結論: 増収増益で8期連続増配、営業CFは運転資本で急減
📊 スコア: B 70点
💰 配当: 35→37円(+2円)、来期37円予想(±0円)
✅ 良い点: 純資産配当率9.9%、8期連続増配、自己資本比率58.1%、ROE15.2%
⚠️ 注意点: 配当性向65.2%、営業CF急減、来期配当据置
1. 業績ハイライト
- 売上高172.47億円(+10.6%)で過去最高を更新
- 営業利益20.76億円(+12.3%)・品質対応は期中に収束
- 当期純利益14.87億円(+10.2%)・EPS56.79円
- 自己資本比率58.1%(+7.4pt)へ改善
- 営業CFは3.13億円(△92.7%)まで縮小
サマリー
- 本業堅調: 決済領域が+12.0%と伸び、主要顧客の基幹システム更改案件が進捗。売上高・営業利益・経常利益・当期純利益のすべてが過去最高を更新した。
- 業績の質: 前期に粗利率を押し下げた一部顧客向け案件の品質対応が期中に収束し、売上高営業利益率は11.9%→12.0%へ回復。特別損失は計26百万円で税引前利益の約1.2%にとどまる。
- 現金化の遅れに留意: 増益にもかかわらず営業CFは42.63億円→3.13億円へ縮小。売上債権が20.32億円増えたことと、法人税等の支払額が12.56億円へ膨らんだことが主因。
2. 配当判断サマリー
- 年間配当は35→37円(+2円・+5.7%)。中間を15→17円へ引き上げ、期末20円は据え置いた。記念配当を除く実質普通配当ベースでは2019年6月期から8期連続の増配となる。
- 2027年6月期予想は37円据置(±0円)で、増配の連続記録はいったん止まる見込み。予想配当性向は63.6%。
- 純資産配当率(DOE)9.9%は本ブログの採点対象でも最高水準。一方、配当性向65.2%は受託開発中心の情報・通信業の中央値25%を大きく上回り、スコア上は0点判定となる。
- 同じ情報・通信業で配当性向30〜40%を目標に置くミロク情報サービス(9928)と比べると、本銘柄は利益に対する還元の踏み込みが一段深い代わりに、原資の余裕は薄い。
3. スコア内訳
配当持続性ランク: B(70/100点) ★★★★☆
| カテゴリ | 配点 | 得点 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 配当 | 50 | 31 | 性向0・DOE10・利回り7・方針6・耐性8 |
| 財務 | 25 | 17 | 自己資本7・ネットキャッシュ7・営業CF安定性3 |
| 収益 | 25 | 22 | 営業利益率12・ROE10 |
| 合計 | 100 | 70 | — |
3-1. 主な加点(高得点項目)
- DOE 10/10: 純資産配当率9.9%(決算短信記載値)。5%以上で満点の帯を大きく上回る
- ROE 10/10: 来期予想15.2%(予想当期純利益15.30億円÷当期末自己資本100.65億円)で15%以上の帯。当期実績も15.2%で同帯
- 営業利益率 12/15: 来期予想12.4%(予想営業利益22.00億円÷予想売上高177.00億円)で10〜15%の帯。当期実績12.0%も同帯
- 増配減配耐性 8/10: 記念配当を除く実質普通配当ベースで2019年6月期から8期連続増配・直近5年で減配なし。ただし来期予想が37円据置のため「来期増配予想」を要件とする満点帯には届かず8点
- 自己資本比率 7/10: 58.1%(+7.4pt)で40〜60%の帯。前受金・未払法人税等の減少で負債が19.47億円圧縮された
- ネットキャッシュ 7/10: +46.37億円で時価総額263.40億円の17.6%。プラスかつ10〜30%の帯
- 配当利回り 7/10: 3.70%(来期予想DPS37円÷株価¥1,000)で3.5〜4.5%の帯
3-2. 主な減点(低得点項目)
- 配当性向 0/10: 65.2%(37円÷EPS56.79円)。受託開発主体の情報・通信業の中央値25%に対し+40.2ptの超過で、「中央値+30pt超」の帯に該当する
3-3. スコアの動き(定点観測)
- スコア変動: 前期カルテ(2026年6月期Q3)69点 → 今期70点(+1点)でC帯からB帯の下端へ
- 変動の内訳: ROEが14.9%→15.2%と15%以上の帯に入り7→10点(+3点)。一方、来期配当が据置予想となったことで増配減配耐性が10→8点(△2点)。差引で+1点
- 配当本体は満点維持: DOE 10/10(純資産配当率9.9%)は前期カルテから変わらず、配当カテゴリを支える柱になっている
- 現在の位置づけ: 配当性向0点と営業CF安定性3点が上値を抑え、DOE・ROE・営業利益率の3項目が下支えしている構図。B帯に入ったとはいえ下端の70点で、C帯(69点以下)とは1点差の位置にある
