所有者帰属持分配当率10.6%・配当金総額415,537百万円・営業CF514,056百万円・株主還元方針(配当性向75%目安・±5%程度の範囲内で判断) | 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026-02-12開示)「1.(4)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当」「2.配当の状況」 | 🟢 一次情報 |
| 2016〜2025年12月期の配当履歴・EPS推移・営業CF推移(2021〜2024年12月期)・期末発行済株式数・配当政策の記載 | EDINET DB(有価証券報告書由来) | 🟢 一次情報 |
| 営業利益率(通期予想)・ROE(通期予想)・配当性向(当期予想)・DOE(参考の算出値)・ネットキャッシュ・時価総額比・進捗率・第4四半期に必要な営業利益・予想配当総額 | 本ブログ算出(会社予想値・決算短信の自己資本および株式数より計算。ROE分母は期首自己資本(前年度末)と第3四半期末自己資本の平均) | 🟡 補助データ |
| 株価・配当利回り | 筆者が確認した終値を採点にのみ使用(数値は非掲載) | 🟡 補助データ |
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本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。