※本スコアは決算短信の数値から機械的に算出した独自指標であり、将来の減配可能性を予測するものではありません。過去のデータ上の傾向を整理した参考情報としてご利用ください。
4. 事業の強み・構造リスク
4-1. ✅ 事業の強み
- クラウドサービスのストック性: 決済領域のクラウドサービス売上が42.93億円(+23.4%)へ伸び、決済領域の30.1%を占めた。会社は役務提供期間にわたって収益を認識する契約と説明しており、単発の開発案件より期ズレしにくい収益の土台が厚くなっている。
- 開発投資支出の縮小: 無形固定資産は41.54億円→34.53億円へ減り、無形固定資産の取得支出も13.52億円→6.07億円へ縮小した。過去に積んだソフトウェア資産の償却が投資を上回って進んでおり、資金流出の面では負担が軽くなっている。
4-2. ⚠️ 構造リスク
- 受注残高の減少: 受注高153.65億円(△20.5%)・受注残高184.29億円(△9.3%)。前期の大型複数年契約の反動と会社は説明するが、受注残は翌期以降の売上の元手であり、来期売上計画が+2.6%へ減速する前提と重なる。
- 決済領域と主要顧客への集中: 単一セグメントで、事業領域別でも決済が売上の82.8%を占める。会社は業績の増減要因として毎期「主要顧客のシステム更改案件」を挙げており、顧客側のIT投資サイクルが配当原資の振れ幅をそのまま決める構造にある。
保有状況: 筆者は本銘柄を 保有していません(観察対象として継続フォロー予定)。
5. 筆者メモ
利益は増えたのに、本業で手元に入った現金は前期の約43億円から約3億円まで減った。代金の受け取りがまだ先の売上が増えたためで、回収が進むかを次の決算で確かめたい。
次回(2027年6月期 第1四半期)見るポイント:
- 売上債権の回収が進み、営業CFがどこまで戻るか
- 受注高・受注残高が前期の反動減から反転するか
- 中期経営計画の最終年度としての進捗と、次期計画での還元方針の示し方
6. 配当の見方
6-1. 配当の中身
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 2025年6月期実績 | 35円(中間15円+期末20円) |
| 2026年6月期実績 | 37円(中間17円+期末20円・+2円・+5.7%) |
| 2027年6月期予想 | 37円(中間17円+期末20円・±0円) |
| 配当性向(単体・表面) | 65.2%(37円 ÷ EPS56.79円・決算短信記載値) |
| DOE(純資産配当率) | 9.9%(決算短信記載値) |
| 配当利回り | 3.70%(来期予想DPS37円 ÷ 株価¥1,000・2026-08-05終値・J-Quants API) |
| 配当方針 | 安定的な配当の維持を基本方針とし、配当性向50%を目安とする(会社IR・個人投資家向け説明会資料 2025年12月公表)。累進配当宣言・DOE目標は無し |
| 連続増配年数 | 8期連続増配(2019年6月期〜2026年6月期・記念配当を除く実質普通配当ベース)。2027年6月期予想は37円据置のため9期目は見込まれない |
| 自己株式 | 期末自己株式数155,943株(前期末158,342株)。うち株式給付信託(BBT)が保有する95,800株(前期末98,200株)を含む |
6-2. 過去年度 DPS・EPS・配当性向(EDINET DB 引用、配当÷EPS再計算)
2022年以前の履歴を表示
| 年度 | DPS(円) | EPS(円) | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2016/6 | 6 | 18.18 | 33.0% |
| 2017/6 | 7 | 20.78 | 33.7% |
| 2018/6 | 7 | 14.36 | 48.7% |
| 2019/6 | 9 | 25.99 | 34.6% |
| 2020/6 | 10 | 29.00 | 34.5% |
| 2021/6 | 13 | 31.98 | 40.7% |
| 2022/6 | 17 | 40.16 | 42.3% |
| 年度 | DPS(円) | EPS(円) | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2023/6 | 20 | 44.34 | 45.1% |
| 2024/6 | 40(普通30+記念10) | 54.19 | 73.8% |
| 2025/6 | 35 | 51.55 | 67.9% |
| 2026/6(実績) | 37 | 56.79 | 65.2% |
| 2027/6(予想) | 37 | 58.22 | 63.6% |
(注)
- データ基準: EDINET DB(2016年6月期〜2025年6月期)+ 決算短信(2026年6月期実績・2027年6月期予想)。確認範囲で株式分割・併合はなく、期末発行済株式総数は前期末・当期末とも26,340,000株で変わっていない
- 記念配当の扱い: 2024年6月期の40円は期末配当に記念配当10円を含み、普通配当ベースでは30円(中間15円+期末普通15円)。本ブログのスコアは記念配当を除いた実質普通配当ベースで評価するため、2024年6月期30円→2025年6月期35円は増配として扱う。表面のDPSだけを追うと同区間は40→35円の減配に見える点に注意
- 配当政策の傾向: 2019年6月期以降は毎期増配。配当性向は2023年6月期の45.1%から2024年6月期以降は65〜74%へ切り上がり、還元水準を一段引き上げた状態が続いている
6-3. 配当の評価ポイント(3点)
- 増配構造: 2026年6月期は中間を15→17円へ引き上げて年間37円(+2円)。記念配当を除く実質普通配当ベースでは2019年6月期から8期連続の増配だが、2027年6月期予想は37円据置で増配ペースはいったん平準化する。
- 方針シグナル: 安定的な配当の維持を基本方針としつつ、配当性向50%を目安に置く(会社IR・2025年12月公表の個人投資家向け説明会資料)。累進配当の宣言はなく、DOEの数値目標も開示されていないため、方針の強度は配当性向目標型にとどまる。実績の配当性向は2024年6月期以降65%以上で、目安の50%を上回った状態が続いている。
- 耐性実績: 配当金総額9.72億円に対し当期純利益は14.87億円で、原資そのものは確保されている。有利子負債はリース債務6.23百万円のみで実質無借金。ただし当期の営業CFは3.13億円と配当金総額を下回っており、手元資金の取り崩しで賄った形になっている点は次回以降の確認点。
7. 詳細データ
7-1. 業績サマリー
| 指標 | 当期 | 前期 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 172.47億円 | 155.96億円 | +10.6% |
| 営業利益 | 20.76億円 | 18.48億円 | +12.3% |
| 経常利益 | 21.29億円 | 18.90億円 | +12.6% |
| 当期純利益 | 14.87億円 | 13.49億円 | +10.2% |
| EPS | 56.79円 | 51.55円 | +10.2% |
| ROE | 15.2% | 14.4% | +0.8pt |
事業領域別売上高(対前期比)
| 区分 | 売上 | 前期比 |
|---|---|---|
| 決済 | 142.85億円 | +12.0% |
| うちクラウドサービス | 42.93億円 | +23.4% |
| セキュリティ | 20.67億円 | +2.2% |
| データ通信・分析基盤 | 8.94億円 | +9.4% |
業績増減要因の「業績の質」診断
| 観点 | 評価 | 解釈 |
|---|---|---|
| 一過性要因 | 🟢 軽微 | 前期に粗利率を押し下げた一部顧客向けクラウドサービス案件の品質対応は当事業年度中に収束したと会社が明記。特別損益は投資有価証券売却益3百万円に対し、固定資産除却損17百万円・投資有価証券評価損9百万円の計26百万円(実額25,505千円)で、税引前利益への影響は約1.2% |
| 営業外損益 | 🟢 軽微 | 経常利益 +12.6% は営業利益 +12.3% とほぼ同水準。受取利息が2百万円→10百万円へ増えた程度で、本業外の押し上げは小さい |
| 純利益押し下げ/押し上げ要因 | 🟡 一部あり | 税引前当期純利益は21.06億円(+11.4%)で経常利益の伸びをやや下回る。特別損失26百万円の計上に加え、法人税等の負担率が28.6%→29.4%へ上がったことで、純利益の伸びは +10.2% にとどまった |
| 開示の誠実性 | 🟢 高 | 事業領域別売上・受注高・受注残高を実額で開示し、受注減の理由(前期の大型複数年契約の反動)も明示。営業CF急減についても内訳を実額で説明している |
→ 業績の質: 良好(本業由来の増収増益で一過性要因は限定的。ただし利益の伸びに比べて現金化が遅れている)
7-2. 財務・CFサマリー
| 指標 | 2025/6期 | 2026/6期 |
|---|---|---|
| 営業CF(百万円) | 4,263 | 313 |
| 投資CF(百万円) | △1,599 | △1,730 |
| 財務CF(百万円) | △1,052 | △975 |
| 現金等期末残高(百万円) | 6,422 | 4,034 |
| 自己資本比率(%) | 50.7 | 58.1 |
- 有利子負債: リース債務6.23百万円(流動1.59百万円+固定4.64百万円・前期末は計8.83百万円)のみ。借入金・社債の残高はなく実質無借金
- ネットキャッシュ: 現金及び預金4,643百万円 − 有利子負債6百万円 = +4,637百万円(株価¥1,000×期末発行済株式総数26,340,000株(自己株式を含む)= 時価総額263.40億円の17.6%)。プラスかつ時価総額10〜30%の帯で7/10点
- 営業CFの急減: 42.63億円→3.13億円(△92.7%)。税引前当期純利益21.06億円・減価償却費17.11億円を計上した一方で、売上債権が20.32億円増加した(前期は19.85億円の減少)ため、この1項目だけで前期比40.17億円分の逆回転となった。加えて法人税等の支払額が8.78億円→12.56億円へ増え、未払消費税等も4.04億円減少している
- 現金及び預金: 64.31億円→46.43億円(△17.88億円)。うち6.00億円は定期預金への預け替えで、現金同等物ベースの期末残高は40.34億円
7-3. 来期業績予想(2027年6月期)
| 項目 | 予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 177.00億円 | +2.6% |
| 営業利益 | 22.00億円 | +6.0% |
| 経常利益 | 22.40億円 | +5.2% |
| 当期純利益 | 15.30億円 | +2.9% |
| EPS | 58.22円 | +2.5% |
| 営業利益率(来期予想) | 12.4%(22.00億円÷177.00億円・本ブログ算出) | +0.4pt |
| ROE(来期予想) | 15.2%(15.30億円÷当期末自己資本100.65億円・本ブログ算出) | ±0.0pt |
来期は中期経営計画の最終年度にあたる。会社は品質対応の影響が収束したことを前提に、品質管理の強化と生産性向上で収益性の改善を図るとしており、第2四半期累計では売上高88.00億円(+5.4%)・営業利益10.00億円(+14.2%)を見込む。売上高の伸びが+2.6%へ鈍る前提は、前期に大きく伸びたハードウェア販売が前期並みの水準にとどまる想定によるもの。
7-4. データ出典の透明性
| 項目 | 出典 | 信頼度 |
|---|---|---|
| 通期売上・営業利益・経常利益・当期純利益・EPS・ROE・売上高営業利益率 | 2026年6月期 決算短信(2026年8月5日開示) | 🟢 一次情報 |
| 2027年6月期 業績予想・今後の見通し | 2026年6月期 決算短信「3.2027年6月期の業績予想」「1.(4)今後の見通し」 | 🟢 一次情報 |
| 営業利益率(来期予想)・ROE(来期予想) | 本ブログ算出(会社予想値より計算・ROE分母は当期末自己資本(来期中の資本変動は予測不能のため単独値を使う)) | 🟡 補助データ |
| 配当実績37円・2027年6月期予想37円・配当性向・純資産配当率・配当金総額 | 2026年6月期 決算短信「2.配当の状況」 | 🟢 一次情報 |
| 自己資本比率・純資産・現金及び預金・リース債務・期末発行済株式総数・自己株式数 | 2026年6月期 決算短信「(1)貸借対照表」「(2)発行済株式数」 | 🟢 一次情報 |
| 営業CF・投資CF・財務CF・営業CFの増減内訳・減価償却費 | 2026年6月期 決算短信「(4)キャッシュ・フロー計算書」「1.(3)当期のキャッシュ・フローの概況」 | 🟢 一次情報 |
| 事業領域別売上高・受注高・受注残高 | 2026年6月期 決算短信「1.(1)当期の経営成績の概況」 | 🟢 一次情報 |
| 過去配当履歴・EPS推移(2016年6月期〜2025年6月期) | EDINET DB | 🟢 一次情報 |
| 配当方針(安定的な配当の維持・配当性向50%を目安) | 会社IR 個人投資家向け説明会資料(2025年12月公表) | 🟢 一次情報 |
| 株価¥1,000(2026-08-05終値) | J-Quants API(JPX 公式) | 🟢 一次情報 |
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本記事は配当持続性スコアの枠組みに基づき、筆者が一次情報と内容を確認・編集して公開しています。下書き・集計・整形には補助ツールを使用しています。誤りにお気づきの方は X(@haitoukarte) へお知らせください。